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地方財政改革の方向と交付税の未来

1 これまでの経緯
最近の動きは、「地方財政改革の動き」をご覧ください。
三位一体改革(平成13年から17年まで)は、地方財政改革の経緯」を見てください。

2 それまでの動き
(1)最近の地方財政改革
大きな流れや歴史的な位置づけは、「地方財政改革論議-地方交付税の将来像」(ぎょうせい、2002年)に、私の考えを書きました。
なぜここに来て、地方財政・地方交付税が改革議論の対象になったのか、それら改革論についての考え方を述べ、地方財政・地方交付税の将来像を議論しています。平成14年度の地方交付税の見直し(段階補正削減、事業費補正削減)の他、税源移譲などなどについても解説しています。
(2)最近の交付税の算定
その後の動きを、「平成15年度地方交付税法の改正と最近の議論」(月刊『地方財政』2003年4月号)に載せてあります。今回は、「県分留保財源率の引き上げ」を行います。これで、経済財政諮問会議から提言を受けた事項と大臣から提案した項目すべてを、行うことになります。
もっとも、これで済んだ訳ではないので、今後の見通しについても述べておきました。地方行政関係者が、最も気にしている、①交付税による財源保障の行方、②財源不足、③市町村合併と交付税などについてです。
(3)ここ10年(バブル期以降)の交付税の変化
月刊『地方財政』(地方財務協会)2004年1月号に、「近年の地方交付税の変化」を書きました。地方交付税制度が、16年度で50周年を迎えます。そこで『地方財政』では、これから特集を組みます。その第1回目として、近年の交付税の変化を述べました。
この10年間、正確にはバブル期からの交付税制度の変化は、今から振り返ると極めて大きなものがありました。総額の変化、財源不足の補てん方法の改正、赤字地方債への振替、ふるさと創生の支援、事業費補正の活用と縮小、三位一体改革へと、大きな変化が続きました。財源が、国税3税から5税にもなりました。
この間に、担当補佐と課長をさせていただきました。その間の変化を記録するのは務めと思い、書きました。もっとも、私が担当したのは一部ですが。「交付税の歴史」といえば、大先輩が出てこられるべきでしょう。それら先輩の談はこれから書いていただくとして、「前座」として私が書きました。でも、10年経ったら、私がやったこと、書いたことも、「歴史」になるでしょう。「後世の批判に耐えるか」、それを考えていました。交付税を研究しておられる方には、読んでいただきたいと思います。
【訂正】196ページに間違いがありました。右段上から3行目「税源保障範囲」とあるのは、正しくは「財源保障範囲」です。
この記述は、2004年1月で止まっています。私が、交付税課(自治財政局)を離れたからです。すみません。
新聞のインタビューに答えた記事もあります。「交付税の見通し
3 資料
三位一体改革による交付税の改革は、三位一体改革・交付税改革(総務省発表による)をご覧ください。
簡単な資料は各年度の「地方交付税のあらまし」(地方財務協会、税込み800円、毎年4月中旬刊)にまとめてあります。この資料集は、自治体関係者・地方財政研究者の間では重宝されている、毎年のベストセラーなのです。

総務省の仕事と私の仕事

政府は、法律によって仕事をします。大臣官房総務課長は、その法律案を取りまとめ、国会に提出するのが仕事です。第159回国会に総務省が提出する予定の法案は、14本もあります。その中には、三位一体改革の実施(地方交付税法などの改正)、市町村合併の促進(地方自治法などの改正)、国家公務員定数の削減(総定員法の改正)、サイバー犯罪対策(電波法などの改正)などが含まれています。
ここには、中央と地方の政府間関係の変更から、国民生活にかかわる犯罪の防止まで、いろいろなものがあります。そしてそれらは、サイバー犯罪といった、これまで考えられなかった新しい事態への対応であり、国と地方政府のあり方の変更といった、50年ぶりの国家構造改革です。
今、挙げた事例は、みなさんにはわかりにくいかもしれません。道路や建物と違って、目に見えないからです。これらは、「社会のソフトウエア」であり、総務省の仕事は、「見えない社会インフラ」の整備、国家と行政の制度設計なのです。

