カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

夫婦げんかに「勝たない、勝てない、勝ちたくない」

NHK News UP「妻には “勝ちたくない”?」(11月22日掲載)を教えてもらいました。詳しくは、原文を読んでいただくとして。
「全国亭主関白協会」なるものがあるそうです。そして、関白の意味するところは、「もともと関白は天皇を補佐する役目。夫は関白となって常に支えるというのが、正しい解釈ですよ」とのこと。ここからして、既に、夫は妻に負けています。

その団体が提唱している「非勝三原則」があります。夫婦げんかに「勝たない、勝てない、勝ちたくない」です。(苦笑)
私をはじめ、世の中の多くの男性は実行しているはずです。あるいは、まだ気がつかず、ムダな抵抗をしているのかも。

ところで、11月22日の「いい夫婦の日」を提唱したのは、財団法人の余暇開発センター(現在の日本生産性本部)で、時期は昭和63年だったそうです。この「いい夫婦の日」も嘘くさいですね。1年で1日だけいい夫婦なんて・・・。

参考「亭主関白型から平等家庭へ、この半世紀の大転換

職員が仕事に頑張っている、けど

後輩職員と話をしていて、思うことがあります。
本人が「××の件で頑張っています。こんな成果を上げました」と報告してくれます。良くやっていることは、私もうれしいです。「よかったね。さらに頑張ってね」と応援します。

ところが、何か変だなと思うことがあります。確かに彼や彼女は良くやっていて、成果を出しているのですが。「その仕事って、能力あるあんたが頑張るような内容かね」と思うことがあるのです。
「そんな仕事は、適当に片付けるか、暇な人に任せて。あんたは、もっと重要な仕事をした方が良いよ」と助言したいです。でも、与えられた仕事を一生懸命やっている彼に、そのようなことを言うのは残酷です。そして、それは彼の責任ではないのです。

問題は、有能な職員にさほど重要でもない仕事をさせている、上司にあります。
職員は、与えられた仕事をきちんとやらないと、評価が低くなります。もし彼が勇気と説得力があるなら、上司に対して「この仕事は止めましょうよ」と意見するでしょう。しかし、多くの職員はそんな勇気はないでしょう。ある仕事を止めるとか手を抜くことの判断ができるのは、上司です。

私が若い頃、ある先輩が「この仕事はさほど重要でないので、私の代で止めましょう」と、上司に意見したことがありました。その話を聞いて、びっくりしました。
当時駆け出しの私は、与えられた仕事はきちんとするもの、前任者より丁寧にやることと考えていました。そして、私が担当している仕事は「重要なのだ」とも。
しかし、先輩の話を聞いてなるほどと思い、私もそのような立場になったら、同じようにしようと肝に銘じました。また、止められない仕事でも、どうしたら手を抜くことができるかを、常に考えていました。早く片付けて、帰りたいですよね。

上司になったときは、部下に「その仕事はもっと手を抜けないのか」と質問するようにしました。
あなたも、前年通りの仕事をする際に一度立ち止まって、それが重要か、もう止めても良いかを考えてみてください。その際に、上司に言わずに1人で手を抜いたら、減点の評価をもらいますよ。気をつけてください。

こち亀・秋本さん「会議は終わりを決めて」

11月13日の読売新聞「著名人の経済トーク」は、マンガ家の秋本治さん「定時勤務で「こち亀」200巻」でした。

・・・締め切りに追われ、血眼になって24時間描き続ける。マンガ家はそんなイメージが強いようですが、私は午前9時から午後7時の定時勤務で、睡眠もしっかり取ります。アシスタントはタイムカードで出退勤を記録し、残業はありません・・・

・・・集英社「週刊少年ジャンプ」に連載を始めてからの1年は、仕事がいつ終わるのか、自分でも分からない状態でした。締め切りに追われて常にギリギリ。徐々につらくなり、きちんと休みが欲しくなりました。
そこで2年目からスケジュール管理を徹底しました。作業工程を把握して無駄を省き、少しずつ仕事のスピードを速めていったのです。仕事をしないでコーヒーを飲んだり、部屋の掃除を始めたりと逃げることもやめ、座ったら鉛筆を握って仕事を始めてしまう。
余裕が生まれれば、必要なところに時間をかけられます。作品を充実させるための取材や、読み切りの新作にも取り組めます。
締め切りギリギリまで徹夜して仕上げるのを評価する考え方も、あるとは思います。少年ジャンプのスポ根マンガのような、「あきらめるな。最後の最後にどんでん返しだ」という感じでしょうか。ただ、なかなか現実には起こらない・・・

・・・日本人は開始時刻には厳格なのに、終了時刻はいいかげん。打ち合わせや会議がそうです。私は終わりの時間をあらかじめ決めておき、結論が出なければ「また次回」と、打ち切ります。
人間の集中力は1~2時間が限度でしょう。3時間で何も出なかったら、お互いその3時間を無駄にしてしまうわけです。
そんな時は、次回までに絵や企画など具体的なたたき台を用意します。会話だけでは一歩も進まないからです。意見が割れても、自分の考えを強引に押し通そうとは思いません。とりあえず折衷案を作り、もう一度議論する方が建設的です・・・

ワーク・ライフ・バランスは引き算で

11月2日の朝日新聞オピニオン欄「ワーク・ライフ・・・過労」。渥美由喜さん(東レ経営研究所主任研究員)の発言から。

・・・僕も長男(13)と難病の次男(9)を育てながら、父の介護をしています。AI系の技術者の妻は超多忙。家庭のことは夫婦でほぼ折半していて、僕も何度かぶっ倒れそうになりました。
その経験から言えるのは、ワーク・ライフ・バランスは足し算で考えると破綻するということ。ワークにもライフにも多くの時間と労力をかけるのでなく、「引き算」と「かけ算」の組み合わせで考える必要があるということです・・・
・・・ そしてタスクは引き算しても、自己評価は足し算で。「楽している」と思うと罪悪感に襲われますが、「私(オレ)、よくやっている」と思えば、明日に向かえます・・・

そして企業に対しても、改革を訴えます。
・・・ワークに関しては企業風土を変えることで、もっと引き算できる余地があります。日本企業は「公平の軸」が強く、社員に等しく長時間労働や転勤を求めてきました。応えられない場合は、低い給与や昇進コースからの脱落を覚悟しなければなりません。
僕が推奨したいのは、欧州型の「公正の軸」です。達成すべきタスクと労働時間を切り離し、タスクをこなせば短い勤務でもきちんと評価する。子育てや介護でキャリアに差がつけば、後でフォローするのです。
ある先進企業では、個人の状況でワークとライフの優先順位を付けられるように、一人ひとりに合うコースや評価システムを設けていました。働き方を多様にすれば、そもそも不公平感も出ません・・・

三種の鈍器

11月5日の読売新聞朝刊1面コラム「編集手帳
今年のノーベル賞化学賞を受賞した吉野彰先生は、「三種の鈍器」を考えたそうです。備えておきたい3つの高価なものを、「三種の神器」とたとえます。私が子供の時は、洗濯機、冷蔵庫、テレビでした。

先生の考えた鈍器は、その逆です。既に発明されて古く、いずれ新しい技術に取って代わられると考えられるもの。先生が考えたものは、レコード、銀塩フィルム、ニッケル充電池でした。それぞれ100年使われていました。そこで、新しい充電池を考えました。

良い発想法ですね。私たちの職場でも、適用できます。役所に共通する三種の鈍器は、会議、パソコン、資料作りです。拙著「明るい公務員講座 仕事の達人編
このほかに、あなたの職場の三種の鈍器は、何でしょうか。それを見つけて、変えてください。