今日は、自治大学校第2部課程で、校長講話をしました。各課程が入校すると、研修の概要と目的、大学校が研修生に望むことをお話しするのが、校長の務めです。
第2部課程は市町村の幹部候補生で、約3か月間の研修を受けます。今回は129人、平均年齢42歳です。皆さん、日本全国から選ばれてきただけあって、頼もしい限りです。
この人たちに、これから現場で出会うであろう「新しい課題」「前例のない問題」にどう立ち向かうか、「一人で解決できない時」にどうするか、「正解のない問題」をどう解決するか、「みんなが満足することのない解決」をどう納得してもらうかを、勉強してもらいます。
先週入校したばかりですが、翌日から見ず知らずの人とチームを組んで、課題演習に取り組んでもらっています。ウマの合う人あわない人、その人たちとどう折り合いをつけるかも、重要な研修です。だって、市町村役場でも、いつも好きな人とばかり仕事をするわけではないですわね。
月別アーカイブ: 2011年1月
市民の協力によるコスト削減
大学院の公共経営論で、「大きな政府・小さな政府」を話しました。論点はいくつもあるのですが、今日紹介するのは、市役所の窓口サービスについてです。これまで私たちは、より手厚いサービスを、そして最近ではより安いコストで提供することを目指してきました。
数年前、ある議員にお叱りを受けました。次のような話しです。
議員:岡本さん、市役所に行ったら、朝の忙しい時間だったけど、待たずに窓口で対応してもらったよ。
全:それは、サービスが良かったですね。褒めてやってください。
議員:違う。あれではダメだよ。
全:???
議員:今どき、銀行でも番号札を取って待つ。待たなくても良い窓口は、職員が多すぎるということだ。少しくらい待ってもらって、良いじゃないか。
全:おっしゃる通りです。
このような意識が広がってくれると、行政もやり易く、コスト削減もできます。市民が行政コストを意識し、それは自分の税金で行われているのだと考えてくれれば。
市民による行政への協力の例に、ごみ出しがあります。毎日、分別せずにごみを出すと、便利でしょう。しかし、毎日集めるコストや、集めてから分別するコストを考えると、市民の協力は大きな費用削減になっています。一方で、急ぎでないのに、救急車を呼ぶ人がいます。それは、市民の負担になっています。余計な負担をさせられる人からは、批判が出るでしょう。
道路を清掃したり、花壇を手入れする例を取り上げましょう。市役所が直営する場合、民間委託をして経費削減する場合。さらに、町内会にお願いする場合、住民がそれぞれ家の前をきれいにする場合があります。不満を言っておればよい立場から、自ら汗を流す立場へです。
2011.01.15
今日は、日本大学大学院での、秋学期最後の講義でした。第7章組織の管理と、第8章大きな政府と小さな政府を、駆け足でお話しして、無事終えることができました。半年間おつき合いいただいた院生の諸君には、お礼を申し上げます。後は、レポートによる成績評価が、残っています。
中央政府と地方政府の組織管理については、いろいろ書かれたものがあるのですが、私には、どうももの足りません。実態、問題点、改善案。私は、これまでいろんな職場で、実際に経験させてもらい、考えさせられたので、様々なことが見えるようになったのでしょう。いずれ、これについても、考え方を整理したいですね。ただし、体験談、実践編、理論編が入り交じり、なかなか文章にするのは難しいです。
政策研究大学院で講義
今日は夕方から、政策研究大学院大学で講義。日本の行政の成果と課題を、お話ししました。院生の方、しかも地方公務員の方が多いので、話しやすかったです。
これからの時代は、これまでの延長ではダメです。新しい発想で考えてもらうために、極端に物事を単純化してお話しし、議論を吹きかけました。学生の方は、戸惑われたかもわかりません。
しかし、そんなに非現実的なことを、話しているつもりはありません。駐車違反の摘発業務や刑務所が、民間委託される時代です。命を預かる医者の多くが民間人で、教育の多くを私学が担っているのです。「これまで官(公務員)がやっていたから」という思考は、捨てて考えましょう。
何人かの受講生から、感想と質問を送っていただきましたが、返事は明日以降にします。しばらくお待ち下さい。
2011.01.12
今日は午後から、慶應義塾大学法学部で講義。もう、あと1回で終わりです。時間が経つのは、早いですね。授業は順調に進み、現在の大きな課題である「財政再建」を、お話ししました。もちろんこれは、地方財政だけで解決できる問題でなく、国家財政と併せ改革しなければならない問題です。
講義はそれを含めて、現在の日本の経済・社会・政治の問題まで説明しました。
なお、今日の授業で言及した齊藤誠・一橋大学教授の本は、「競争の作法」(2010年、ちくま新書)です。また、平成23年度の地方税収の見込み、地方財政対策の詳しい内容は、総務省のホームページを見てください。
ところで、今日は学生が増えて、配付資料が足らなくなりました。合わせて配付している前回資料も、足らなくなりました。これについては、次回配付します。