2003年・年末のご挨拶

平成15年も、今日で終わりです。今年一年、拙いページをご覧頂き、ありがとうございました。皆さんにとって、今年はどのような年だったでしょうか。私の一年は、次のようでした。
本業では、
交付税改革を進めました。今年の大物は、県分の留保財源率を引き上げたことです。交付税の歴史で、初めてのことです。引き続き、今後の方針として、県分の補正係数半減・事業費補正の原則廃止を打ち出しました。効率化による需要額の削減も決めました。これも、職員の支えがあったからです。感謝します。
来年度で、交付税は50年を迎えます。残念ながら、私は担当を離れますが。これまでの3年間で、「段階補正の縮減」「事業費補正の縮小」「留保財源率の引き上げ」を行いました。これらは、これまで拡大してきた交付税の「きめ細かな財源保障の算定」を方向転換したと、私は位置付けています。この路線は、変わらないと思います。
東大の
客員教授は、2年目を勤めました。昨年度の講義を本にまとめ、出版しました。その「新地方自治入門」は、多くの人から好意的な評価を頂きました。昨年出版した「地方財政改革論議」は、三位一体改革が進んだこともあって、5刷りが出ました。その他の講義や講演は、今年も40回を超えました。日本地方財政学会総会で、基調講演もさせていただきました。講演の一つが、朝日新聞に取り上げられ、1面に登場するという「おまけ」もありました。学者の先生やマスコミの人たち、これまで存じ上げなかった人とも、いろんな議論ができました。若き学生さん達も。書いた原稿も数多く。このホームページでも、積極的に発言しました。それもあってか、見て下さった方は、4万人を超えました。昨年1年間で1万人だったのに、今年は3万人です。
上司や同僚の「大きな心」がなければ、これほどまでには、自由に発言したり行動したりできなかったでしょう。これも、感謝しています。これだけの本業と副業をするには、土曜日曜がなくなります。読みたい本も、買うだけで・・。でも、それだけの成果はあったと満足しています。今年一年、ありがとうございました。皆さん、よいお年を。

年末恒例の苦しみ

ようやく年賀状を投函しました。郵政公社の皆さん、よろしくお願いします。今からじゃ、元旦は無理でしょうか。今年も、早くから着手はしたのですが。いろいろと仕事が入って休みが潰れ、記者さんや異業種の方からのお誘いを断れず夜が潰れて、今日になってしまいました。800枚に宛名書きし、1行添え書きをすると、結構な仕事になります。ワープロにすれば早いのでしょうが、若いときにお世話になった人や、引退されてお顔を合わせない人は、私の下手な字を待っていて下さるので、そういうわけにもいかず。
かつては、千枚以上書いていたのですが、最近はこの枚数で勘弁してもらっています。多くの人に不義理をしています。すみません、お返事を書かずに。私の先輩には、1600枚を自筆でお書きになるスーパーマンがおられます。しかも達筆で、とても私の及ぶところではありません。

最近の楽しみと悲しみ

拙著「新地方自治入門」が出てから、本屋に行くのが楽しみです。平積みしてあるのを見ると、うれしいですねえ。もっとも、大きな本屋だけですが。日をおいて、行って見ます。そして、売れていると、またうれしいです。しかし次には、「なぜもっと置いてくれないのか」と悲しくなります。再びたくさん置いてあると、「ひょっとして、1冊も売れてないのじゃないか」と心配になります。
本屋に行かなくても、紀伊国屋などは、HPで在庫状況がわかります。「
著作等」のページにリンクを張ってあって、クリック一つで見ることができます。これも同じです。在庫があると「置いてくれている」と喜び、しばらくすると「売れていない」と悲しくなります。一方、在庫がないと「あ、売れた」と喜び、しばらくすると「もっと置いてくれればいいのに」と悲しくなります。こうして、凡人の喜びと悲しみの種は、尽きないのです。