上司が気づかず、部外者に指摘される、部下や組織の不都合があります。
1 ある県庁で勤務していたとき、県外の有名人を招いた会議を開いたことがあります。後日、知事のところに、出席者の一人から、苦情が寄せられました。「宿泊したホテルは一流だったけど、朝ご飯(ビュッフェ形式)がおいしくなかった」と。
幹部会議でそれが話題になったときに、県庁幹部が顔を見合わせました。「そういえば、このメンバーは誰一人として、あのホテルで朝飯を食べたことはないなあ」と。
そうなんです。そのホテルは、昼や夜の会合にはよく使いますが、宿泊することがないので、宿泊者用の朝ご飯は、地元の人間は食べることがないのです。外の人に指摘されて、初めてわかりました。
2 先日、ある有名企業を訪問した際のことです。事前に訪問先の予約を取り、面会の登録をしておきました。地下駐車場への入り口で名前と行き先を確認され、駐車場に誘導されました。地下1階の入り口で車を降りて、係員の誘導で受付に行きました。そこで、「復興庁次官の岡本です。××さんに約束をいただいています」と名乗りました。受付嬢が資料を確認して「承っております」と言ってくれました。ここまでは通常です。問題は、ここから先です。
彼女は、カウンターにあるタブレットを指し示し、「所属と名前と訪問先を、この画面にタッチペンで書いてください」と言います。私は、「名刺を出します」と言って名刺を渡したら、「いえ、自分で所属と名前と、訪問先を書いてください」と答えます。「私は復興庁の次官やで。名刺でダメなんか」と言ったら「はい」と。「相手が大臣でもそう言うの」と言ったら、キッパリと「はい」と、自信に満ちた返事が返ってきました。
「こらあかんわ」と思ったら、同行した職員が、私に代わって私の所属と名前と、訪問先を記入しました。そして、訪問先に通してもらいました。
同行した職員の推理では、次の通り。
彼女は、指示されたマニュアルどおりに対応しただけであって、彼女は悪くない。その会社の職員や幹部は、社員証を見せることで通過できるので、外部からの訪問者が所属、氏名、訪問先を一々自筆で記入させられていることは、知らないのだろう。なるほどね。
3 電話をかけた際に、電話を受けた秘書が上司にとりついでくれる待ち時間の間に、音楽が流れることがありますよね。ある組織では、やたらと元気のよいマーチが流れます。調子がよいときはそれで良いのですが、元気の出ないこと(不祥事)が起きたときなど、えらく場違いに聞こえます。
その組織の幹部に、笑いながら伝えると、彼はそのメロディを知りませんでした。彼は、外から電話をかけることがなく、その音楽を聞くことがないのです。
4 部下に、封筒の封緘と宛名書きを任せておいた場合の「悲惨な結果」について、かつて書いたことがあります(2007年10月7日)。
他社のことばかり書きましたが、我が社でも私の知らないところで、相手を不愉快にさせていることがあるのかもしれません。
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生き様-明るい課長講座
よりたくさんもらうために。笑い話
先日、飲み会での話題です。嫁さんに、お小遣いを10要求したら、5しかくれなかった。どうするか。
Aさん、「なんで、半分しかくれないんだよ」と怒る。
Bさん、「ありがとう。でも、あと5要るんだ」とお願いする。
Cさん、「ありがとう。助かるわ。さすが美人の××さん」とヨイショする。そして、別の日、嫁さんの機嫌がよい日に、「あと5あると、うれしいんだけど」とおねだりする。
多く人の反応は、次の通り。
Aさんの場合は、怒った嫁さんに「何言っているの、家計は苦しいんだから。いやなら、その5も返しなさい」と全部取り返されるだろう。
やはり、Cさんの作戦で行こう。でも、それができないんですよねえ。
明るい課長講座上級編。回答
先日の「困った、あなたならどうする」に、何人かの人から回答案が寄せられました。紹介します。少し加筆してあります。それぞれ場面1についてです。
(Fさんの回答。模範的回答+聖人君子です)
Cくんの立場はつらいのですが「えーと、なんでしたっけ?」と聞き返し、「あれだよ」ともう一度言われてから「あ、あれですか。すみません、やってませんでした」と答えます。部屋から出てきてから、B課長に「すみません、手を付けてから報告するつもりだったんですわー」と言うのです。わだかまりは残らざるを得ませんが、CがB課長に気をつかっている、ということだけは明らかになります。あとは、時間が解決(誰かが異動する)してくれるのを待つしかありますまい。
Bさんは簡単で、はらわたを煮えくりかえさず、その場では「なんでしたっけ?」と言うのです。そして、部屋から出てきてからCに、「手数かけてすまんけど、Aさんにつきあったって」と頭を下げるんです。
