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発掘された日本列島展

今日は、早めに仕事場を出て(仕事をしている部下を残して)、江戸東京博物館へ。例年の「発掘された日本列島展」に行きました。土日には、文化庁の専門家による解説があるのです。
やはり、解説があると、大違いですね。よくわかります。逆に、展示物に付けてある説明文を、もう少し詳しくわかりやすくできませんかね。発掘された状態の写真とか、遺跡の全体写真とか、工夫はしてあるのですが。中学生にもわかるくらいの解説(パネル)が、欲しいですね。
「発掘された展」も、今年で20周年になるのだそうです。それで、新発見だけでなく、これまでに展示されたものも並べてあります。
当初始まったときに、これは良い企画だと思いました。これからも、続けてください。それにしても、日本には、まだまだ「お宝」が埋まっているのですね。ご関心ある方に、お薦めします。

福島、国と地方の協議会

今日8月9日、福島市で、「原子力災害からの福島復興再生協議会」を開きました。いわゆる「国と地方の協議会」で、今回で9回目になります。国からは、「復興・再生に向けた取り組み状況」「第1原発の廃炉・汚染水対策」「除染・中間貯蔵施設」について報告をし、福島県からは、現下の問題と平成27年度予算への要望が説明されました。また福島側の出席者から、それぞれ意見が出ました。
工事が進み、めどが立った津波被災地区と違い、原発事故被災地は、まだまだ課題が大きいです。今日も、たくさんの課題が指摘されました。資料は、おって復興庁のホームページに載せます。
→資料が復興庁のホームページに載りました(8月11日)。
ただ、誤解を恐れずに言うと、福島の復興も、だんだんと道筋が見えてきたと考えています。
初めてこの会合を開いたのは、3年前の8月でした。事故が起きて5か月後です。その立ち上げに参画しましたが、会合を開くこと自体が、難しかったのです。
「加害者」の一員である国と、「被害者」である県や地元関係者とが、会議を持つことが難しかったのです。場所も福島にして国が出て行くこととし、ようやく開催できました(私は、この場合は東京ではなく、当然地元福島で開催すべきだと考えていました。2011年8月27日の記事)。
会議の雰囲気は、出席していた私にとって、凍り付いたようなものでした。信頼関係が壊れていたのです。地元側から、お叱りばかりを受けました。指摘される問題について、国は的確に対応できていなかったのです。当時は、さまざまな課題に対して対策が追いつかず、後手後手に回っていました。そして、道筋も見えていませんでした。当時は、協議会の議題を何にするか、課題の整理から議論していたのです。当日は、予定していた時間を大幅に超えて、会議を延長しました。
その後、放射線量に基づき、地域ごとに避難指示区分を定めました。賠償も次々と基準が示され、それに基づき支払いを行っています。除染計画もでき、作業も進めています。原子炉の状態も安定し、汚染水対策も進みつつあります。
全国に避難した被災者も、所在を把握しています。避難指示を解除できた地区もあり、解除に向けて作業を進めている地区もあります。
「早期に帰還することができる地区」「待っていただく地区」「新しい生活を選ぶ方」に分けて、対策が進んでいます。大きな道筋が見えてきたのです。そして、きめ細かに現地の課題を吸い上げることで、課題も見えて、対策が後手に回らなくなりました。何が進んで、何が進んでいないか。そして何に時間がかかるかが、見えてきたのです。
もちろん、まだまだ復興には至っていません。廃炉や除染には、長い時間と大変な作業が必要です。しかし、道筋が見えてきたことで、議論がかみ合い、課題も明確になりました。それを解決していけば良いのです。今日は地元側出席者から、「国も良くやっている」と、評価の声もいただきました。私は、会議中と帰りの新幹線の中で、3年前、2年前、去年の会合を思い出しながら、違いを考え、感慨にふけっていました。
被災者の皆さんには、大きな被害を与え、またご苦労をおかけしています。時間がかかりますが、政府の力を総動員して、解決していきます。

