カテゴリー別アーカイブ: 2010年秋学期

2010年秋学期

2010.10.09

今日は、日大大学院第4回目の講義。順調に進んでいます。今日は、行政改革の歴史と分類を、お話ししました。このホームページにも、「行政改革の分類」に載せてあります。そこに載せた表「行政構造改革の分類」は、私のオリジナルで、他にないと自負しています。もちろん、一人でこれだけの改革実績を整理するのは、限界があります。しかし、近年の歴史を見て全体像を把握するためには、必要な「地図」だと考えています。表は、さらに加工し、差し替えました。
広い範囲でたくさんの項目を載せてあるので、それぞれの改革について説明を始めると、とても時間が足りません。今日は駆け足で、解説しました。
(授業の補足)
授業中に紹介したのは、川喜田二郎著『発想法』(1967年、中公新書)です。私の方法は、「知的生産の技術」「明るい係長講座」中級編p59。

2010.10.02

今日は、日本大学大学院の講義第3回目。だんだん調子が出てきました。一つには、講義が具体の内容に入ってきたことです。私がこれまで考えてきたことや、いま問題意識を持っていることをお話しするので、どんどん調子が出ます。省庁改革、分権改革、三位一体の改革、経済財政諮問会議など、いくつもの改革に参加し、見せてもらったことに感謝しなければなりません。もちろん、総理大臣秘書官という経験も。
もう一つは、院生さんたちも、私の授業に慣れてきて、反応や発言がどんどんかみ合ってきたからです。

2010.09.25

今日は、日本大学大学院での講義、2回目。なぜ今、公共経営が議論されるのかを、お話ししました。簡単に言うと、日本の経済と社会がうまくいっていないと国民が考えているからであり、地域の経済と社会がうまくいっていないと住民が考えているからです。
日本の経済と社会が好調だった時は、ジャパン・アズ・ナンバーワンとして、経済では優れた日本式経営が、そして行政では優秀な行政機構が、褒めてもらいました。しかし、経済と社会が不調になると、今度はその責任者として政治と行政が、被告席に立たされているのです。そして、経済の分野では、日本の経営が、批判の的になっています。例えば、ガラパゴス論です(2010年2月28日の記事)
公共経営論を論じる時に、アウトプット・アウトカムである社会の満足と不満を抜きにして、行政組織論をするだけでは不十分であると、私は考えています。
地域そして日本の社会と経済の成功と停滞は、長年の私のテーマであり、しゃべるのは困りません。ついつい詳しくしゃべって、時間が足らなくなりました。これは想定の範囲内です(笑い)。

大学院秋学期開始

今日から、日大大学院での授業が始まりました。初日から、学生さんも集まり、早速、授業を開始しました。今学期は、「公共経営論」です。市役所組織の経営だけでなく、地域社会の経営まで広げて、話をしようと考えています。
地方自治体の課題は、組織の課題と、地域の課題の二つがあります。前者は、行革であったり、NPM、組織と人の管理などです。後者は、不況と不安に悩む地域社会を、どのように活性化し安心な社会にするかです。市役所組織は、あくまでも住民生活を豊かにするための「手段」であって、地域社会の経営を考えないと、組織経営論だけでは狭いのです。「夕張市の経営」といった時に、市役所だけを考えていても、市域の活性化にはなりません。「国家経営」といった時には、国家行政組織(省庁組織)の経営ではなく、日本国・日本社会の経営を考えるでしょう。
実は、自治大学校の基本課程(幹部養成課程である第1部、第2部)は、公共政策(政策立案能力養成)と行政経営(組織管理能力養成)の2本柱からなっています。それと同じです。また、春学期に講義した、地域社会のリスクと行政組織のリスクの2つにも、対応しています。
春学期もそうでしたが、このテーマをまとまって話すのは初めてなので、準備が大変です。でも、自分の考えを整理するのには、良い機会です。
参加の院生さんたちに連絡です。今日使わなかった配付資料は、来週使うので、持ってきてください。

日本大学2010年秋学期

2010年秋学期は、「公共経営論」です。

授業の内容
主に市役所を例に、「地域社会の経営」と「市役所組織の経営」を議論します。
「国家経営」が、行政機構(省庁)の管理だけではなく、国民の集合体としての国家を経営すること、豊かで安全な社会を発展させることを指すように、公共経営も地方自治体の組織を運営することだけではありません。社会は、政治システム、経済システム、社会システムの3つからなっていますが、経済システムと社会システムをうまくいくようにすることも、政治と行政の仕事です。
何を行政の課題とするかは、その時代と社会を反映しています。今、行政改革だけでなく、地域経営が議論になるのは、それが社会の課題であると認識されたからです。
講義では、これまでどのような課題が認識され、どのように取り組まれてきたか。また、これからの課題は何かを議論します。

授業計画
はじめに
1 講義の狙い
2 公共経営、2つの次元
3 公共とは何か
4 政治と行政の役割:3つのシステムの統合・経営

第1部 公共経営論の現在
第1章 今、なぜ議論されるのか
1 停滞する日本と地域
2 行政と日本社会の成功、その後に来た停滞
第2章 「日本の改革」:行政改革から社会の改革へ
1 行政改革の歴史
2 近年の改革の分類
3 行政改革から構造改革へ

第2部 自治体は地域を経営したか
第3章 市役所は「良い地域」を作っていたか
1 住みよい地域とは何か
2 地域の課題は何か
3 市役所はマチをつくってきたか
第4章 地域を経営する
1 住みよい地域をつくる主体
2 政府の役割
3 行政の役割の変化

第3部 市役所の経営
第5章 組織管理論から経営論へ
1 官と民のガバナンス論
2 行政改革の進化:スリム化から新公共管理論へ
3 社会の制度設計
第6章 市民の満足
1 市民の満足を得る成果(アウトカム)
2 市民を納得させる説明(アカウンタビリティ)
第7章 組織の管理
1 部門の管理
2 全体の管理と部分の管理
3 役所では経営と管理が行われているか
第8章 大きな政府と小さな政府
1 政府の大きさとは何か
2 大きな公共と小さな政府

授業の予定
シラバスに記載した内容を、少し順序を変えて講義します。
9月18日 はじめに
9月25日 第1章 今、なぜ議論されるのか
10月2日 第1章続き
10月9日 第2章 「日本の改革」
10月16日 第2章続き
10月23日 第2章続き、運営・管理と経営・統治との違い
10月30日 (大学院休み)
11月6日 第3章 市役所は「良い地域」をつくっていたか
11月13日 第4章 地域を経営する
11月20日 休講
11月27日 第4章続き
12月4日 第5章 組織管理論から経営論へ
12月11日 第5章続き
12月18日 第6章 市民の満足
1月15日 第7章 組織の管理、第8章 大きな政府と小さな政府