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社会

大学教育、教える教育から育てる教育へ

12月18日の日経新聞大学欄、日色保・経済同友会副代表幹事の「経済界が求める大学教育とは」から。

大学が実学教育を重視するなど、ビジネス界で活躍できる人づくりを進めている。その一方で若手社員の相次ぐ離職など、人材活用が進んでいない面もある。経済界は日本の大学教育に何を求めているのか。日本マクドナルドホールディングス(HD)社長兼最高経営責任者(CEO)で経済同友会副代表幹事を務める日色保氏に聞いた。

――今の大学生をどうみていますか。
「今の学生は昔に比べると、たくさんの情報が外にあることもあり、客観的に自分のことやキャリアについて捉えていると感じる。その一方で、知識に偏りがあり、大学で本来習得するべき深い思考能力を得られていない。そういった能力の開発を企業は大学に期待しているが、大学の教育はやはり『教える教育』であり、『育てる教育』になっていない。そこがやはり一番の問題なのではないか」
「ただ、どういう人材がほしいか、大学側と十分な意思疎通を今までしてこなかったという企業側の反省もある。企業側は特に、人との議論の中で問いを立てて、仮説を検証し、深く学んでいくようなコミュニケーションスキルなどを企業に入る前に身につけてほしいと考えているが、大学側はどういう教育をしたら企業で活躍できるような人材になるか、よくわかっていない状態に陥ってしまっている」

―一部の大学は即戦力の育成との言葉を使っています。
「昨日の即戦力が明日の即戦力になるとは限らない。例えば、プログラミングの知識を持っていて、多少のコードを書けるくらいの人は山ほどいる。変化が激しい中でもフレキシブルに対応できるような学び方や自分のやり方を形成できる。それこそが即戦力なのではないか」

社会に遅れる放送?

12月21日の朝日新聞夕刊「回顧2024 放送・芸能 時代とのズレ、蜜月の終わり?」から。

・・・「今までは我々が(生活者を)リードしていたけど、今度はフォロワーになってきた」。10月21日に放送されたNHK「映像の世紀 バタフライエフェクト」で、バブル期の代表的経営者として取り上げられたダイエーの中内功さんは、業績悪化に苦しむ1999年にこう語っていた。「我々」とはもちろん「ダイエー」を指すが、いまならテレビを中心とした「放送」もそうかもしれない。

と思っていたら、11月6日、全国の放送関係者が一堂に会す民放連大会で、遠藤龍之介会長(フジテレビ副会長)があいさつでこの番組に触れた。「我々にも耳が痛いものがあります。お客様の先を走っていれば、振り返れば細かい表情が読み取れますが、先に走るランナーの顔は見えませんから」

今年もいい番組はたくさんあった。それでも、広く人々をリードする力はどれだけあっただろうか。もはや個別の番組の問題ではなく、テレビと社会の蜜月期が終わりに向かっているということかもしれない・・・

日本人は時間に厳格か

多文化共生に詳しい人に教えてもらいました。「外国人から、日本人は時間に厳格ではありませんね」と言われるのだそうです。
「え~、日本人が時間を守ることは有名じゃないの」と、聞き返しました。その答えです。
「日本人は会議の始まる時間は守りますが、いつ終わるかわからない会議を続けます。時間に厳格だとは思えません」とのことでした。

納得、目からうろこが落ちました。
私は、終了時刻の決まっていない会議は出ないことにしていました。『明るい公務員講座』59ページ。
30分を超える会議は何をしたいのかわからず、やたらと出席者が多い会議は儀式です。

歯医者さんが減る

12月30日の日経新聞に「多過ぎ?歯科医、初の減少 偏在で高齢者の受診困難に」が載っていました。経済成長で虫歯が増え、それに対処するために歯医者さんを増やしたのですね。他方で、地域偏在が課題になっています。

・・・国内の歯科医師の数が初めて減少に転じた。半世紀前に大量に育成したベテラン層が引退し始めたためだ。歯科医院は「コンビニよりも多い」と過剰が指摘されてきた。歯学部の定員抑制で若手の数は細り、今後も歯科医の減少が続く。偏在が深刻で、山陰や北陸などの地方で不足しつつある。今後、住民が歯科診療を受けられない地域が広がる恐れがある。

神奈川歯科大学の桜井孝学長は「1970年代に歯科医になったボリュームゾーンの世代が引退する時期を迎えた」と語る。
70年代は国を挙げて歯科医を増やした時期だ。60年代後半に虫歯の患者が急に増えた。高度経済成長によって戦後の貧しい時代を乗り越え、食生活が豊かになった。その結果、子どもは砂糖を含む甘い菓子などを食べる機会が増えた。一方で歯磨きの習慣付けなど虫歯の予防は遅れていた。
これを受けて全国で大学の歯学部や歯科大学の新設が相次いだ。日本歯科医師会の資料によると、政府は69年に人口10万人当たり30人台だった歯科医を同50人に増やす目標を掲げた。歯科大学などの入学定員を短期間で約1100人から3000人超に増やした。その効果で84年に10万人当たり52.5人に増えた。だが、今度は過剰が指摘された。87年に旧文部省が定員を約20%削減する目標を打ち出した。98年には旧厚生省がさらに約10%減らす方針を出した。

現在、歯科医の国家試験の合格者数は年約2000人と横ばいが続く。一方で1970年代に働き始めた世代の多くが70歳代以上になり、年約3000人が引退している。新たに歯科医になる人の数と引退する人の数を差し引きすると年1000人程度減り続ける。
24年9月末時点の歯科医院の数は約6万6000施設で、依然としてコンビニより多い。足元の課題は総数よりも偏在だ。22年末に人口10万人当たりの歯科医が最も多いのは東京都の120.3人で、徳島県と福岡県が続く。最少は滋賀県の58.8人で、山陰や北陸も少ない。東京都と滋賀県の差は2倍強に達する。神奈川歯科大の桜井学長は「歯科医を目指す若者が地方から都市部へ流れる」と背景を分析する・・・