カテゴリー別アーカイブ: 講演

講演

JICA「強靱な国・社会づくり」講師3

今日は、JICA「強靱な国・社会づくり」講師、その3回目に行ってきました。
研修生たちは一連の講義と視察を終えて、明日は各人が成果を発表します。今日はその前の、質問時間でした。

2時間にわたって、災害復興、日本の危機管理、中央政府と地方政府の関係、政治家と官僚との関係、日本の経済発展の課題など、多種多様な質問を受けました。
私のこれまでの経験と連載「公共を創る」などで考えていたことを基に、伝わるように、わかりやすく答えました。このような内容なら、私もお役に立つことができます。
研修生の皆さん(各国の政府幹部候補)が国に帰って、今回の研修が今後の国づくりに役立つとうれしいですね。
第2回」「第4回

静岡県幹部研修講師

今日11月18日は、静岡県幹部研修講師のため、静岡市まで行ってきました。会場とオンラインで、120人を超える職員が聞いてくださいました。

管理職の悩みには、時代が変わっても不変なものと、現在の日本社会の変化によるものがあります。そして、組織と職員の管理という内部問題と、地域の課題という外部問題があります。それを説明しました。
楽しくない内容が多いので、なるべく実例を入れて、共感を持ってもらえるように話しました。話が発散しないように骨子を配り、最初に「今日話すこと」を説明します。
私の思いは、伝わったと思います。鋭い質問も出ました。管理職の悩みは、共通しています。

JICA「強靱な国・社会づくり」講師2

昨日午後は、国際協力機構(JICA)の「強靱な国・社会づくり」の講師を務めました。先日に続き、2度目です。
今回は「東日本大震災への対応」です。研修生たちが、このあと石巻市の被災地を見学するので、その準備としてです。

この内容は何度もやっているので、お手のものです。とはいえ、短時間で日本を知らない人に伝えることは、何度やっても難しいです。鎌田浩毅先生に作ってもらった、日本列島がいくつものプレートの上に乗っていて、その衝突と沈み込みで地震が起きることから話すのです。
要点を絞る、その他は大胆に削除する必要があります。

1時間の講義、30分の質疑応答です。
研修生からは、「どうして危険な地域に再度町を再建するのか」「政府が町の再建の場所などを決めず、住民の話し合いで決めたのは参考になった」「国土の復旧から生活の再建へ哲学を変えたことがよくわかった」との意見をもらいました。理解してもらえたようです。

昨日は、午前と午後と2回の講演でした。

市町村職員研修機関所長会議で講演

今日の午前は、市町村職員中央研修所で開かれていた、市町村職員研修機関所長会議で講演をしました。
表題は「電子化が変える役所の流儀」です。デジタル変革や人工知能が入ってくることで、役所の仕事が変わることを整理して話しました。

「ルンバ問題(効果)」という言葉を知っていますか。業務を電子化しようとすると、まずはその業務を電子化しやすいように合理化する必要があることです。ルンバ(自動掃除機)を入れようとすると、まずは床の上を片付けないと、ルンバは動けないのです。
また、機械の導入によって便利になりますが、良い面ばかりではありません。この変化は進行中であり、日に日に変わっていきます。それをどう捉えるかが、私の問題意識です。日頃考えていることをお話しして、皆さんの意見を聞きました。

あわせて、社会での電子化の影響も、お話ししました。有名な経済学者のケインズは約100年前(1930年)に、「100年後は、一日3時間労働ですむようになるだろう」と話しました。大外れです。
かつてより、現代人は忙しくなっています。機械が人に代わって仕事をしてくれるはずが、人は機械に使われています。
スマートフォンを持つようになって、人は常に「つながり」「つながれ」て、緊張状態に置かれています。休日でも夜でも、メールが来て仕事が入ります。朝起きても、歩いていても、電車の中でも、布団の中でも、スマートフォンを見ている人がいます。「スマホ疲れ」「つながらない権利」が話題になっています。
参加者にも、共感してもらえたようです。

関西学院大学シンポジウム「霞ヶ関は今」に出演

今日11月13日は、関西学院大学丸の内講座特別シンポジウム「霞ヶ関は今」に出演しました。黒江哲郎・元防衛次官、矢野康治・元財務次官と一緒です。会場には80人、オンラインで130人の方が聞いてくださいました。

次のようなことを、話してきました。
私が公務員になった40数年前に比べ、官僚に対する社会の評価が大きく低下しました。官の比重が軽くなってきたという面はあるでしょうが。原因の一つは、1990年代の度を過ぎた接待などで「官僚バッシング」が起きたこと。もう一つは、社会の課題に的確に答えていないことです。30年間の経済の停滞、社会の不安に答えていないのです。
かつて、官僚の評価が高かったのは、清廉潔癖であることと、国家の発展に大きく貢献したからでしょう。その二つを、損なってしまったのです。このような状態を後輩たちに残して、申し訳ないと感じています。

優秀な若者が、官僚を選ばなくなったことも問題です。
その理由の一つは、やりがいがないことでしょう。仕事が増えているのに職員数が増えず、業務量が増えています。かつては係長がやっていた仕事を課長補佐がしているという声があります。それで、政策を考えることが少なくなっているようです。
もう一つは、給料など処遇が悪いことです。国会待機などに時間が取られ、働き方改革が実現していません。そして、大学時代の友人に比べ、給料がはるかに少ないのです。

官僚は、日本の将来を考える、ほかにない集団です。この集団を、上手に使ってほしいです。
参考「日本記者クラブ登壇「政と官」」(2021年5月27日)