岡本全勝 のすべての投稿

復旧指数

総合研究開発機構(NIRA)が、東日本大震災復旧・復興インデックス「データが語る被災3県の現状と課題Ⅱ」を発表しました。
この指数は、①被災地での生活を支えるインフラの総合的な復旧度を示す「生活基盤の復旧状況」指数と、②被災した人々やその地域の生産・消費・流通などの状況を総合的かつ時系列に把握する「人々の活動状況」指数の2つからなっています。それぞれ、震災直前の状況を100とした指数です。
この指数で見ると、かなり復旧してきていますが、なお進んでいない部分がわかります。このようにして、数値化するとわかりやすいです。
もっとも、各指標をどのように総合(足し算)するか、数値化できない分野をどう扱うかという問題もあります。

ウイルスの感染が人類を進化させた

すごくおもしろかったので、シャロン・モレアム著『迷惑な進化-病気の遺伝子はどこから来たのか』(2007年、日本放送出版協会)、フランク・ライアン著『破壊する創造者-ウイルスがヒトを進化させた』(2011年、早川書房)、山内一也著『ウイルスと地球生命』(2012年、岩波科学ライブラリー)を、立て続けに読みました。といっても、寝る前の布団の中で、他の本に道草を食ったりしているので、1か月くらいかかりました。
一つ目の本は、ある種類の病気になる遺伝子を持った家系・民族がいます。なぜ、そんな家系が続いてきたのか。それは、その病気の遺伝子が、別の病気を防いでいるという説です。
そして3冊とも、ウイルスが生物を、人類を含めて進化させてきたことを論じています。ヒトの遺伝子の多くの部分が、ウイルスが感染して残ったものであること。突然変異だけでなく、ウイルスが感染することで、遺伝子が合体し変化して、種が進化するのだそうです。へ~。
私の解説では、これらの本の内容を十分に伝えられないので、ご関心ある方は本をお読みください。

すると、進化の系統樹は、太い幹が順に枝分かれしたのではなく、いろんなところで「交差」することになります。
進化によって、いろいろな種ができ、置かれた環境で生き残ったものだけが、存在することになります。そのほかの多くが発育できないか、死に絶えます。こんな話を聞いていると、人類があるのは偶然であり、生き残っていることが奇跡であること、ウイルスにとって宿主(ヒトもその一つ)が死に絶えようが、病気になろうが「知ったことではない」こと、健康な状態は「希な」ことなどなど。考えさせられます。

津波被害地のまちづくり

津波被害を受けた地域では、集団で住宅を移転したり、新しく街並みをつくるための作業が進んでいます。住民合意ができ、計画ができたところを公表しています。その一覧表を、復興庁のホームページに載せています。まだまだ多くの地区が、合意に向けての作業中です。

罪を犯した人の社会復帰

6月10日に、大阪市の繁華街で、男が刃物で通行人2人を殺害する事件がありました。犯人は刑務所を出所しましたが、働くところも頼る人もなくて、自暴自棄になって、死刑になるように無差別に殺害したようです。
刑務所の出所者の社会復帰は、大きな課題です。再チャレンジ支援を担当したときに、勉強しました(資料の18ページ。この資料にはそのほかいろいろなハンディをもった人への支援が載っています)。
刑期を終えても、帰る家庭がない、働く場所がないと、まっとうな暮らしはできません。犯罪を犯した場合、家族からも疎まれ、雇ってくれるところも多くありません。いくら「更正」しても、社会で生きていけないのです。さらに、高齢者や知的障害を持った受刑者の割合も増えています。
大学で、刑法を学びました。罰を加えること、更正を期待することも重要ですが、それだけでは社会に復帰できず、再び犯罪を犯すことになります。刑務所には、多くのヒトとカネを費やしています。それに比べ、社会復帰のために費やすヒトとカネは、多くないようです。

地方公務員の応援

総務省が、全国の自治体から被災地の自治体(県や市町村)へ派遣されている地方公務員の数を調べて、発表しました。
それによると、4月16日時点で、1,407人が派遣されています。宮城県内へ669人、岩手県内へ379人、福島県内へ349人、そのほかへ10人です。職種では、土木などが773人、一般事務職が491人、そのほか保健師などが143人です。北海道から沖縄県まで、全国から応援に入っています。

被災直後から、国や地方自治体から多くの公務員が応援に入りました。最初は、避難所でお手伝いなどが多かったのですが、その後は市町村役場の仕事の応援に内容が移っています。すると、技術を持つか事務の経験が必要になるのです。特に、まちづくりの技術者が求められています。また、短期間の派遣でなく、少々長期間にわたって滞在してもらう必要があります。
知事会、市長会、総務省、国交省などが斡旋をしています。
一方、送り出す自治体にも、無理をしてもらっています。近年の職員数削減で、各自治体は職員数に余裕を持っていません。また、まちづくりの専門家も多くありません。そこで、退職した職員や、民間人を期限付きで雇用することを進めています。