カテゴリー別アーカイブ: 報道機関

2種類の事実報道・予告と実績と

新聞などマスコミの報道を見ていて、考えました。
記事の多くは、事実を伝えるものです。ところが、「××という改革が達成された」というのも事実の報道ですし、「○○大臣が、△△の改革を行うと発言した」というのも事実の報道です。ただし、前者は、改革が実行されたことの報道ですが、後者は、まだどのように動くか、さらに実現するかは未定です。前者は実績の報道であり、後者は予告ないし決意の報道です。
後者のような記事が大きく取り上げられると、ついついそうなるのかと思ってしまいます。しばらく時間をおいて、どのように進んでいるのか、検証した記事を書いて欲しいですね。

新聞記事の価値

29日の朝日新聞星浩編集委員の「政態拝見」は、「5W1H掘り下げよう」でした。
・・北朝鮮の核問題を話し合う6者協議に出席した日本の外交官から、こんなぼやきを聞いたことがある。
「日本のメディアの関心は、会合がいつ(WHEN)開かれるのか、誰と誰(WHO)が会うのか、に集中しすぎている。何を(WHAT)論議するのか、なぜ(WHY)協議が大切なのか、といった点をもっと掘り下げて欲しい」
新聞記事の基本は、この4つに、どこ(WHERE)と、どのように(HOW)を加えた5W1Hだが、6者協議の報道は、WHENとWHOに偏りがちだというのだ。・・長文の解説記事を載せる欧米の新聞などと日本のメディアを比べると、この外交官の指摘も、うなずける面はある・・

経済社会の変化を分析する記事

朝日新聞が「変転経済」に続いて、「激変、産業地図」を、毎週土曜日に連載しています。28日は、情報通信です。多くの分野で、技術革新・情報の高度化・国際化・後発国の追い上げなどで、企業の地図が塗り代わるだけでなく、ビジネスモデルが変化しています。2~3年のうちに、知識が役に立たなくなってしまいます。
専門書も、すぐに古くなります。業界紙を読むだけの時間もない私たちにとって、このような分析記事は、役に立ちますね。私は、このような記事が、新聞にとっての一つの「モデル」だと考えています。日々のニュースでなく、しばらく時間をおいて、じっくりと広く分析する手法です。
また、日経新聞がよく1面の左で、テーマを決めて連載をします。これも、有用です。官庁や会社が発表する資料を基に書く記事と違い、このような分析記事は、労力が必要です。

年金財政改革

16日の朝日・読売・日経3紙に、「どうする年金、3社で座談会」が載っていました。今年になってから、日経が税方式を主張したのに対し、朝日・読売が保険料方式の修正案を主張しています。この座談会は、3紙の論説委員らが、3社の主張を議論したのです。
政府の案を批判するだけでなく、改革案を提言することは、私はとても良いことだと思います。「新聞社は自説を主張してはいけない」という意見もあるそうですが、社説では毎日、自説を主張しています。それなら、批判より建設的な提言の方が意味があります。年金財政に限らず、いろんなテーマでやって欲しいです。
大林尚記者は、大活躍ですね。

マスコミの力

12日の朝日新聞は、新聞週間特集で、新聞記者が取材で暴いた事件を取り上げています。一つは、朝日新聞北海道支社による、偽牛ミンチ(ミートホープ)事件です。疑惑のコロッケを買って、検査機関に持ち込んで肉の種類の鑑定までしています。「報道で批判して逆に訴えられると、数十億円単位の請求額になる」という心配を抱えてです。
もう一つは、北日本新聞(富山県)による、高校での世界史必修科目履修漏れです。もう一つは、各紙が追いかけた政治家とカネの問題です。
それぞれ、地道な取材と独自の調査で、素晴らしい結果を挙げています。各省の発表や誘導による「大本営記事」でなく、このような記事を書いて欲しいですね。
先日、ある紙が、年度末に租税特別措置の延長法律が通らないと、軽減税率がなくなって、ものの値段が上がる場合があることを、例を挙げて書いていました。それは正しいのですが、一方で、超過税率がなくなって、値段が下がるものもあるのです。なぜか、そちらの方は書いてありませんでした。