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生き様-生き方

砂原庸介教授、大佛次郎論壇賞受賞

昨日1月31日は、砂原庸介教授が大佛次郎論壇賞を受賞されたので、授賞式とパーティーに行ってきました。朝日賞と一緒の式です。
作家・僧侶の瀬戸内寂聴さん、トポロジーの理論物理学者の甲元真人さん、睡眠を司るオレキシンを発見した睡眠科学者の柳沢正史さん、100メートルで9秒98の日本新記録を出した桐生祥秀さん・・・。様々な分野の方がおられ、挨拶も面白かったです。
柳澤先生は、座右の銘を2つ紹介されました。その一つ「真実は仮説より奇なり」は、記事にも載っています。もう一つは、「良い問を見出すことは、問を解くことよりも難しい」です。納得しました。

違う分野の話を聞くのは、勉強になります。関西から政治学、行政学の先生方がたくさん来ておられました。ゆっくりと話したかったのですが、別件があったので途中退席しました。もったいなかったです。

「ところで、全勝さんと砂原教授とは、どんな関係ですか」と質問されます。このようないきさつです。

残された時間をどう使うか

かつて、定年後に残された時間をどう使うかについて、書いたことがあります。「熟年に残された使い切れない時間」(2007年4月6日)。気になって、再度調べてみました。

まず、定年後の自由時間です。一日24時間のうち家事や睡眠に10時間使うとすると、残る時間は14時間。1年間では、14時間×365日=5,110時間。65歳で退職するとして80歳までの15年では、76,650時間。

次に、労働時間です。1年間では、8時間×250日=2,000時間(休日と祝日を除く。残業と年休を無視します)。22歳で就職して60歳まで38年間働くと、総労働時間は、2,000時間×38年=76,000時間。ほぼ同じです。
約40年間働き続けたのと同じくらいの時間がある。これは困ったことです。

次に、学校に行った時間と比べてみます。小学校から大学までに受けた授業時間は、標準で12,000時間程度です(それぞれ一定の想定を置いて、試算してもらいました)。
小学校、4,756時間。
中学校、2,747時間。
高校、2,685時間。
大学、1,395時間。
16年間の授業時間の6倍もの時間です。

ところで、年間総時間は、24時間×365日=8,760時間。労働時間は2,000時間と、4分の1もないのです。
かつて同僚と「災害って、休みの日か寝てるときに起きるねえ」と言ったことがありますが、勤務中に起きる確率は4分の1なのですね。
さらに、老後の時間をどう使うかを悩む前に、今現在の自由時間をどう使うかを考えるべきでした。これまで、飲み屋で費やした時間は仕方ないとして、毎日の放課後と土日をどうするか。寝ているのも、勉強するのも、運動するのも、同じ1時間です。

人生を豊かにする「性格」

1月15日の日経新聞経済教室は、鶴光太郎・慶応大学教授の「人生100年 伸ばせ「性格力」 」でした。ここでの主張は、学び直しの際に、知識・技能だけでなく、「性格スキル」を向上させようという主張です。
職業人生に大きな影響を与える「性格の要素」が明らかになっています。真面目さ、外向性(社交性や積極性)、精神的安定性(不安や衝動が少ない資質)、協調性(思いやりや優しさ)、開放性(好奇心や審美眼)の5つです。
このうち、外向性を除いて、ほかの要素は成人後でも伸ばせることができるのです。
『明るい公務員講座』でお教えしていることと同じですね。
原文をお読みください。

週末定番のぼやき

日曜日の夕方に、これを書いています。孫のお守りやら原稿の加筆が一段落したので、手帳を見ています。これが、私にとって重要な時間なのです。

来週にしなければならない仕事(公務)は、金曜日に秘書と打ち合わせしてあります。講義や講演会の準備、締めきりが来る原稿など「副業」は、「しなければならない一覧」(A41枚)に書き出してあります。『明るい公務員講座』に書いたようにです。
あわせて、月曜から日曜まで毎日、朝食・昼食・夕食をどこで食べる予定か(自宅か弁当か外食か)、宿泊は自宅か福島かを、表にしてキョーコさんに提出します。

さらに、日曜夕方に手帳を広げるのは、それらを再確認することと、どこで自分の時間がとれるかを算段するためです。「新幹線の中で、ホテルで、あの本を読もう」とか。なかなか自分の時間を確保できないことが、悩みです。
いろんなことを引き受けない、毎晩のように異業種交流会に行かない、このあと晩酌をしないことにすれば、解決できるのですが・・・。はい、いつも同じことを言っています。

とはいえ、連載「明るい公務員講座」は連載が終わり、単行本にする作業も進んでいます。大学の講義もあと1回で、期末試験。新しく引き受けた連載の日経新聞夕刊コラムは準備してあるので、少々余裕があるのです。
すると、買ってある本を読み始め、あれも読みたいこれも読もうと、これまた収拾がつかなくなります。

小坂井敏晶さん、フランス大学事情など

小坂井敏晶著『答えのない世界を生きる』(2017年、祥伝社)が、興味深かったです。
著者は、パリ在住の社会心理学者です。ホッケーをするために早稲田大学に入りますが、日本代表選手になれません。アルジェリアで日仏技術通訳などをして、フランスへ。カーン大学、社会科学高等研究院で学んだ後、リール第三大学准教授を経て、パリ第8大学心理学部准教授になります。
このように、「通常の」研究者の道を歩まず、フランスの大学で教員になります。この半生が興味深いです。やっている研究も、社会心理学の主流ではないと、本人が言っておられます。

この本は、著者の半生記と、彼が「自分の頭で考えた」学問についてが載っています。面白いです。
かつて、『責任という虚構』(2008年、東大出版会)を本屋で見つけて買ったのですが、読まずに本棚にあります。『社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』(2013年、筑摩選書) も面白そうだなと思いつつ、読まないだろうと買いませんでした。
しかし、『答えのない世界を生きる』を読んだので、買って読み始めました。多分、この本を読まなかったら、『社会心理学講義』は途中で投げ出したでしょう。