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書き取る授業と考える授業

朝日新聞は1月1日から、連載「教育、あしたへ」を始めました。1日は、1面と2面を大きく使っての記事でした。取り上げられていたのは、唯一の正解を教える授業ではなく、対話をして生徒が考える授業です。対話型と言えば、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の白熱教室が話題になりました。
決まったことを覚えるのなら、先生が言うことを書き取る、あるいは教科書を覚える学習が、効果的でしょう。その極致が、受験勉強の詰め込みです。この方法は、追いつき型の発展途上国には、最適です。みんなが一斉に、先生のまねをするのです。そして、最も合理的な方法を、最短で覚えることが、秀才なのです。
それに対し、先生や同級生と対話し、議論して考える授業は、時間がかかります。正解にたどり着くとも、限りません。しかし、世界の最先端に追いついた時に、正解と解き方を先生に教えてもらう授業は、機能しなくなります。自分で、新しいことを考えなければならないからです。大学生も、国家も同じです。
自治大学校でも、一方的な講義でなく、演習や対話型の授業を増やしています。覚えることだけなら、本屋にたくさん関係書が並んでいます。ビデオ学習も可能です。地方自治体の幹部は、これまでは国が示した制度を学び運用することが務めでした。しかし、世界一の先進国になった今は、地域で起きる新しい課題を拾い、自分たちで解決方法を考えなければなりません。朝日新聞の記事が、ここでも当てはまります。
自治大では、同僚と議論することで考え、また刺激を受けるのです。知識を学ぶのではなく、自ら考え解決する方策を学ぶのです。
ところが、時々「議論するのは、時間の無駄です。結論を教えてください」という研修生がいて、教授を困らせるそうです。

新年のご挨拶

明けまして、おめでとうございます。皆さん、良いお年をお迎えのことと存じます。お正月も出勤しておられる方々に感謝をし、大雪の災害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。例年にない大雪で、鹿児島でも10センチを超える積雪だそうです。山陰や北陸地方では、大きな被害を出しています。
わが家は、娘夫婦もやってきて、みんな元気に新年を迎えることができました。私は今日が誕生日で、56歳になりました。昔は、50歳を超えたおじさんは、えらい年寄りに思えました。自分がその年になっても、そのようには思えませんねえ。まだまだ未熟者で。
いつものように、近くの氷川神社にお参りし、たくさんの願い事をお願いしてきました。今年が、良い年でありますように。

年末のご挨拶

今日は大晦日。平成22年(2010年)も、終わりです。皆さんにとって、今年は、どのような年だったでしょうか。
長い期間で見ると、21世紀に入って、もう10年が経ちました。日本は、バブル崩壊から20年が経ちます。霞ヶ関では、省庁改革から10年です。時間が経つのは早いです。これらの評価も、しなければなりません。
私は、消防大学校長から、7月末に自治大学校長に異動しました。研修生の皆さんに、少しでも良い研修を受けてもらえるように、課目の見直しに力を入れています。校長自らの講義も行っているので、思った以上に、忙しくさせてもらっています。もっとも、教職員の方が、もっと大変でしょう。校長から、次々と指示が降りてくるのですから。申し訳ありません。
副業では、春から日本大学法学部大学院での講義(毎週土曜日)、秋から慶応大学法学部での講義(毎週水曜日)を持っています。講義ノートや配付資料の準備で、結構な時間が取られます。講義をした社会のリスク論は、月刊誌『地方財務』に連載中です。また、近年の行政改革を鳥瞰した論文も書き上げました。長く放ってあったのですが、原稿の依頼を受けたのをきっかけに、まとめることができました。もっとも、まだ不十分なものですが。また、講演にも呼ばれ、時々出かけていっています。
講義と原稿で、休みが無くなるのですが、ふだん考えていることをまとめるには、良い機会です。このような機会や締め切りがないと、整理しないで終わるのでしょう。声がかかるのは、ありがたいことです。中国とネパールへの出張もあり、外から日本を考える機会もありました。
時間を取られるというと、このホームページの加筆も、積み上げると結構な時間になります。毎日30分ほどは、かかっていますから。内容は立派なものでなく、毎日の日記になっています。私にとっては、その時々に考えたことのメモになっていて、役には立っているのですが。昨年末120万人余りだったカウンターは、今日140万人を超えています。拙い文章を読んでくださる方々に、感謝します。
家族を含め、元気に一年を過ごすことができました。娘が結婚することになり、家を出たのが寂しいですが、これも喜ばなければなりません。
皆さん、良いお年をお迎え下さい。

撥水加工をした脳

今年(平成22年)春から、NHKラジオのビジネス英会話(入門と実践)を聞くようにしました。通勤で電車に乗っている時間が長くなったので、一念発起(というほどのことでもありませんが)、CDをiPod(アイポッド)に入れて、通勤途中に聞いています。
総理秘書官の時に、総理に随行して外国に行くと、昼食会や晩餐会で、相手国の政府要人とテーブルを囲みます。ヨーロッパだけでなく、韓国や中国でも英語で会話します。自分の英会話能力の低さに、歯がゆい思いをしました。
今日の話は、英会話が上達したということではありません。その逆です。ある先輩に、英会話の勉強を始めたと話をしたら、「全ちゃん、無駄なことは止めたらどう。この年になったら、無理だよ」と笑われました。そうなんです、何度聞いても、なかなか頭に入りません。
別の同級生との会話でも、盛り上がりました(苦笑)。「若い時は、何でもすらすら頭に入ったよなあ」「あの頃の頭が、水をどんどん吸収するスポンジだったら、今は石か鋼鉄だね」「それも撥水加工がしてあって、水をはねとばすぞ」「僕は幼稚園の頃が一番吸収能力があった」「僕は高校生の頃かなあ」と。

年賀状終了

今日最後の150枚を投函し、ようやく年賀状を出し終えました。 日本郵便さん、できるだけ元旦に届けてください。虫の良いお願いですが。
今年は少し減量して、800枚で勘弁してもらいました。たくさん頂いていながら、返事を出さず、申し訳ありません。表書きと添え書きを1行。でもこれだけの分量になると、結構な労働であるとともに、気力が続きませんねえ。
さて、年末恒例の苦しみが終わると、次の仕事です。締め切りの迫っている原稿が2本あるほか、年明けの講義や講話が7つほどあって、その準備をしなければなりません。ほいほいと引き受けて、自分で忙しくしています。でも、こうして自らを追い込まないと、だらけてしまうので。
ところが、休みに読もうと買ってある本の他に、年賀状を出し終えた喜びで、紀伊国屋に行ってまた買い込んでしました。反省。