国民投票、思わぬ結果

1月30日の朝日新聞「憲法を考える」は「国民投票 経験国からの警鐘」です。2016年に国民投票を実施したイギリスとイタリア。ともに、投票を主導した首相が、予期せぬ結果で退陣しました。両国を訪れた調査団の報告書です。
そこに見えるのは、ともに首相が自らの立場を強くしようともくろんだのが、裏目に出たことです。

まず、イギリスです。
・・・キャメロン氏はまず「最も注意を払うべきは、国民投票が政府に対する信任投票になってしまったり、他の政策的な問題に対する投票になってしまったりするのではなく、『投票用紙に書かれた質問文』に対する投票となるようにする点だ」と議員団に語った・・・
労働党のヒラリー・ベン下院EU離脱委員長は、・・・一方で、政府にことさら反対するために国民投票が利用される危険性も指摘。「何をテーマに国民投票を行うかについて、よく注意しなければならない。国民投票を行って負けた場合、もう議論の余地がなくなってしまうから」・・・
・・・ケンブリッジ大学のデービッド・コープ教授は、過熱した運動が展開された投票をこう総括した。
「いま英国の政治家、産業界、学会の有識者に聞けば、ほぼ100%の人たちが『もう国民投票などすべきではない』という強い意見を持っているだろう」・・・

次は、イタリアです。
・・・ステファニア・ジャンニーニ前教育・大学・研究相は「残念であったのは、国民投票の段階でレンツィ政権に対する賛否を表すという政治的な内容と、国家の機能の簡略化、効率化及び透明性を図るという憲法改正の純粋な内容とを、明確に分離することに失敗したことだ」と総括した・・・