(Yさんの回答。普通の人+穏当でない回答)
私がCくんだったら、きょとんとし続けます。で、AがBを飛ばした時点で、CはBを見限ったはずなので、Bを異動させるようAに工作します。ダメなら、Cが自ら異動をAに希望します。
Aさんだったら、速やかにBさんとの飲み会を設定し、窮鼠にしない。
Bなら、Cを虐殺します。(まじめに読んではいけません)
接待の手土産
23日の日経新聞に、「接待の手土産セレクション2015」が載っていました。どうやら、取引先の接待の後にお渡しする手土産のリストです。上司が持っていく品物を、秘書が選ぶ際の候補のようです。たしかに、これは難しいですよね。日本の接待は、夜の料亭やレストランで行われます。休日のゴルフ場もあるようです。そこで、お持ち帰りいただくとすると、接待相手とともに、ご家族が喜ばれるもの、そしてかさばらないけどそれなりの金額のものである必要があります。
秘書が困るのは、自分はその相手を知らない、どの程度の金額がよいかわからない・・・からです。料亭やレストラン、ホテルなら、その店がつくっているお菓子などが定番でしょうが。この宣伝は、よいところを、ついていますね。品物を選んだ理由に、「日経新聞に載っていますから」と言えます。接待に使う店も、紹介してくれるようです。「明るい秘書講座」裏技編ですね。
国家公務員は、1990年代の官官接待や不祥事以来、接待を受けることは禁止されています(国家公務員倫理法)。よって、この悩みはありません。厳密に言うと、接待することは禁止されていないようなので、持っていく手土産を悩むことは可能ですが(苦笑)。誰も、していないでしょうね。
明るい課長講座上級編。困った、あなたならどうする
昨日に続いて、明るい課長講座です。ある人から「全勝さんなら、どうしますか」と質問されて、よい回答が浮かばなかった事例です。かなり上級編です。市販の「職場もの」の本には、出ていないでしょうね(苦笑)。
(場面1)
登場人物は、Aさん(上司、例えば局長)、B(その部下、例えば課長)、C(Bの部下、例えば課長補佐)。3人が、職場(Aさんの部屋)で、仕事の打ち合わせをしています。Aさんが、聞きます。「Cくん、あの件はこうなっていたけど、その後どうなったかな?」。あるいは、「Bさん、あの件はどうなっていたかな?」と。
実はその件は、C君が、直接の上司であるBさんには内緒で、Aさんと進めていた案件です。あるいは、Aさんが、部下であるBを飛ばして、C君と話を進めていた場合もあります。それほど、微妙な案件です。Aさんはそれを失念して、Bさんの前で、話題にしてしまったのです。
Bさんは、訳がわからず、きょとんします。しかし、いきさつがわかって、腸(はらわた)が煮えくりかえります。「Cのやつ、俺に内緒で、Aさんと仕事を進めやがって」。他方で、C君は、凍り付きます。「Aさん、それはないでしょ。Bさんには内緒と、言ったじゃないですか」。
さて、ここからが「課長講座」です。
問1、あなたがBさんだったら、どうしますか。
問2、あなたがCくんだったら、どうしますか。
Cくんの場合は、素知らぬ顔をして、Aさんの問に答える。そして、その場を離れてから、Bさんに「すみません、Aさんに言われて、作業をしていました」と言うのでしょうか。「いや~、Aさんが、Bさんに伝えていたと思っていました」と、白々しい嘘をつくことも可能ですが、そんな嘘は、Bさんはすぐに見破るでしょう。
Bさんの場合は、より難しいです。あなたがBさんだったら、怒りに震えています。しかし、Aさんに向かって「わたしは、その話を聞いていません」と言うことが正しいかどうか。言われたAさんは、ばつが悪いですわね。AさんとCくんと、2人を敵に回します。かといって、黙っていたら、この後、あなたは、AさんもC君も信用できなくなります。
(場面2)
よく似た場面として、飲み会の翌朝があります。前の晩にAさんとC君さらには他の人が一緒に飲みに行って、あなた(Bさん)だけが呼ばれなかった場合です。それが翌朝の会話で、わかったのです。事前にお誘いがあったけど、あなたは、別件があって断ったなら、問題がありません。しかし、あなただけ、どうやらお誘いがなかったような場合です。
AさんとCくんだけなら秘密は守れるのでしょうが、参加者が多くなるとこんなことも起きます。無邪気に「ゆうべはよかったね・・」と、Bさんの前で話してしまうのです。それを知ったあなたは、どのような行動をとるべきか。知らなかったら、良かったのにね。
教訓=飲み会は、誰を誘うかより、誰を呼ばないかを決めることが難しい
この設問は、職場での人間関係編であり、トラブル対応編です。