12月19日の毎日新聞に、「内閣官房参与 15人も必要?」という記事がありました。
私もその一人として、表に載っています。
「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ
生き様-仕事の仕方
有田哲文記者「天声人語」
朝日新聞のネット版に、有田哲文記者が、担当しておられる「天声人語」について書いておられます。「天声人語」は朝日新聞の顔とも言える、朝刊1面のコラムです。私も学生の頃、勉強材料にしました。
・・・ただ、書き溜めることはないです。「こういうテーマをいつかやりたいな」と思って、それに向けて勉強することはありますが、書き上げることは直前の瞬発力にかけています・・・
・・・書くときには、「書きたいこと」「書くべきこと」「書けること」この3つを闘わせます。書きたいと思っても、それを支える材料を持っているか、納得させられることなのかが重要。本で読んだことがあるか、取材したことがあるか、自分は考えたことがあるか、書けるけど面白いか、など考えます・・・
書きためずに毎日の勝負だとは、すごいです。
603文字の勝負です。難しいですよね、この文字数に収めるのは。文章って、短くする方が難しいです。だらだらとなら、書きやすいですが。職場の文書だって、1枚に入れる方が、3枚書くより難しいでしょ。
この字数の中で、起承転結や序破急をつけ、言いたいことを入れる。それも格調高くです。6段落が決まりとは、知りませんでした。
2人の記者で担当しておられるとか。100年の決まりを変更して、執筆者を明らかにして欲しいですね。
お二人のうち、どちらかが書いておられるのですから。隠す必要もないと思います。(有)とか、(哲)と一文字入れてくだされば。
同時に2つのことはできない
エドワード・M・ハロウェル著『ハーバード集中力革命』(邦訳2016年、サンマーク出版)の扉に、次のようなアインシュタインの言葉が、引用されています。
「美人にキスをしながら安全運転できる人がいるって?
きっと、彼はキスに集中できていないだろうね」
Any man who can drive safely while kissing a pretty girl is simply not giving the kiss the attention it deserves.
同時に二つのことをする人がいます。音楽を聴きながら勉強するとか。私は、できません。それどころか、気が散る場所では、難しい本も読めません。
人間の脳は、コンピュータのように、並列処理とか、瞬時に切り替えることはできないようです。「ながら族」は、たぶん同時には2つのことをできていない、いえひょっとしたら、2つともできていない可能性があります。
秘書官たちの権力争い
10月31日日経新聞オピニオン欄、アド・マチダ氏(トランプ大統領の元政権移行チーム政策立案責任者)の発言に、興味深いことが含まれていました。ホワイトハウスの中枢幹部の混乱についてです。
「プリーバス氏が首席補佐官だった時は(イバンカ、クシュナー両氏を)警戒していた。そんな状態では困る。だから国土安全保障長官だったケリー氏を後任の首席補佐官に起用し、まず大統領執務室へいつでも予約なしに入れる『ウォーク・イン・ライツ(大統領との自由な面会権限)』を持つ人をなくした」
「普通は6、7人だがプリーバス氏の時は35人もいた。これではトランプ氏が仕事をできない。執務室へのウォーク・イン・ライツを持つ人をゼロにすることについて、イバンカ氏もクシュナー氏も了解してくれた。彼らも政策について大統領と話す時には事前の予約が必要になった」
アメリカ大統領だけでなく、総理大臣にしろ会社の社長にしろ、権力者を支えるスタッフをどのように管理するかは、とても重要かつ難しい課題です。
補佐官や秘書官、大臣や部局長、副社長や部長の間で、権力者に仕える競争(権力者を取り込む競争)が始まります。
権力者が、部下たちの状況を把握しておれば、部下たちの間に優先順位をつけます。ところが、個室に入った権力者には、すべての情報が過不足なく入ることはありません。個室からは外が見えず、入ってくる人と情報が限られるのです。部下からすると、権力者に近づくことができる権限が、重要になってきます。
本来、抱えている課題の重要度合と、権力者が取り組みたい順で、優先すべき課題が決まります。そして、それを担当している部下が執務室に呼び込まれる順番が決まるべきです。しかしそれは、自動的にあるいは計算すれば出てくるものではありません。
外交と内政、経済と福祉、誰と面会するかや、あすの晩飯はどこで何を食べるかまで、どれを優先し限られた持ち時間をどれに割くか。数学で解ける問題ではありません。
秘書官たちあるいは補佐官や取り巻きを含めて、直接権力者に会うことができる部下たちの間で、どのように序列ができるか。もちろん、権力者が指名して部下の序列を作るのですが、必ずしもそうなりません。
時間が経つと、補佐官たちに序列ができます。一つは、一番回数多くかつ長く権力者と会っている者が、第一人者になります。
もう一つは、権力者の執務室の扉のノブを握っている秘書官が、第一人者になります。それは、誰を執務室に入れるか入れないか(権力者に会わせる会わせないか)の決定権を握るからです。会社においても、副社長より秘書室長が権力を持つことがあるのです。
あわせて、権力者の日程を調整する者が、実権を握ります。仕事の優先順位は、あすの日程をどうするかに現れます。たくさんある課題の内、どれの説明を優先するか。たくさんある面会希望の内、誰を優先するのか。誰を会わせないのか。
ところが、権力者はとても忙しくて、あすの日程を自分で判断する時間はありません。仕事を効率的に処理する=あすの日程を作るには、権力者が信頼する筆頭秘書官が必要です。そして、彼が権力を持つことになります。
補佐官たちの権力争いとしてみると、このように分析できます。他方、権力者と筆頭秘書官からすると、これを認識した上で、補佐官たちを管理することや、日程を調整する必要があります。
商工中金事件、奇妙な論理
商工中金事件の続きです。社長が命じた特別調査の際に、コンプライアンス担当は奇妙な論理で、隠蔽してしまいます(要約版p16以下)。はしょって紹介しますので、原文をお読みください。
不正融資をするために、貸出先の数字を改ざんしました。その際に、決裁に付け判断の材料とする「顧客名義の試算表」を、担当者が自作したり改ざんしたことが、私文書偽造罪に当たるかが問題になりました。弁護士に相談して、次のような回答を得ます。
①顧客名義の試算表について、「商工中金作成(名義)資料」(=商工中金内部資料)と認識して作成していた場合、故意がないため、私文書偽造罪は成立しない。
②試算表の自作について「顧客の承諾を得ていたと思っている場合」や「顧客の承諾を得られると思っている場合」には、故意がないため、私文書偽造罪は成立しない。
簡単にいうと、「顧客の資料を改ざんしたのではない、会社の内部資料なので」という理屈のようです。これで、不正ではないと結論づけるのです。
問題は、事実に反した顧客の経営状況(数字)に基づいて融資をしたかどうかです。しかし、それを私文書偽造罪に矮小化して、それには当たらないと判断します。
う~ん、知恵者なのか・・・。