「社会と政治」カテゴリーアーカイブ

社会と政治

新型インフルエンザ終息

WHO(世界保健機関)が、10日に、新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)が終息したと宣言しました。新聞が伝えています。警戒水準をパンデミックである「6」に引き上げたのが、昨年の6月でしたから、1年2か月かかったことになります。感染が確認されたのは214か国と地域、死亡者は1万8千人だそうです。
今回の新型インフルエンザは、弱毒性で被害は比較的軽くてすみました。最初の頃は、かなり厳重な対策をとりました。飛行場で体温を測ったり、隔離し、学校を休校したり。覚えておられると思います。危機管理としては、良い訓練になりました。しかし、強毒性の感染症だと、こうはいきません。

お墓の管理と経営

8月11日の朝日新聞オピニオン欄は、お墓の特集でした。長江曜子聖徳大学教授が、次のようなことを発言しておられます。
・・欧州では、お墓の問題を、福祉行政の一環として位置付けています。例えばスウェーデンでは、所得の0.07%を埋葬税として支払い、葬儀や墓の使用権の費用に充てています。無縁の墓は整理されますが、政府がその後も責任を持って遺骨の管理と祭祀を続けます。民間がお墓を経営することは、「永続的に管理できるかどうかリスクが高い」として、認められていません・・
日本では、お寺さんなどの墓地や民間の霊園と、地方自治体の墓地があります(地区の住民が管理しているのも、あるのでしょうか)。国によって違うものですね。

情報爆発

24日の朝日新聞別刷りbeに、グーグル副社長のインタビューが載っていました。記事の表題は、「『情報爆発』読み解く検索」です。
・・「人類が誕生から2003年までに蓄積した情報は、5エクサバイト。いまは同じ量の情報が、2日ごとに作られている」・・グーグル幹部は最近しばしばこう語る。5エクサバイトは50億ギガバイト、DVDだと10億枚以上の量だ。その多くが、インターネットにアップロードされているとみられる。
初期のインターネットにアップロードされる情報の大半は、文字(テキスト)だった。だが、いまは写真、音声、動画といった非テキスト系の情報が急増している。今年3月に、ユーチューブは「1分ごとに24時間分の動画がユーチューブに投稿されている」と発表した。昨年5月の段階では、毎分20時間分だった・・
すごい増加量ですね。鉄や石油などの資源について、人類が使った(作った)量のほとんどが20世紀後半だと、読んだことがあります。人口も爆発していますが、情報の爆発のすごさは比較になりません。
ちなみに、私がこのホームページのために、使っているニフティのサーバーは、現時点で36メガバイトです。私のホームページは、ほとんど文字情報なので、データ量は多くないようです。

科学外交、風土病対策

7月12日の日経新聞夕刊「人間発見」は、北里研究所の大村智名誉理事長でした。家畜の寄生虫を駆除する抗生物質を実用化して、世界のベストセラーになり、250億円の特許料収入を得たそうです。
それよりも、私が関心を持ったのは、その先です。その薬「イベルメクチン」は、人間にも効くことがわかりました。そしてアフリカのオンコセルカ症という、猛烈なかゆみや失明をもたらす病気を、抑えることができるようになりました。これで1億2千万人の人びとが、感染から守られたそうです。
先生は、次のように述べておられます。
・・最近、科学の力で世界に貢献する「科学外交」という言葉を聞きますが、イベルメクチンはその先駆けではないでしょうか。日本人の私たちが見つけた微生物がこの薬を生み出し、それが世界に貢献し、世界から評価されています。残念ながら、そのことが日本国内ではあまり知られていません・・
私も知りませんでした。このようなことを、もっと報道して欲しいです。マスコミでは、編集部のうちの何部の仕事になるのでしょうね。政治部や社会部は、国内を見ていますから。

人は失敗で進歩する

ギリシャの財政危機に端を発した、ヨーロッパの共通通貨ユーロの暴落が、ユーロ制度に対する不安をもたらしています。20日の日経新聞は、1面で「通貨混沌-ユーロ不安と世界」の連載、読書面では「ユーロ体制、危機に直面」の特集でした。他方、経済面では、太田泰彦編集委員が「災い転じてユーロ進化論」を、書いておられました。
・・単一通貨制度が近く崩壊するという予言や、地域統合を目指す壮大な実験が失敗に終わったと断じる論評もある。本当にそうだろうか。
たとえば老舗のプライベートバンク・・独メツラー銀行の共同経営者、ヴィースホイ氏は「ユーロの仕組みに対する一般の認識が深まり、制度改善の土台ができた」と語る。80歳になるコール独元首相も、珍しく口を開いた。「欧州統合は戦争か平和かの問題であり、ユーロが平和を保証している」・・
ユーロは、主権国家はそのままに、通貨発行権を上部機関に委ねるという壮大な実験です。神ならぬ人間がつくった制度、しかもいろんな妥協を重ねた「実験」です。最初から、完璧なものはできません。まさに、試行錯誤。いろんな問題を解決しながら、進んでいくのでしょう。
問題をあげつらうだけでは、あるいは問題があるからといって踏み出さないなら、進歩はありません。2008年の世界金融危機に発する世界同時不況を、大恐慌に陥ることなく、ほぼ克服しました。これは1929年の痛い経験があったからです。そして再発を防ぐため、金融監督制度は、改善が検討されています。
制度が問題なく運営されている時は、制度が非常に良くできていて、問題を発生させない場合や問題が起きても吸収できている場合のほかに、たまたま問題が顕在化しなかった場合があります。それらの場合は、制度を改善・改革しようという動きは出てきません。改善・改革は、問題が顕在化した時に進むのです。