岡本全勝 のすべての投稿

今日は福島へ

今日は午前中に、福島市で原発事故市町村との意見交換会。片山総務大臣のお供をしてきました。テーマは、地方税の特例についてです。
地震で壊れた家や津波に流された家について、固定資産税を免除する特例を既に定めました。原発の避難区域の住宅は、壊れていないのですが、使うことができません。これらも、地震で壊れた住宅と同じ扱いをするための法律を考えています。
もっとも、ことはそう簡単ではありません。その市町村にとっては、税収が減ります。必要な財政支出に対し税収が不足する場合は、地方交付税で補填します。天災によって税収が減った分を税金で補うことは、国民も納得してくださるでしょう。しかし、原発事故の場合は、原因者がいます。その人(会社)が補填すべきである、という議論もあるのです。でも、損害賠償請求をしていては、時間がかかります。

15時に東京に戻り、国会議員への説明やら、事務局内での打ち合わせやら。昨日(日曜日です)のうちに、職員に仕事の段取りを指示してあったので、その進捗状況や課題を、報告してもらいました。
今月中に「基本方針」をつくらなければならないので、忙しいのです。他方、国会も開かれていて、大臣への質問も多く、その準備も必要です。職員には、休日出勤やら残業をお願いしています。申し訳ありません。

復興の担い手

今後の被災地での復興の進め方について、誤解をしておられる方が、時々おられます。
例えば、「国に復興本部ができた。さらに復興庁ができたら、大胆な都市計画ができるのでしょうね。関東大震災の時の後藤新平のように。がんがんと、国が線を引いて、事業をして・・」というようにです。
いいえ、町の復興計画をつくるのは、住民であり首長であり、議会です。国の役人がしゃしゃり出て、大胆な計画をつくることはありません。

「でも、市役所の職員も亡くなり、まちづくりの能力に欠ける市役所もあります。やはり国が出ていかなければ」とおっしゃる方もいます。
その趣旨は分かりますが、市町村が、県や国に対し「この点について助けて欲しい」と要望してもらわないと。住民や市役所の意向を抜きに、国が絵を描くわけにはいきません。都市計画の専門家が必要なら、送ります。財源が不安ならば、相談に乗ります。規制緩和が必要なら、相談に乗りましょう。それは国の責任です。

また、大胆な都市計画をすれば復興ができる、というわけではありません。その町が今後数十年にわたって、どのような産業で、雇用と賑わいを保っていくのか。教育や福祉など、どのように住民の安心を確保するのか。コミュニティをどのように保っていくのか。インフラ整備以上に、住民の暮らし(雇用と安心)が重要です。立派な道路やビルを造っただけでは、町の復興はありません。
もちろん、市町村長さんたちは、良くわかっておられます。

復興の「基本方針」作成作業

7日金曜日の夜に盛岡に移動。平野復興担当大臣のお供をして、8日朝には久慈市での復興に向けての意見交換会、午後は岩手県知事、宮城県知事との面談に同席してきました。毎週のように、東北新幹線に乗っています。今日の東北地方は、暑かったです。
7月中に、復興の基本方針を作る予定です。8日に項目の案を決め、早速、各府省に協力依頼を出すとともに、地方自治体の意見を聞くことを始めました。基本方針に盛り込む項目、特区、一括交付金などについての、具体的な提案を頂くためにです。
復興の主役は、住民であり市町村です。その人たちが進めやすいようにするのが、基本方針を作る際にも重要です。

臨時的組織の難しさ

私たちの復興本部は、臨時的組織です。大臣、副大臣、政務官を持ち、職員は現時点で約60人。すると、政策を企画する部隊のほかに、様々な機能が必要になります。すなわち、大臣などの秘書室、国会担当、広報担当、人事や庶務担当です。前線で戦う部隊のほかに、後方で支援する部隊です。
これがなかなか難しいのです。各省にある大臣秘書室、国会担当課、庶務課では、過去からの蓄積があり、経験豊かな職員とノウハウを持っています。しかし、臨時的組織で寄せ集めの組織では、いかに優秀な職員を集めても、経験やノウハウの伝授がありません。 また、多くの職員は、法律を作るのは上手でも、旅費の支出手続は詳しくないとか。
例えば、私はかつて総務省総務課長で、国会担当を勤めました。新人課長を、経験豊かな職員たちが、過去からの引継ぎを基に支えてくれました。(2004年2月26日の記事)。紙には書かれていない「しきたり」があって、それを知らないと仕事がうまく回らないのです。
今日、久しぶりに国会の準備に回りましたが、かつての経験はすっかり忘れてしまいました。2年半にわたり、年間の半分を国会で過ごしていたのに・・。仕方ないので、当時のお師匠さんである福本さんに、電話をかけて教えてもらいました。
復興担当大臣は防災担当大臣と兼務なので、内閣府防災部局に助けてもらっています。もっとも、そこも一つの省ではなく、局に相当する「政策統括官」組織です。秘書課や総務課を持っていません。
日頃の業務が、いかにたくさんの人たちに支えられているのかが、良くわかります。感謝。