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生き様

運慶展

上野の東京国立博物館に、「運慶展」を見に行ってきました。良かったです。
800年前(1200年頃)に、これだけすばらしい彫刻があったのです。奈良や京都の仏さんは、現地のお寺で見ているのですが、解説付きの美術品としてみると、また違いますね。照明を落としてあるとは言え、博物館ではお寺より間近でよく見えます。お勧めです。

四天王像の手や足の躍動感は、すばらしいです。仏様はお顔は穏やかで、体は衣をまとっておられるので、仏師の勝負は顔つきになります。しかし、四天王像になると、甲(よろい)は技巧としても、筋肉や指先がでてきます。しかも、剣闘士ですから、武器を持ったり力を入れているのです。仏様の静に対して、これらは動です。
あり得ない話ですが、運慶が、西欧の女神像やダビテ像のように裸体の像を造ったら、すばらしいものができたでしょうね。ミケランジェロと勝負して欲しかったです。ミケランジェロも、運慶の作品を見たら、お手本としたでしょう。
最も大きな作品である、東大寺南大門の仁王像は、運んでこられていません。ちょと無理ですかね。

無著、世親像は、数年前興福寺北円堂で見てきました(。天灯鬼と竜灯鬼は、好きなので、仕事場にミニチュアを飾っています()。
四天王の足に踏みつけられている餓鬼たちも、興味があります。子どもの頃、友達と「おまえにそっくりだ」と言って、からかっていました(笑い)。でも、多くの場合、餓鬼たちはかなり手抜きをされています。上に立っている四天王像に比べ、リアル感が少ないのです。多分、お弟子さんが作ったのでしょうね。

もう一つ勉強になりました。1186年を鎌倉時代と表示してあります。1192年が鎌倉幕府が開かれた年(いいくにつくろう)と覚えていたのですが、近年は1185年頃を鎌倉時代の初めとしているのですね。

カズオ・イシグロさん『日の名残り』

今年のノーベル文学賞が、イギリスのカズオ・イシグロさんに決まったとのことです。
私は、小説はめったに読まないのですが(そこまで手が回らない、時間がない。小説より現実世界の方が面白いので)、『日の名残り』は読みました。かなり昔のことです。本棚を見たら、(見えるところに)残っていました。

多分、書評か何かで触発されて、読んだのでしょう。イギリスのよき時代の邸宅や執事の仕事を知りたいという好奇心もあっと思います。あらすじも覚えています。読みやすく(翻訳も良く)引き込まれて、読み終えた記憶があります。しんみりした印象が残り、良い小説だと思いました。
それ以上の解説をする能力はありませんので、それぞれお読みください。

よい季節になりました。

9月も下旬になりました。30度を越えていた気温も下がり、朝晩は20度前後と寒くなりました。「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものです。仕事も勉強も、はかどる季節ですね。
私は先週は(月曜日は休日)、火曜日は福島勤務、水曜日は大阪で講演。木曜・金曜に霞が関に出勤すると、報告や面会が続き、国会議員からのお呼びも。金曜から、大学での授業も始まりました。いささか疲れました。時間が経つのが早くて困ります。いつも同じことを言っています(苦笑)。

その間に、9月末締めきりの原稿を、ほぼ完成させました。後輩がほとんど書いてくれて、私は導入部だけなのですが。
連載はもうしばらくで、中級編を完結させる予定です。しかし、なかなか時間がとれません。土曜・日曜と、孫のお相手と、原稿書きにいそしんでいます。なんとか、第39号分を書き上げました。これから、右筆に手を入れてもらいます。
肝冷斎は、せっせとプロ野球観戦に出かけているようです。

故・河合常則先生

今日は、河合常則先生(元参議院議員)の弔問に、富山県南砺市まで行ってきました。葬儀は明日なのですが、私の都合で今日お邪魔しました。
私が富山県庁総務部長の折(平成6年から10年)、先生は県議会、自民党県連の長老として、議会を仕切っておられました。困ったときには(そうでないときも)何かと相談し、助けていただきました。総務部長を4年間、充実し楽しく過ごせたのは、先生のおかげです。城端町のお祭りにも、呼んでいただきました。ご自宅の2階で、下手なフルートを吹いたことも、懐かしい思い出です。
昨年パーティーを開かれ、参加しました。ご病気であることを明らかにされていましたが、残念なことです。ご冥福をお祈りします。

行く途中で、砺波平野の稲穂の波を見ながら、奥の細道の句「あかあかと日はつれなくも秋の風」を思い出しました。
調べてみると、芭蕉が高岡から金沢に入った折の句だそうです。季節はやや遅いですが、場所はちょうどだったのですね。

アメリカ旅行6

いくつか、今回の旅行での困った点を書きました。それでも、海外旅行は面白いですよね。知らないところを見ることは、楽しいです。
そして、比較することで、日本を知ることができます。かつ、私を含めて多くの日本人が、海外旅行をすると、日本が良いと再認識して帰ってきます。
安全で清潔で豊か。これは、日本が世界最高水準でしょう。食べ物もおいしいし。

ところで、ティップの慣習はなくならないのでしょうか。この制度は厄介ですよね。お店で、サービス料込みなのか、ティップを払うものなのかを迷います。また、レストランでの支払いも、まず請求書を見て納得し、クレジットカードを渡します。そして、もう一度来た請求書に、ティップを上乗せした金額を記入します。2度手間なのです。そしてご丁寧に、ティップの推薦額が(15%ならこれだけ、18%なら、20%ならと)書かれているのです。それなら最初から15%を加算しておけば良いものを。何かと合理的なアメリカで、続いていることが不思議です。

司馬遼太郎さんに『アメリカ素描』(文庫版、1989年、新潮文庫)、『ニューヨーク散歩(街道をゆく39)』(文庫版、1997年、朝日文庫)があることを思いだし、読み返しました。
彼の地の社会の分析もありますが、多くは日系人や日本研究者との交遊録でした。司馬さんが自らおっしゃっているように、「日本と中国の専門家」である氏が、短期間の旅行でアメリカをとらえることは難しく、避けておられるように思えました。