カテゴリー別アーカイブ: 官僚論

行政-官僚論

公務員制度改革

4月1日の日経新聞経済教室「公務員制度改革の焦点」は、野村修也教授の「能力主義でぬるま湯脱せ。民間の知恵参考に」でした。(4月1日)
4月2日の日経新聞経済教室「公務員制度改革の焦点」は、田中秀明准教授の「幹部の管理、府省横断的に。割拠主義是正急げ」でした。(4月2日)
4月3日の日経新聞経済教室「公務員制度改革の焦点」は、清家篤教授の「プロ意識高める工夫を。政治が使いこなせ。相応の人材確保、負担必要」でした。(4月3日)

官僚のごまかし術

昨日、「順調に進んでいて、達成率は1%」という、笑い話のような話を書きました。その続きです。
官僚は、しばしば「このような事業を行います」「研究会を立ち上げます」と発表します。例えば、地域振興などでも「こんな施策をやっています」と言って、いくつかの取り組みを紹介します。それは事実なのですが、聞いていて、何か納得できない時ってありますよね。
理由は簡単です。やっているけど、成果が見えないからです。見えないというのは、まず第一点目に、その説明に「成果」がついていないこと。第二点目に、成果が付いていたとしても、全体での達成度が示されていないことです。
第一点目は、次のようなことです。「これからやります」「こんなことやってます」は、これからの取り組みについての説明であって、「これだけできました」という成果の説明ではありません。ここがポイントなのです。国会でも地方議会でも、予算について議論します。でも、それは予定であって、どれだけの成果が出たかの説明ではないのです。
第二点目は、昨日の記事のように、ごく一部をとらえて「進んでいます」といっても、全体ではまだまだ進んでいない場合です。
これらの説明は、嘘ではないのですが、結果として国民をだましています。議員さんも記者さんも、もちろん国民も、こんな説明にだまされてはいけません。そのような説明があったら、次のように質問してください。「それで、全体ではどれだけ進んだのですか。どんな結果が出たのですか」と。

岡本審議官、官僚に苦言を呈す

先日、ある政策の状況を、聞いたときのことです。説明資料に、右肩上がりの棒グラフが付いていて、「月平均増加率17%。順調に推移」と書いてあります。「なるほど」と思って、その上の本文を読んだら、その結果の達成率は1.3%でした。比較対象となる某国は、100%です。
岡本審議官曰く「おいおい、こんな説明資料つくっていたら、官僚は信頼されないよ」「0.2%が0.4%になったら、『倍増』と書くのかね」「書いていて恥ずかしくないかい・・」
ある経済人は、「君たち官僚の説明は、ユビキタスだ」と揶揄されます。その方が何か質問すると、官僚は何についても、どんなことでも、「やっています」と答える。しかし、よく聞くと、少しやっているけれども、結果が出ていない、という意味です。
正直に答えれば、いいのですよね。「できていません」と。そして官僚に求められるのは、達成するにはどんな方法があるか、どの方法が効率的かを提示することです。

官僚復活の条件=新しい価値創造と世界での勝負

民間の方たちと議論していて、次のような話になりました。私の関心は官僚機構の今後であり、彼らは企業の今後についてです。しかし、見方は共通なのです。
一つめは、官僚機構が評価を復活させるためには、「新しい価値」を生まなければならないことです。これまでは、先進国からの輸入という手法で、新しい価値=新しい行政サービスなどを国内に広めました。しかし、先進国に追いついたことで、輸入すべきものがなくなりました(これは、私がいつも言っていることです)。
民間企業が勝ち残るためには、新しい製品やサービスを提供しなければなりません。学界も同じで、人より先に新しい発見や理論を提示しなければなりません。官僚に求められることは、新しく生じる社会問題に、どのような対策を講じるかです、新しい政策を打ち出せるかどうかが、問われます。これまでと同じサービス(政策)を売っているようでは、評価は復活しないということです。
もう一つは、競争の場です。企業は、世界を相手に競争をしています。経済のグローバル化で、国内で勝っているだけでは、じり貧なのです。学界も、世界で勝負しています。それと同様に、官僚も、国際社会で日本が生き残ることを、考えなければなりません。
日本で勝って世界で負ける減少を、「ガラパゴス現象」と呼びます。閉ざされた世界でそれなりに進化するのですが、世界では負けるのです。内弁慶では、だめなのです。
もちろん、企業でも官庁でも、決められたことを実行するという仕事も重要です。しかし上に述べた観点から見ると、企業において、内部管理部門より開発部門と営業部門が重視されることが、納得できます。官庁においても、事業の執行や予算や補助金を配分する仕事は重要であっても、それは新しい価値創造ではなく、また世界での競争ではありません。それらは、これからの官僚に期待される重点的な役割では、ないのでしょう。

出先機関見直し、官僚の対応

3日の日経新聞は、「地方分権に官庁の壁、出先機関見直しで激論」を解説していました。各省が主張する「国が行わなければならない理由」に対し、丹羽委員長らが反論し、「ふまじめだ」と激怒している状況が、書かれています。
ある記者さん曰く、「この理由では、官僚の評価を落としますねえ。本人も、こんなことを、本気で思っているのでしょうか」