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パンフレット

総務省の採用パンフレット「先輩談」に、「社会が求める官僚と官僚が目指す社会と」を寄稿しました。印刷物はできていたのですが、HPに載ったのでリンクを張りました。また、文章は官僚論に転載しました。私の考える官僚論を述べたので、学生さんの勧誘には不向きだったでしょうか。先日の東大大学院での主張と、一部重複しています。私としては、現職課長としての「説明責任」を果たしているつもりです。平成13年度のパンフレットは、体験談をご覧ください。

2004年度地方財政学会

5月22、23日は地方財政学会総会(滋賀大学・彦根市)に行ってきました。300人を超える参加者で盛会でした。私の報告「動き出した三位一体改革の評価と課題」の分科会も、200人ほどの大教室が満員になり、立ち見もでました。用意した150部の資料では足らずに、増刷りしてもらいました。関心の大きさがわかります。
討論者は、金澤史男横浜国立大学教授と林宣嗣関西学院大学教授が務めてくださいました。その他、多くの研究者の方と、懇親を深めてきました。
5月22日学会での発表風景

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(下の写真は、玉岡神戸大学助教授が撮ってくださいました)

東京大学公共政策大学院

今日は、東京大学公共政策大学院での連続講演「国家行政の課題と展望」に行ってきました。この講演会は、各省の課長が、リレー式にそれぞれの省の「政策課題」を語るものです。しかし、私は、日本の行政機構が抱える「構造的課」をしゃべってきました。連続講演の「総論」になると思います(いずれ、行政・官僚論としてまとめたいと思っています)。

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法学部31番教室(大教室)に入るのは、四半世紀ぶりでした。大勢の学生が、熱心に聞いてくれました。終了後も、何人もの人が、質問に来てくれました。最近話していないテーマであり、1時間40分こなすと、へとへとになりました。今日も国会対応が忙しく、昼飯抜きで駆けつけたのも原因ですかね。場所も場所なので、「吉本的お笑い」も使えませんし・・。もっとも、私の意図が、どれだけ学生・院生に通じたかは不明です。少々、難しかったでしょうか。

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責任者である森田朗教授に挨拶しようとしたら、先生の方から来てくださいました。先生のゼミで、拙著を参考書に使ってもらっています。お礼を言うと、「いやー、批判の対象として使うかもね」と、笑われました。これまで、学問・教育(東大法学部)と実務の連携が少なかったことを述べ、「また講義に呼んで下さい」と売り込んでおきました。

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【学生の反応】
13日の講演を聞いた学生さんから、メールが届きました。要旨は、「とても興味深かったです。全体像がつかめて、ためになりました」です。私の意図が、成功したということでしょう。
講演に対する一番の「ご褒美」は、「観客の反応」です。こういうメールは、嬉しいですねえ。だから、へとへとになっても、やめられないのです。

新地方自治入門 補足3

【街の醜さ】
朝日新聞7月6日夕刊に文化欄に、丸谷才一さんが連載「袖のボタン」で「内の美と外の美」を書いておられました。
古代日本語では、所属の助詞が2つあったとのことです。一つは「我ガ背子」のガで、自分あるいは自分に近いものを受けます。もう一つは「諸人ノため」のノで、それ以外のものを受けます。前者を内扱いのガ、後者を外扱いのノというのだそうです。
そこから始まって(このあたりが格調が高いですね)、日本人にとって内と外の区別は重要で、しかも内を重んじ外を軽んじてきたことを論じておられます。そして話は、都市景観の醜さに発展します。日本人の坪庭の思考と、西洋建築の外見を重んじる思考との差です。電線類の醜さを取り上げ、海外旅行に行っても見方が変わらないことを指摘しておられます。(2004年7月18日)
【第7章】
社会的共通資本(p193)については、
内閣府国民生活局が、15年8月に「ソーシャル・キャピタル-豊かな人間関係と市民生活の好循環を求めて」(2003年8月、国立印刷局)をまとめ、出版しました。
宮垣元著「ヒューマンサービスと信頼-福祉NPOの理論と実証」(2003年11月、慶應義塾大学出版会)が、教育や福祉といった対人サービスにおける、信頼・情報・NPOの機能を分析しています。
そこでは、福祉サービスが家庭から行政へ「外部化」することによって、信頼の役割がどのように変化するか、NPOの場合はどうかなど、をわかりやすく分析しています。また、コミュニティを、「地域コミュニティ」と「テーマ・コミュニティ」に区分するなど、示唆に富んでいます。(2003.11.24)
【文化の効果】
14日の読売新聞「地球を読む」で、白石隆京大教授が「韓流と東アジア、文化が一大産業に」という題で、韓国ドラマなど文化商品による、東アジアの「一体化」「均質化」、アジア人意識の形成を論じておられます。(2004年11月15日)
【第8章】
山脇直司先生が、「公共哲学とは何か」(ちくま新書)を出版されました。先生は、東京大学大学院総合文化研究科授です(3月まで私も客員教授を勤めていました)。先生の主張は、
①公私二元論でなく、政府の公・民の公・私的領域の三元論
②経済・科学・教育などにおいても、「公共性」が必要であること
③学問においても、現状分析だけで終わらせる実証主義や、批判だけして対案を提示しない批判主義でなく、「現状分析」と「あるべき社会像の追求」と「実現可能性の探求」を考えるべき
④「公共性と個人の関係を重視する」。滅私奉公でも滅公奉私でもない、「自己-他者-公共世界」論。中間集団の重視、などです。
拙著「新地方自治入門」(第7章地域の財産とは、第8章公の範囲は)での主張と、大きく重なっています。意を強くしました。ご関心ある方は、ご一読ください。
私は、「政治をシステムとして理解する現在の政治学」に不満を持っています。大学の講義でも、政策=アウトカムを分析の軸に据えました。拙著では、p280以下で触れています。(2004年5月9日)
【第10章】
日本の政治のページをご覧ください。