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生き様-体験談

あらこんなところに・・・

私の官僚体験を、研究者にお話しする機会があります。忘れていることが多く、覚えていても間違っていることがあります。記憶はええかげんなものだと、つくづく思い知らされます。
40年間の手帳」も、残して置いてよかったです。でも、肝心なことは手帳には書かれていません。会議や夜の会合は記録されていても、考えたことなどは書かれていないのです。私が載った新聞記事などはスクラップブックに貼り付けてあります。これは棚にあるので、すぐに引き出すことができました。

その時々に書いた覚書や印刷物になったものは、段ボール箱に放り込んでありました。2つあったので、これを引きずり出しました。書斎の奥にあって、その前の本の山をのけないと、たどり着きません。決心して、取り出しました。
開けてみると、いろんなものが出てきました。大学時代のノートや、スクラップブックに貼り付けてない新聞記事や雑誌記事も出てきました。そのほか、大臣秘書官、富山県総務部長、省庁改革本部、再チャレンジ政策担当、総理秘書官時代の資料なども発見。
整理されていないので、何があるか見直すのが大変です。まあ、こんな機会でもないと、永遠に開くことはなかったかもしれません。「あらこんなところに××が

ところが、あったはずの資料が見つかりません。と思っていると、本棚にファイルボックスが一つ見つかりました。目の前にあったのに。さらに、文房具入れからUSBメモリを探し出しました。ここにも、いろんな文章が残っていました。しかし、探している資料は出てきません。

なぜか忙しい

久しぶりの、ぼやきです。毎日が、早く過ぎていきます。なんで、こんなことになるのか。
金曜日に、翌週以降の日程を、職場とキョーコさんにそれぞれ伝えます。それを書きながら、「もう1週間も経ったのか」と嘆きます。職場には電子メールで、キョーコさんには紙で伝えるのですが、その感慨は紙に書いているときの方がきつく感じられます。キーボードとペンとの違いでしょう。キーボードは機械的ですが、ペンは肉体的で感情が伝わります。

他方で、原稿の締め切りや講演会の予定は、1枚の紙に書いてあって、しょっちゅう確認します。それを見つつ、職場の行事などを入れて、毎日、明日にしなければならないことを確認します。いろいろある日には、それを自分宛の電子メールに書き出しておきます。くせ者は、この締め切りが先の原稿や講演会の準備です。少しずつ進めておかないと、1日や2日頑張っても、できあがらないのです。

一つ一つの課題はそんなに難しくないのですが、それがいくつも重なると、しんどくなるのです。毎週締め切りが来る連載原稿執筆、毎月一回の勉強会の準備、次々とくる講演会の資料作成。その合間を縫ってこのホームページの加筆・・・。引き受けた私が悪いのです。仕掛かり品をたくさん抱えていると、精神衛生によくないです。
夜の意見交換会も、それなりに入ります。土曜日曜は、孫の相手もしなければならないし。冷たいビールや冷酒は、おいしいです。飲むと、勤労意欲は失せます。読みたい本や資料が、また机の上に積もります。
と、少々難しい原稿の校正をしながら、こんなことを書いています。肝冷斎は今日も、野球や現地調査に出かけているのでしょうね。

職歴を振り返る

連載「公共を創る」で、第183回から第190回まで、私の職歴を振り返りました。幹部官僚のあり方と育て方を議論するに際して、私の経験を紹介したのです。飲んで後輩たちに自慢話をすることはありましたが、このような観点から、自分の仕事とそこで考えたことを振り返ることはこれまでなかったので、よい機会でした。

「公共を創る」という論考には少々場違いでもありますが、具体例のない抽象論は読んでいて面白くなく、説得力も少ないですよね。最初はためらったのですが、書いているうちに、これも後輩たちには意味があると考え直しました。特に、前半の自治官僚だけにとどまらず、後半に内閣官僚になって視野を広げた経験は、珍しいと思います。

私が官僚になった昭和53年(1978)から、46年が経ちました。その間に、社会も行政も官僚も大きく変わりました。その頃のこと、そしてその後の変化を知らない若者に、少しでも役に立てばうれしいです。「古すぎる」と笑われるかもしれませんが。

靴磨きの指導を受ける

しばらく前のことです。通勤に履いている靴の一つの中敷きや紐が傷んできたので、近くの靴修理屋に持っていって、相談しました。店主とはなじみなので、「かなり傷んできたけど、まだ修理して使えますかね」と。

おじさん曰く「お客さん、人を相手にしているのでしょ。もう買い換えなさい」とのご宣託。私の職業は言ったことがないのですが。
傷んだ皮を指して、「どのような手入れをしていますか」と聞かれました。「いや~、ほとんどほったらかしですわ」と答えると、「液体の靴クリーム、スポンジがついた容器で塗っているのですか」と、図星の指摘。「塗り重ねて磨けばよいのでしょ」と言って、叱られました。
「女性の化粧と同じで、いったん古い化粧を落としてから、改めて塗るのです。そうしないと、汚れをすり込んでいることになります」
わかりやすい説明でした。「まずはクリーナーで汚れを落としてから、クリームを塗るのです」「こうすれば10年でも20年でも持ちます」

そういうことだったのか。この歳になるまで、知りませんでした。親から、「足もとを見られる」という言葉があるから、靴はきれいなものをはけと言われて、それは守ってきました。ただし手入れについては、「まあいいや」とずぼらを決め込んでいました。家の下駄箱を見たら、クリーナーもクリームもブラシもありました。ひょっとしたら、息子が置いていったものかもしれません。それで、教えられたことを実践しています。

知人の何人かに「あんた、靴をどのように磨いているの」と聞いたら、みんなきちんとやっていました。う~ん、私だけが、ずぼらだったんだ。
若いときは、数年で履きつぶせばよいわとも思っていました。料理屋に上がることも多く、きれいな靴を履くようには気をつけていましたが。秘書官などをすると、ゆっくりと紐を結んでいる時間はなく、紐靴は履けませんでした。服装とともに、無頓着でした。その後、服装や帽子には気を遣うようになったのですが、靴の手入れは盲点でした。反省とともに書いています。遅いわ。

本家の再活用9

このホームページで紹介してきた、明日香村にある本家の再活用。このたび、奈良県建築士会の「場を生むデザイン賞2023」最優秀賞に選ばれました。ありがとうございます。

この賞は、奈良県建築士会が「建築が主役ではなく、建築が背景となり地域の人々による等身大の活動と建築によって生まれる魅力的な場」を表彰します。かつては、景観デザイン賞といったようです。時代の変化によって、建物の意匠でなく、地域の人々の縁となる場、地域の人々が元気になる場へと考え方と対象を変えたようです。
このようなところでも、日本社会の成熟化、地域の活力低下が現れ、それへの対策を考えてくださっているのです。納得です。

受賞者は、伊藤立平建築設計事務所です。立派な事務所が関わってくださっていたのですね。
明日香村商工会「明日香スタンド」、「建て替えられる建物、3