カテゴリー別アーカイブ: 政治の役割

行政-政治の役割

社会党の終焉

日経新聞「私の履歴書」、12月はジェラルド・カーティスさんです。25日の「社会党の人々」に、次のような話が書かれています。

江田三郎・社会党書記長が、1962年に「江田ビション」を発表しました。米国並みの生活水準、ソビエト並みの福祉、英国の議会制民主主義と日本の平和憲法を組み合わせた、国の将来像を唱えました。しかし、社会党左派は江田氏を攻撃し、書記長から引きずり下ろします。

・・・65年前、ドイツ社民党がマルクス主義と決別した時、逆に左に振れたのが致命的だった。長い歴史をもつ日本の社会主義運動には、そうして終止符が打たれた・・・

同時の関係者は、どのように自らの行動を説明するのでしょうか。

国連の女性差別撤廃委員会勧告

12月2日の日経新聞ダイバーシティ欄「女性差別撤廃委の勧告生かせ 夫婦別姓議論、当事者の声を」から。

ジェンダー平等に向けた日本の政策は十分か。国連の女性差別撤廃委員会が10月、日本政府を8年ぶりに対面審査し、改善勧告を出した。選択的夫婦別姓や同性婚の導入など、勧告の内容は多岐にわたる。日本はどう受け止めればいいのか。委員会のメンバーである亜細亜大学の秋月弘子教授に審査の意義や今後の課題を聞いた。

――審査はどう進められるのか。
「女性差別撤廃委員会には、各国から選ばれた女性分野の専門家23人が所属しており、1回の会期で8カ国の審査を分担する。委員は1人あたり最低でも4カ国ほどの審査を担当するのが通例だ。国別の作業部会に十数人の委員が組織され、その国から提出された報告書を読み、情報を得る」
「審査の対象となる国からは、前回の審査からの進捗状況を説明する報告書が提出される。市民団体などからの報告書も受け取り、課題を多角的に把握する。報告書は平均して1国あたり20〜30ほど。事前に課題と現状を精査し、対面での審査に臨む」

――日本は勧告に対する対応が不十分だという指摘もある。
「選択的夫婦別姓の導入についての勧告は4度目で、それでも変わっていないというケースは珍しい。勧告に法的拘束力がないと指摘する声もあるが、委員は人権分野の世界的な専門家であり、その指摘は重い。国際的には、勧告が出た以上は履行する努力が当然のことだと認識されている」
「日本でジェンダー不平等の状況が放置されていることは、海外からはしっかりと認識されている。日本が冷笑されてしまう立場であることも、政府は認識しなくてはならないだろう。改善の取り組みをスピードアップしない限り、世界の標準が見えなくなり、孤立してしまうリスクをはらんでいる」
「人権を侵害された個人が、人権条約機関に訴えられる『個人通報制度』を定める選択議定書を批准していないことも課題だ。人権に関する問題が起きたとき、当事者の声を受け止め、救済する国内人権機関を設置することも欠かせない」

――今後、日本にどのような変化が必要か。
「ジェンダー不平等が深く根付いている現状を変えるには、強い法や政治の力が必要。ただ、女性議員が少ない日本では、なかなか法制化も進まない。10月の衆院選の当選者のうち、女性の割合が15.7%と過去最多になったが、世界平均の27%に比べればまだ少ない。国会での女性の少なさは、委員会のメンバーからもよく驚かれる」
「選択的夫婦別姓について指摘を受けた際、『国民の議論が必要』との政府代表団の回答があった。日本の国会議員の大多数は男性のため、国会の議論だけではバランスを欠く。パブリックコメントや当事者団体からの声も入れるなどして、『国民の意見を反映した』議論を期待したい」

世論駆動の「ファスト政治」

雑誌「ウェッジ」11月号は「特集 民主主義は 人々を幸せにするのか?」でした。
記事の一つ、佐藤卓己・上智大学教授の「ネガティブ・リテラシーを持ち 情報過剰時代を生き抜く」に、次のような文章があります。

・・・そもそも自民党総裁選がこの構図で行われたのは、岸田文雄内閣の退陣表明のためだ。外交でも経済でも大きな失策はなかった岸田内閣だが、自民党派閥の裏金事件を背景に内閣支持率は低迷した。「支持率が20%を切れば退陣」が21世紀日本政治の常識である。与党である自民党と公明党の支持者が3~4割だとすれば、支持率20%派与党支持者の過半数も不支持ということになる。