仕事の段取り

私たち官僚にとって、「仕事の段取り」は非常に重要です。目標を与えられた場合、あるいは目標を立てた場合に、いつ何をして、目標を達成するかです。内容をサブ、段取りをロジと呼ぶことがあります(もっとも、ロジは会議などの段取りの準備を指すことが多いです)。
その際に、内容を固めて上司の了解を得ることと同様に、そのほか誰に了解を取るか、関係者対策も重要です。マスコミには、どのように公表するか。マスコミに聞かれたらどう答えるかといった想定問答作り。関係者には、事前事後にどのように報告、根回しするかなどです。
自然科学の大発見と違い、私たちの仕事の多くは、関係者に納得をいただくことが「成果」です。どんなに良い内容でも、上司、関係者、マスコミ、国民に、理解と賛同を得られないと落第です。
段取り(の準備)には、いくつかのものがあります。まずは骨太の粗々したもの、いつ何をする必要があるかを確認することです。これは紙1枚。「工程表」と呼ばれます。次に、それをより詳しくしたもので、それぞれの段階で、誰が何をするか。対外的には、何をもって、誰が誰に根回しに行くか。役割分担表です。責任者たちでこの段取りを共有するために、漏れ落ちがないか確認するために、そして作業員が間違わないように、紙にする必要があります。
作戦本部長または参謀長は、この工程表と役割分担表を作ること、あるいは部下に作らせた原案を加筆修正することが仕事です。毎年の定例行事(予算、法案作成など)なら、前例があるのでそれを参考にします。しかし、初めての課題なら、一から作る必要があります。
私は最近の自分の役割を、「回転寿司ベルトコンベア」と呼んでいます(笑い)。
皿の上には、さまざまな寿司(仕事)が乗るのですが、それは部下が考えてくれます。私はその皿(できあがった説明資料)を、適切な時期に必要な人に届けること、届け先と時期を間違わないように指示を出すことが任務です。
これは、偏差値よりも、経験の多さと人間関係の熟知が、ものを言います。「俺は聞いていない」と言われないように、また「あの人に事前に報告をすると、新聞記者に漏れるわなあ」とか。
そして、発表や会議がうまく行ったときに、次に忘れてはならないのが、報告とお礼です。しばしば、これを忘れます。うまくいったので、うれしくなって打ち上げに行ってしまいます。そこにたどり着くまでに、陰で汗をかいてくださった人たち、また「俺はこれについては関係者だ」と思っている人に、まずは電話で第一報を入れ、お礼を言う必要があります。
いくつも失敗をした先輩の、反省談だと思って読んでください。しかし、このようなことは、失敗してみないとわからないのでしょうねえ。

民間の復興支援、小口の寄付を集めて力にする

大阪コミュニティ財団が、被災地支援をしています。この財団は、企業や一般の方から寄付を集め、目的ごとに基金を作って、支援する仕組みです。「マンション型基金」「基金の集合体」と表現しています。
一人ひとりの寄付額は小さくても、集まると大きくなります。また、個人ではどこに支援してよいかわからない場合に、この財団がその事務をやってくれます。
その基金の一つに、大震災の復興活動支援基金があります。8月1日に開かれた報告会では、「内職プロジェクト」「地域コミュニティ形成を目的とした生活支援事業」「コミュニティの新再生」「手仕事現地事務局設立」「空き店舗を活用した避難住民のビジネス・サロンを通した起業化・雇用創出支援」が報告されました。報告概要には、それ以外の援助先の事例も載っています。
企業や企業が主体となった基金による、被災地での復興活動支援もたくさんあります。その他に、このような多くの人から集めたお金で基金を作り、それを元手に支援してくださる例もあるのですね。ありがたいことです。
行政では手が回らない、また公金では支援しにくい活動を支援してもらえるので、その面でもありがたいです。
国も、阪神・淡路大震災の時に、細々とした活動に支援を行えるように、自治体に基金(金利運用型)を作りました。評価が高かったので、今回も、取り崩し型基金を作れるように、各自治体に交付税を配分しました。これも喜んでもらっているのですが、コミュニティでの事業支援は、お金だけではできません。ノウハウや人材による応援が必要なのです。

薄型テレビに

遂にテレビを入れ替えました。これまで見ていたのは、日本ビクターの1997年製です。もちろんブラウン管で、奥行きは40センチ以上ありました。
・・5年ほど前に、画面が暗くなり、修理に来てもらいました。配線の一部が弱くなっていたとのことで、修理してもらうと、またきれいに映るようになりました。その時の職員さんが、「このテレビを、大切にしてください。まだ当分、きれいに映るでしょう。この型が、日本で製造した最後のテレビです。その後は、アジアに生産を移しました」とおっしゃったのです・・と書いたのは、2008年4月27日でした。
アナログ放送が停止した際も、我が家はケーブルテレビなので、ブラウン管テレビでも何の問題もありませんでした(2010年3月6日の記事)。
我が家に来た人たちが、感心するやらあきれるやらの代物でした。私は、何の問題も感じなかったのですが。キョーコさんは、「全然明るさが違う」とのこと。遂に引退しました。古いテレビは、引き取ってもらうのにお金もかかりました。もっと問題なのは、テレビの上に並べてあった人形などの、置き場がなくなったことです(笑い)。このような家電は、耐用年数は10年ほどだそうです。17年も良く長生きしたものです。もっとも、私はニュースと「サザエさん」と「ダーウィンが来た」くらいしか見ないので。今日も、しょうもない話で、すみません。