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少子化、婚外子の文化的背景

朝日新聞1月25日付け別冊GLOBE、エマニュエル・トッド氏へのインタビュー「なぜ、アジアで極端な少子化が進むのか」から。記事についている図表では、各国の婚外子の割合が示されています。スウェーデン55%、フランス50%、イギリス44%、アメリカ39%、ドイツ30%、イタリア21%、台湾4%、日本2%、韓国2%です。ヨーロッパの婚外子割合は、私の想像を超える数字です。
・・世界の家族類型に関する分析では、日本も韓国も台湾も「直系家族」と呼ばれるタイプに属する。親が子どもに対して権威的で、親子の同居率が高く、家系を重視し、子どもの教育に熱心などが特徴だ。欧州ではドイツがそうだ。家系重視のため、結婚外から生まれる子供を許容しにくい面があるのではないか。
一方、米英や北欧の一部、フランスは、「核家族」タイプだ。親子関係より夫婦関係を重視し、親子関係は独立的で同居しない、一方、親は子どもの教育にあまり熱心ではない。家系を重視しない個人主義的な傾向が婚外子の増加と関係しているのだろう・・
別の記事で、出生率や婚姻数の変化が示されています。日本の合計特殊出生率は、1970年に2.13あったものが、2008年には1.37に減っています。人口1,000人当たりの婚姻件数は、1970年に10.0だったものが、2008年には5.8に減っています。これが少子化の原因です。
韓国の結婚件数は9.2から7.0へ、台湾は9.3から6.5へ。フランスは7.8から4.2に減っています。すると、日本の結婚数は、フランスより多いのです。しかし、フランスの出生率は2.00です。この逆転の理由が、婚外子です。

市町村トップの危機対応能力講座

今日は、消防大学校の危機管理・防災教育科の一つとして、「トップマネージメントコース」を行いました。市町村長や副市長・危機管理監などを対象としたもので、大規模災害時の対応能力向上が目的です。専門家による講義と図上訓練とで、構成しています。
吉井博明東京経済大学教授のお話を、私なりに膨らませると、次のようになります。
大規模災害時には、被災現場がどうなっているかわからない=情報不足と情報の混乱。被害情報がないのは、電話が通じないからかもしれません。それは、しばしば同時に多発しています=全体像がわからない。しかし、待っていられない=急を要する。そして大災害時には、対応能力が不足している=消防職員では足らない。といった制約の中で、どこにどれだけの職員を送るか、どのような支援を求めるか、市民にはどのように伝えるかなど、首長の責任は重要です。
通常は、部下職員が情報を上げ、また案を持って伺いに来ます。しかし、災害対策では、待っていられないのです。また、市長が、市役所や市内にいない時もあります。その時は、誰が代行するか。
備えと訓練しか、方法はありません。先生は「過去問から学び、模擬試験で鍛える」と、表現されました。そして、首長も職員も入れ替わっていきます。
訓練にも、図上訓練と実動訓練があり、それぞれに、いくつかの手法があります。阪神淡路大震災以来、関係者の関心も高まり、より洗練されてきています。日野宗門先生の方法は、状況予測型図上訓練=イメージトレーニング方式です。参加者が一定の条件を与えられ、状況を予測し、するべき対応を考えるという方法です。

自衛隊海外派遣・国際協力

今日の日経新聞夕刊に、「自衛隊派遣、揺れた20年」が、特集されていました。1991年第一次湾岸戦争の時に、巨額の資金支援をしながら、人的貢献をしないことで、海外から大きな非難を浴びました。それがきっかけになり、1991年ペルシャ湾への掃海艇派遣、1992年のPKO協力法制定、それに基づくカンボジアPOKと、自衛隊の海外派遣を進めました。記事には、わかりやすい簡単な年表もついています。
当時は、大問題でした。しかし、もう20年前のことですから、今の大学生や若い人たちは、知らないのですね。
私は、連載「行政構造改革」第1章第2節3見えてきた日本の成功の問題点(2)「国際貢献を考えない」などで、国際貢献をしなかったことを、日本の失敗として取り上げました。
憲法において「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」と宣言しながら、そのための努力や貢献をしなかったことです。
授業では、次のようなたとえ話をしています。
村の共同井戸に、ならず者が来て、火をつけた。村人が総出で、消火に当たった。その時に、岡本の息子だけが、消火に加わらなかった。「うちには、『息子を危険なところに出してはいけない』という家訓があるから」と。村の人は言った、「でも、共同井戸から一番たくさん水をくんでいるのは、岡本さんですよ」と。
消火が終わって、村人が慰労会をした。岡本家は「慰労会の費用を、みんなの分も出します」と、たくさん寄付をした。そして、「わが家の息子も、慰労会に参加します」と言ったけれど、村人は「一緒に汗をかいた者の打ち上げですから、岡本さんは結構です」と言って、参加させてもらえなかった。学生諸君は、どう考えますか、と。

上級幹部科卒業式

今日は、消防大学校で、上級幹部科の卒業式がありました。消防長(各市町村消防本部の長)や部課長、署長といった最高幹部級の課程です。平均年齢54歳。期間は12日間と、短めです。科目も、人事管理・危機管理・危機管理広報・惨事ストレスといった管理職ならではの科目と、状況創出型図上訓練・消防応援受援といった運用訓練などからなっています。
消防の応援・受援というのは、近年クローズアップされてきました。消防が自らの市町村の区域を越えて応援に行くことは昔からありましたが、遠くまで出かける、広域で応援することは、阪神淡路大震災が、一つのきっかけです。
ところで、応援と受援(応援を受ける)では、受援が難しいようです。各消防本部は、応援の経験はあるのですが、受援の経験はまずはありません。しかも、大災害の時には、たくさんの部隊が、各地から集まってくるのです。被災地ですから、自らの部隊を運用するだけでも大変です。その上に、受け入れるのですから。おわかりいただけると思います。
近年では、各地で、そのような事態を想定した訓練を、行っています。

東京の雪

東京は、昨夜から雪が降り、今朝には積もっていました。気象庁は1センチメートルと発表していましたが、わが家の回りは、2~3センチ程度積もっていました。
この程度の積雪なら、雪国の人にとっては雪のうちに入らないでしょう。でも、笑わないでください。ふだん積もらないところに雪が積もると、それは大変なんです。備えができていませんから。
家の前の道路は、踏み固められて、シャーベット状に。これが一番やっかいなのですよね。こうなると、なかなか溶けなくて、翌朝には凍ってしまい、すべりやすくなります。で、早起きして、雪かきをしました。2年ぶりのことです。
次のような俗説を、聞いたことがあります。東京では、中央線で西に向かうに従って、気温が下がる。「寺」がつくと、1度ずつ下がる。高円寺で1度、吉祥寺で1度、国分寺でさらに1度。そして八王子で1度。もっとも、八王子は、「じ」がつきますが、寺ではありません。