慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第7回目

10日金曜日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第7回目でした。先週は祝日で休みだったので、リズムが狂いますね。
講義は、調子が出て来ました。レジュメと資料は印刷して配布しますが、ポイントは黒板に書きながら説明します。これが、学生によくわかってもらえる方法のようです。
資料を配って説明するだけでは、眠くなるでしょう。板書だけでは、「私の字が読めないところ」もあるでしょう。それにしても、小学校や中学校、高校の先生方は、黒板に、丁寧にきちんとした文字や図表を書いておられましたね。

前回から、日本経済の中での政府の役割を話しています。
今回は、中央政府と地方政府の、予算の大きさ、その内訳、両者の関係を解説しました。国の予算編成の仕方や、地方財政計画を見積もる方法なども。
これは、学生諸君には初めて知ることだったでしょう。「国の税収がこれだけも地方に交付されていることを知りました」「国の直接の歳出って、少ないのですね」といった感想が多かったです。
では、なぜこのような仕組みが必要か。それについては、次回詳しく説明します。
「こんなに借金して、大丈夫ですか」という質問も多かったです。これも、12月には説明しましょう。

学生諸君
授業で教えた新聞の読み方は「わかる日経」を参考にしてください。例えば、読むのにかけている平均時間は30分、20%の人は15分です。p14左下。

大熊町復興拠点計画認定

11月10日に「大熊町特定復興再生拠点区域復興再生計画」を認定しました(概要)。9月に認定した双葉町に続くものです。
この2町は、まだ全町避難が続いています。両町で復興拠点の計画ができたことで、すべての被災市町村で復興に着手することができました。

両町の多くの区域は、事故直後、放射線量が高く「帰還困難区域」とされました。当分の間、人が住めないと判断し、土地や建物について全額を賠償し、また故郷を失うことの精神的賠償も支払われました。
その後、放射線量が予想以上に低下し、また除染の効果も分かってきました。
住民の「戻りたい」「ふるさとを取り戻したい」という思いに応えるために、放射線量の低い地域に拠点を作り、町の復興の起点としようというものです。
それぞれの町の面積の約1割の区域です。着実に作業を進めていきます。

ほかにも、避難指示が出ている区域がある町村があります。それらについても、関係者で計画作りを進めています。

新ホームページ1周年

このホームページに移行して(2016年11月11日)から、1年が経ちました(ホームページの履歴)。

新しいソフトウェアにしてもらって、便利になりました。自宅のパソコンでなくても、加筆できるようになりました。福島勤務の日は、ホテルに持ち込んだ携帯パソコンで、加筆しています。また、書きかけの原稿をためておいたり、投稿の予約も可能です。
松島樹哉・株式会社BREASTO社長に、感謝です。何かと困ったときにも、相談に乗ってもらっています。彼を見つけたことが、大正解でした。

訪問者(カウンター)も順調に伸びて、266万人です。個人的な思いにお付き合いいただき、ありがとうございます。
毎日書いていると、1年が経つのは早いですね。実は、2016年10月分の記事を、まだこのホームページに移していません。「そのうちにしなければ」と思いつつ、先送りしています(反省)。

同時に2つのことはできない

エドワード・M・ハロウェル著『ハーバード集中力革命』(邦訳2016年、サンマーク出版)の扉に、次のようなアインシュタインの言葉が、引用されています。

「美人にキスをしながら安全運転できる人がいるって?
きっと、彼はキスに集中できていないだろうね」
Any man who can drive safely while kissing a pretty girl is simply not giving the kiss the attention it deserves.

同時に二つのことをする人がいます。音楽を聴きながら勉強するとか。私は、できません。それどころか、気が散る場所では、難しい本も読めません。
人間の脳は、コンピュータのように、並列処理とか、瞬時に切り替えることはできないようです。「ながら族」は、たぶん同時には2つのことをできていない、いえひょっとしたら、2つともできていない可能性があります。

連載を振り返って3

体験で得たことを伝える

連載に書いたことは、経験者なら知っていることばかりです。私の経験と、そこで考えたことを文章にしただけなのですから。

仕事の経験を、山登りにたとえてみましょう。
初心者にとって、初めての登山は、どの道から登ったらよいのか、この先どんな場所が待ち受けているのか、そして頂上はどこかがわかりません。それに対して、登ったことのある経験者は、どの道を上るとどこに行くか、そして途中には何があるかを知っています。岩場があったり、川を渡るとかです。そして、どの程度の時間と労力をかけると、どこまで到達するかです。

歩いている途中でも、全体の何合目にいるのかがわかりません。先輩に聞けば教えてくれます。「先達」と呼ばれます。初心者にとって、先達はありがたいです。
「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」(徒然草第52段)。

その先達の知識を地図にする。初心者がそれを読めば、登る前に一通りの知識を得ることができます。すると自信を持って登ることができます。登っている途中で迷ったときにも、今どのあたりにいるのかがわかるのです。
この本は、それを目指しました。