カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

在宅勤務で見えない残業

12月29日の日経新聞「休み下手」ニッポン上」に「祝日は多いのに…週末も仕事 在宅勤務 見えない残業」が載っていました。

・・・休日はあるのに仕事に追われてリフレッシュできない。働き方を見直す機運が高まり、制度のゆがみがあらわになってきた。子育てや介護などライフスタイルに応じて働き続けるには、上手に余暇を活用することが欠かせない。「休み下手」な日本の課題を探った。

「平日に有給休暇を使った分、土日で埋め合わせをしないといけない」。都内企業でコンサルタントとして働くさいたま市在住の女性(29)は11月、休日にもかかわらず自宅で業務をこなしていた。プロジェクトの繁閑によるものの、週の大半は在宅で勤務している。
有休は取得しやすいが業務量が減るわけではない。「土日は勤務扱いにはせず、持ち帰った端末でこっそり働く」。繁忙期になると、平日の仕事を減らすために休日に作業することが少なくない・・・

・・・在宅勤務は出社する負担を軽くした半面、仕事と私生活の境目を曖昧にしたとの指摘もある。自宅にパソコンや資料を持ち帰れば、いつでも仕事をできるためだ。
連合の調査では「出勤するよりも長時間労働になることがあった」と回答した人が5割を超えた。深夜に業務した人の割合も32.4%に上った・・・

休みの日 仕事の電話出る?

12月12日の読売新聞に「休みの日 仕事の電話出る?」が載っていました(すみません、去年のことを取り上げています。この記事のほかにも、しばらく続きます)。

・・・スマートフォンの普及でいつでも手軽に連絡を取れるようになった結果、働く人々が業務時間外の連絡を拒む「つながらない権利」が注目されるようになった。通信環境の変化に合わせ、労働者の健康を守る働き方改革が求められている。

24時間戦えますか——。バブル経済に沸いた1989年、栄養ドリンクのCMで登場したフレーズが話題を集めた。猛烈に働く企業戦士を鼓舞し、その年の流行語になった。
もっとも、当時の主な通信手段は固定電話。会社の外に出れば、良くも悪くも連絡を取ることには限界があった。
それから30年余りがたち、通信環境は劇的に進化した。2000年に携帯電話とPHSの契約者数が固定電話を上回った。ノートパソコンも身近なものとなり、10年頃からはスマホや通信アプリが浸透。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、20年代には、在宅勤務やオンライン会議が広がった。

仕事の効率性が向上した一方で、業務時間外でも連絡がつきやすくなり、「つながらない権利」の重要性が高まった。
パーソル総合研究所が今年7月、正社員3000人を対象に調査したところ、1295人が業務時間外の連絡があると回答。そのうち、過去1か月以内にすぐに対応を求められた人は58%に上った。メールの確認など「業務時間外でつながる時間」は月平均約40時間と推計された。
つながる時間が長いほど燃え尽き症候群になる傾向がうかがわれた一方、業務時間外の連絡に関する社内規則があるとした企業は31%だった。

欧州では「つながらない権利」を法制化する動きが広がっている。青山学院大の細川良教授(労働法)によると、フランスでは、労働者の過労が社会問題になり、16年に世界で初めて法制化された。通信機器の使用規制など、権利を実現する方法を労使交渉のテーマに入れることが義務づけられた。
同年のフランスの世論調査では、管理職の77%がバカンス中でも通信機器に接続したと回答。このうち、82%は「通信がストレスになる」と答えた。
細川教授は「休暇を重視するフランスでさえ、スマホがもたらした利便性の波にのまれた。休息の質と量をいかに確保するかが問われる時代になっている」と話す。スペインやベルギー、イタリアでも「つながらない権利」が法制化されている・・・

ケーキ破損、原因が特定できない

12月に高島屋がネット販売したクリスマスケーキが、崩れた状態で客に届いた事件がありました。その原因について会社は、特定できないと公表しました。
・・・製造委託先や配送会社に調査した結果「原因の特定は不可能」と結論付けた。製造や保管、配送工程での温度管理は適切だったとしている・・・(日経新聞12月27日)。

これは困ったことです。原因がわからないと、今後も同様の事故が起きる可能性があります。2800個あまりを売って、そのうち約800個が壊れていたのです。1個や2個なら原因究明が難しいこともあるでしょうが、800個も、そして4個に1個が壊れているようでは、何か原因があるでしょう。少しでも、原因を絞り込めないのですかね。

