カテゴリーアーカイブ:政治の役割

極めて低い日本の公的教育支出

2019年9月12日   岡本全勝

9月11日の日経新聞が「公的教育支出、日本また最低 OECD16年調べ 負担、家計頼み鮮明」を伝えていました。
・・・経済協力開発機構(OECD)は10日、2016年に加盟各国が小学校から大学に相当する教育機関に対して行った公的支出の国内総生産(GDP)に占める割合を発表した。日本は2.9%で、比較可能な35カ国のうち、3年連続で最も低かった。
OECD平均は4.0%。最高はノルウェーの6.3%で、フィンランドの5.4%、アイスランドとベルギーの5.3%が続いた。公的支出のうち高等教育の割合も日本は31%で、OECD平均66%の半分以下。教育支出の多くを家計が負担している傾向が続いた・・・

グラフが付いているので、ご覧ください。OECD35か国で最低とは、耳を疑う数字です。しかし、それが実態です。

日本は教育熱心な国だと、私たちは思っています。子育て家庭にとって、教育費は大きな負担です。
しかし、学校教育には、力を入れていません。それを、学校以外が支えています。塾などです。学校教育だけですむ国と、学校教育だけでは不十分で塾などに行かせる国と。
芸術やスポーツの養成のための塾ではなく、学校での授業を補うための塾が普通になっています。そして多くの子供が通い、一大産業となっています。他方で、家計の事情で塾に通えない子供がいて、格差を生みます。学校教育だけで、普通の教育が完結してません。
日本は、学校教育が、親や社会の期待にこたえていない国です、変だと思いませんか。

経済政策の課題

2019年8月3日   岡本全勝

7月29日の日経新聞経済教室、小峰隆夫・大正大学教授の「参院選後の安倍政権の課題(上) 社会保障改革議論 超党派で
・・・参議院選挙が終わった。今回の選挙結果は直接的に安倍政権の経済政策に修正を迫るものではない。だがこれを機に、選挙前から引き継がれてきた課題や選挙中に各党が繰り広げた議論を踏まえて、これからの経済政策に求められる基本的な方向を3つ指摘したい・・・

・・・第1は非常時型の実験的・冒険的政策から平時の正統的な政策への回帰を図ることだ。バブル崩壊後の約30年の日本経済は資産価格の暴落、不良債権問題、デフレ、金融危機、2008年のリーマン・ショックなど、次々に未知の課題に直面した。いずれも前例のない出来事だったため、対応は実験的な試行錯誤の連続とならざるを得なかった。
その結果、ゼロまたはマイナスの超低金利が続き、日銀が新規発行される国債を買い占めるとともに一般企業の大株主となり、先進国中最悪の財政状態になった。財政金融政策の姿は持続不可能なものといえる。
一方で、経済の現状はもはや異例の政策対応を必要とするような異常時とは言えない・・・

・・・第2は生産性の向上に本気で取り組むことだ。長期的にみた日本経済の最大の課題は、生産年齢人口の減少(人口オーナス=負荷)という流れに対抗して、生産性を引き上げ、持続的な成長を実現することだ・・・前述の期間、日本の労働力人口は0.7%増加する一方、労働力人口当たりの生産性は0.5%の上昇にとどまる(図参照)。主に動員型で対応してきたということだ。生産年齢人口が減ったのに労働力人口が増えたのは、それまで労働力人口ではなかった女性、高齢者、外国人が参入したからだ。
こうした動員型の対応はいずれ限界に達するから持続可能ではない。また新たに参入してきた労働力は、賃金や生産性の低い非正規労働が中心だった。これが、雇用情勢が逼迫しているにもかかわらず平均賃金があまり上昇せず、平均的な労働生産性も高まらない主要な理由の一つだ。今後は労働者1人当たりの生産性の上昇を主要な目標として成長戦略を練り直すべきだ・・・

・・・第3は超党派で財政・社会保障改革に取り組むことだ。持続的な財政・社会保障の構築が日本経済にとって最重要の課題だと誰もが分かっている。だが参院選での各党の議論は、とても問題の解決に向かっているとは思えないものだった・・・
・・・財政・消費税・年金などの問題は、真剣に議論すれば国民負担を伴わざるを得ない。こうした問題を政争の具、選挙の争点にすると、負担を嫌がる国民にこびる公約が乱発され、問題解決からは遠ざかるばかりとなる。参院選でこのことが改めて確認されたといえる・・・