これを世論駆動の「ファスト政治」と私は呼ぶ。特に小泉純一郎内閣以後の短命内閣はいずれもメディアの世論(人気)調査報道で首相が選出され、内閣支持率が20%を割る「賞味期限切れ」で退陣した。

逆にいえば、安倍晋三長期政権はこの内閣支持率を何よりも重視し、人気取りイベントや即時報酬的なバラマキ予算を次々に繰り出した結果であり、これを政策本位の政治と評価することは難しい。そうした「ファスト政治」によって長期的な展望が日本政治に見えないことへの不安を感じる人は少なくないはずだ・・・

安倍総理「気力がわかなくなった」

11月24日の朝日新聞「「安倍政治」の内幕に迫った 「宿命の子」著者、船橋洋一・元朝日新聞主筆に聞く」から。

――著書では、森友学園側に16年に国有地が8億円余り値引きして売られた問題も取り上げています。財務省での公文書改ざんや職員の自殺へと広がりました。

妻の昭恵氏が森友学園の名誉校長だったことをめぐり、安倍氏は昭恵氏から「どこが悪いの?」と言われ、口論となります。一方で、腹心の今井尚哉政務秘書官から昭恵氏の「道義的責任」を認めるよう求められ、反発します。政権の危機の瞬間でした。

――安倍氏の後援会が「桜を見る会」に参加する地元支援者らを対象に開いた前日の夕食会の費用を、安倍氏側が補填(ほてん)した問題もありました。首相辞任後に東京地検特捜部が政治資金規正法違反(不記載)の罪で秘書を略式起訴、安倍氏を不起訴とします。

安倍氏は弁護士や学者から告発された後、秘書を問い詰めて補填があったらしいと知ります。「もうファイトがわかない。答弁を修正する気力がわかない」と今井氏にもらします。「田中角栄もああなったし……」とロッキード事件で逮捕された田中元首相に自身を重ねていました。
安倍氏は事実と異なる国会答弁を繰り返していた。退陣後に衆院で謝罪しましたが、政治と政治家に対する国民の信頼を傷つけた責任からは免れられません。身内を信じて甘くなり、死角が生まれた。足元のガバナンス(統制)が弱かったと言えます。

藤田直央・編集委員の解説
・・・安倍政権を綿密に検証した船橋氏の著書には、政治記者の私が詰め切れないでいた多くの疑問への答えがあった。中でも驚いたのは、20年8月の唐突な首相辞意表明の裏に「政治とカネ」の問題があったことだ。
安倍氏は、桜を見る会の前日の夕食会について問題なしとの国会答弁を繰り返してきたが、違うとわかった。答弁訂正から逃れたい、東京地検に立件されるのでは――。歴代最長の計8年8カ月にわたり政権を担った政治家が、自らの脇の甘さからそこまで追い込まれていた。
事実を明らかにしないまま首相を辞め、秘書が立件されると初めて国会で謝罪した。自民党としての処分もなかった。後に裏金問題で露呈する自民党の政治資金管理のいい加減さや不透明さと通ずる・・・

税制は与党で決まる

12月20日に自民党と公明党の税制大綱が決まり、各紙が「来年の税制が決まった」と報道しています。
例えばNHK「平成7年度税制改正 暮らしどう変わる 103万円の壁は?」。
・・・令和7年度(2025年度)の税制改正について、「103万円の壁」をはじめ、わたしたちの暮らしに身近な税制を中心に詳しくお伝えします・・・

これはこれで正しいのですが、税制改正法案を提出する内閣と、それを審議する国会の役割は何なのでしょう。
与党が衆参両院で過半数を持っていると(現在は違いますが)、与党が決めた内容は、与党から選ばれた首相が反対しない限り、法律となります。
憲法は国会を国権の最高機関と規定し、学校でも国会の役割を習います。ところが、憲法には政党は出てこず、学校でも「与党が決めます」とは習わないでしょう。

どのような理由で、税制改正の結論が出たのか。国民は、報道を通じてしか知ることができません。与党の決定過程は、どの程度が公開されていて、議事録は公開されているのでしょうか。また、保存されているのでしょうか。
議会制民主主義、議院内閣制において、これだけ重要な役割を果たす政党について、憲法や法律でも一定の位置づけをするべきだと思います。選挙法制だけでなく、政策過程においてです。

政党助成法 第一条 この法律は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し政党交付金による助成を行うこととし・・・