それがわからないままに、今後も商品を売るのでしょうか。私が担当社員だったら、怖くて同じものは売れませんね。製造会社などを変える必要も出てきます。

在宅勤務でも会議は減らない

ワシントンポストに、興味深い記事が載っていました。”Tired of too many meetings? These companies helped cut the excess. From no-meeting Wednesdays to focus weeks, companies are finding new ways to lessen workers’ Zoom overload” 12 月 26 日
登録すると無料で読めます。

パソコンが翻訳した日本語では、「会議が多すぎてうんざりしていませんか? これらの企業は過剰分の削減に貢献した。会議のない水曜日から集中週間まで、企業は従業員のZoomの過負荷を軽減する新たな方法を見つけている」です。
本文も、パソコンに翻訳してもらって読みました。まあまあ意味はとれます。

・・・企業は、コロナウイルスのパンデミックが最高潮に達している間、従業員の多くが自宅に閉じ込められていた従業員とのつながりを保つため、会議を拡大した。
しかし数年後、多くの人が少なくともパートタイムでオフィスで働いているにもかかわらず、圧倒的な数のビデオ会議が残っています。一部の企業は、疲労を軽減し生産性を高めるために、会議の文化を見直し、時間を短縮しています。
2020 年 2 月以降、Microsoft Teams ユーザーは 1 週間あたり 3 倍の会議と通話を行っていると同社は報告しています。労働者らは、会議が多すぎて非効率であることが、生産性に対する障害の上位 3 つのうちの 2 つであると報告しました・・・

記事では、会社が会議を削減し、社員が集中できる時間を確保する努力をしている様子が報告されています。欧米の職場では、文書によるやりとりが主だと聞いていたのですが、そうでもないのですね。
会議が仕事の邪魔だとは、拙著『明るい公務員講座 仕事の達人編』で主張しました。そこでは、集まっての会議を想定していたのですが、オンライン会議が普及しても、問題は同じですね。

役員も大部屋で、決定を迅速に

11月30日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」は、川上康・琉球銀行頭取の「役員も大部屋で、決定を迅速に」でした。

――琉球銀行には役員室がないそうですね。
「10年ほど前から頭取以下5人の役員が大部屋で一緒に仕事をしています。前任の頭取が始めましたが、実は20年ほど前、企画課長だった私が提案しました」
「役員ひとりひとりの部屋を回って説明するのは時間の無駄です。個室という密室にこもっていると考える方向性が少しずつずれてしまうと感じていました。目標に向けた価値観や情報の共有が重要なのに、部屋という壁があるとそれができない。提案は長く塩漬けになっていて、導入直後は反発もあったようですが、始めてみるとこれはいいということになりました」

――その効果は。
「意思決定の迅速化です。新型コロナウイルス禍になる前の18年秋の融資方針の転換がいい例でした。当時の県内は大変な好況でした。沖縄に観光客が押し寄せ、住宅建築着工数も伸びていました」「一方でオーバーツーリズムが大きな問題になりつつありました。建築費が上昇しアパート運営も利益が出にくくなっていたし、ホテルは供給過剰が懸念されていました。そして18年7月の観光客数が約6年ぶりに前年同月を下回ったと県が発表しました」
「ちょっと集まってくれ、と目の前に座る役員に声をかけました。景気の変わり目だと思うが、皆さんはどう思うかと尋ねると、彼らもそんな気がしていたという。ならば融資の審査基準を上げようと、その場で意思統一。役員は審査や営業など担当部門に散って融資基準を練り直しました。20年度からの中期経営計画は、不景気を前提に計画を作ることができました」

――そうした環境を作るうえで何が大切ですか。
「強固なチームワークを築き担当役員に仕事を任せることです。一番まずいのが権力の集中。自分の思い通りにできるかもしれませんが個人のリソースは限られます。何でも自分で決めようとすると判断速度が落ち、マーケットにおいてけぼりにされてしまいます。さらに部長や課長は、担当役員を軽視するようになるでしょう」
「担当役員が時間をかけて検討する方がいい結果になる。多少の齟齬は生まれますが、そこは互いが話し合えばいい。その意味でも大部屋は役立ちます」