「災害復興」カテゴリーアーカイブ

行政-災害復興

復興推進委員会

今日、総理官邸で、復興推進委員会を開きました。今日の議題は、これからの大きなテーマである「住宅再建などのまちづくり」と、9月にとりまとめる「中間報告」についての議論です。
これまでの地震と違い、大変な数の住宅を、高台移転したり土地をかさ上げしなければなりません。阪神淡路大震災との違いを比較してあるので、資料1をご覧ください。
中間とりまとめに向けては、委員から、政府の取り組みに対して、的確かつ厳しい意見が出されました(資料4)。これまでに出された意見については、私たち事務局が整理した資料2について、お褒めの言葉をいただいたのですが。
また、定例的に公表している「課題」と「現状」の資料を更新しました。今回は、かなり構成を変えました。これまでの応急復旧の資料は、参考資料に移しました。本格復旧へと、段階は進んでいますから。
福島の再生関係(p20~)放射性物質除染対策(p24)や、地方自治体からの職員派遣の状況(p55)、基金の使用状況(p56~)なども載せました。ご活用ください。

今日の一日、記者と官僚の役割

今日は、午前中に衆議院総務員会で答弁。災害関連死についての質問でした。地震津波では助かったのに、医療機関が機能しなくなったことや、その後の疲労やストレスで、1,600人もの方が亡くなっています。避難所暮らしが長引くと、生活不活発病や孤独による死亡も予想されます。それを、防がなくてはなりません。
復興庁では、全国の自治体の協力を得て、実態調査をするとともに、個別事例の分析を進めています。また、有識者からの聞き取りもしています。

午後からは、ある新聞社に呼ばれて、被災現地で取材を続ける記者さんたちに、復旧の現状と課題を、お話ししてきました。東京にいると、そして役所は、どうしても全体の数字しかとらえることができません。一方、現地の記者さんたちは、現場の実情を見ています。しかし、情緒的な記事と写真だけでは、復旧は進みません。
私が今日お願いしたのは、「複眼思考で現場を見て、記事を書くこと」です。先日、「復旧での統計の活用・2」で書いたように、「地域の復旧=マクロの客観的データ」と、「個人の生活の復旧=ミクロの主観的意識」の両方を見据えて、何が必要かを書いてほしいのです。
私たちに求められているのは、地域の復旧と個人の生活の再建です。復興庁の仕事もマスコミの記事も、それを助けるための「手段」です。「日本をよくする」。立場と手法は違いますが、記者と官僚の使命は同じです。建設的な批判や、課題の指摘を待っています。

復旧での統計の活用・3

さて、統計は、何かの目的のために作られます。それは、現状を把握するため、あるいは課題を発見するためです。しかも、被災地が大変な状況になっている場合に、手間暇をかけて、また市町村役場に苦労をけるわけにも行きません。
例えば発災直後に、避難者の数を把握する必要がありました。これは、最低限の数値です。ところが、被災市町村は、避難者を数えている余裕すらありませんでした。どこにどれだけの避難所があるかも、把握できませんでした。僻地で孤立し、民家を避難所としていたところもありました。
そこで、私たちが使ったのが、毎日送っている弁当の数でした。これを3で割ることで(1日3食と仮定して)、おおよその数がわかりました。この中には、自宅にいるが、電気ガスが止まって食事ができない人も、含まれています。しかし、当時私たちが必要だったのは、どれだけの人が支援を求めているかでした。この数字で、まずは十分だったのです。
その後、避難所の生活環境を改善するため(温かい食事は届いているか、風呂に入っているか、トイレはどのような状況かなど)、避難所の実態調査をしました。これも、回答がない避難所もありました。それくらい大変で、回答などしておられなかったのです。しかし、これだけでも、おおよその状態はわかり、関係者にどこに力を入れなければならないかを理解してもらえました。

復旧での統計の活用・2

岩手県では、復興計画の進行管理に当たって、「事業進捗」、「客観指標」及び「県民意識」に分けて調査し、管理しています。
すなわち、復旧の状況(アウトカム指標)として、主観的なものでは「県民(抽出)意識調査」と「復興ウオッチャー調査」を、客観的なものでは「インデックス調査」と「事業所調査」(後者は主観も含まれます)を行います。
事業の実施状況(アウトプット指標)としては、「事業進捗管理調査」を行っています。それぞれがどのような調査かは、ホームページで見てください。
これらを体系づけて、「いわて復興レポート」として公表する予定です(7月24日、専門委員会資料2-1)。
ここでは、アウトプットとアウトカムを区別し、さらにアウトカムについて主観的なものと客観的なものを区分して調査公表しています。
復興の現場でその度合いを見る場合には、「マクロな指標」と「ミクロな意識・感覚」の2つがあります。道路の復旧割合や鉱工業生産指数が前者であり、住民の満足度が後者です。前者は客観的ですが、後者は主観的になります。
たとえばマスコミ報道の場合は、この2者をどのように組み合わせるかが問われるのでしょう。
これに関連して、「地域の復旧」と「暮らしの復旧」という2つの視点があります。すなわち、インフラ、経済活動、サービス提供、さらには人口などの復旧指標が表しているのは、地域の復旧です。他方、個人や家庭の生活がどの程度復旧したかは、それぞれの個人の住宅再建、働く場の再開、収入と、教育や医療などの環境、ご近所とのつながりなどです。
これまで政府の統計などは、前者が主だったのではないでしょうか。もちろん、統計としては、提供者側の前者はとらえやすく、生活者側の後者はとらえにくいです。また後者には、客観的指標とともに主観的なものが大きくなります。
さらに、公共施設の復旧は行政の役割でしたが、個人の生活再建は個人の自己責任と考えられていたことも、その背景にあると思います。

文科省の自己検証

7月27日に、文科省が大震災対応について、第2次の自己検証を発表しました。「SPEEDI の計算結果の活用・公表」や「学校給食の安全・安心基準の発表」などについての検証です。文科省は、平成23年12月22日に第一次の検証結果を発表しています。その際は、緊急時対応体制をテーマにしていて、今回の報告書には、その教訓を踏まえた今後の取り組みも載っています。