野党、政権交代への道筋

2019年7月26日   岡本全勝

7月26日の読売新聞解説欄「野党 体勢を立て直すには」、砂原庸介・神戸大教授の発言から。

・・・投票率が50%を切った背景に、有権者が投票先を選ぶ手がかりが乏しいことがあるのではないか。各政党のラベル(名前)は本来、投票の有力な手がかりになるはずだ。しかし、野党が非常に弱く分裂しており、野党のラベルは手がかりにならなかったのだろう。
候補者についても、その属性が決定的な手がかりにはなりにくくなっている・・・

・・・他方、障害やLGBT(性的少数者)などの属性が手がかりとして注目される候補も少なくなかった。当選した彼・彼女らが、国会に当事者としての視点を持ち込むことは極めて有意義だ。ただ、マイノリティーの当事者だけがその集団を個別的に代表できるとする発想には注意が必要かもしれない。個人の属性と政策への志向を結びつけるだけでなく、政党という集団と、それが生み出す政策への志向を通じて「多様性」を表現すべきだろう。マイノリティーの代表を選択することだけが「多様性」への配慮だとされると、有権者も戸惑うのではないか・・・

・・・野党にとって安倍首相は打ち勝つべき敵かもしれない。しかし、その反対を意識しすぎて、自らの立ち位置が不明になっていないか。政権がやることは全て悪いとすると、あなたがたが政権を取ったらどうなる、と同じ質問がくる。「モリカケ」に象徴される不透明性など政権の問題はあるが、0か1かの対比ではなく、政権党と野党とを並べて優劣を測る共通の尺度を示せていない・・・

議院内閣制の母国イギリスの混迷

2019年7月24日   岡本全勝

7月22日の日経新聞オピニオン欄、芹川 洋一・論説フェローの「政治はやはり英国に学べ 議院内閣制、反面教師」から。

・・・民主主義のお手本として、党首討論にしても大臣―副大臣―政務官にしても、日本の政治主導のモデルだった。その英国がどうしてこんなに迷走をつづけ、世界で驚き、あきれられているのか。
経済、社会、歴史ともろもろの理由があり、民主主義という制度の根っこの問題もあるのだろう。議院内閣制の運用という観点でみても、国民投票からこれまでのプロセスには多くの教訓があるのは間違いない・・・
・・・一連の流れからみえてきたことが3つあるように思う。制度の運用はいずれも「危険がいっぱい」なのである・・・
として、次の3つを挙げています。
1 は国民投票
2 総選挙
3 解散の制約

イギリスの混迷、そして日本との違いは、政治は制度以上に運用が重要だということを示しています。本文をお読みください。

松井孝治教授、国会改革のあり方

2019年7月4日   岡本全勝

6月29日の毎日新聞オピニオン欄「国会改革のあり方」に、松井孝治・慶應大学教授(元民主党参議院議員、官房副長官)が「首相縛らぬ討論型に」を書いておられました。

・・・首相や閣僚が国会対応に多くの時間を取られ、外交交渉や政策面でのリーダーシップを発揮しづらいのが現状だ。首相や閣僚の国会での拘束時間は各国に比べて突出して長く、大きなハンディキャップを負う。首相や閣僚を時間的に拘束して追い詰めていく、昭和から続く「質疑型」の国会から、短い時間でより濃密な議論をする「討論型」に変えていくべきだ・・・

・・・各国首脳・閣僚は議会の拘束が少ない分、日々濃密な政策ブリーフを受け、海外を飛び回ってカウンターパートと日常的に交渉している。官僚時代の経験では、国会開会中は日程の合間を縫って閣僚らにいかに短い時間で政策を説明し、決裁を取るかに役所全体が追われる。省内で議論し、政策を研ぎ澄ますという他国では当たり前のことにかける時間は余りに短い。
国会で政策的な論争を交わしているならいいが、多くの場合、政府側は単に防戦に徹する。政府側の見解を述べ、問い返せば「そんなことは聞いていない。質問に答えろ」と言われる。重箱の隅をつつくような質問や揚げ足取りの質問も少なくない・・・

原文をお読みください。