カテゴリー別アーカイブ: 社会

社会

英会話での謙遜

2月13日の日経新聞オピニオン欄「私見卓見」、山中司・立命館大学国際部副部長の「英語に過剰な謙遜不要」から。
・・・大学で英語を教える教員として、学生が「Sorry for my poor English(英語がつたなくて恐縮です)」と前置きしてから話す場面に遭遇する。日本人が日本語の会話で謙遜するのは、自らへりくだることでコミュニケーションを円滑にしようとするからだが、英語の言い回しとしては違和感を抱く・・・
・・・英語を使う際、謙遜はプラスに働かない。同じ語学レベルの場合、「少ししか話せない」と認識するか、「少しだが話せる」と考えるかは将来の伸びに大きな違いをもたらす。前者は、消極性が前面に出てコミュニケーションがおっくうになる。後者は多少間違っても堂々と話し続けるだろう。英語に接する機会が増えればネットワークも広がり、さらに話すようになる・・・

結婚披露宴の変

2月10日の日経新聞夕刊、中野香織さんの「ブライダルタキシード 貧相に見える仮装衣装」を読んで、我が意を得たりと思いました。詳しくは、原文を読んでいただくとして。
・・・横山氏によれば、結婚式は新郎新婦の2人が主役であるはずなのに、日本では新郎がおまけ扱い。ゆえに誰も新郎の仮装衣装に疑問を抱かず、式場スタッフも正確な知識をもたないので、世界から笑われる珍奇なブライダルタキシードがいまだに幅を利かせているという・・・
そうですよね。披露宴って、花嫁が主役で、新郎は刺身のつまですよね(両親の知人である来賓(いわゆるえらいさん)が主役のような場もありますが)。
もっとも問題は、タキシードなどを持っていても、着ていく機会が少ないことです。社交の場を作らなければなりません。(この記事に添えられている写真も、日本人男性でなく西洋人のようです。残念)。

ところで、男の黒の略礼服は、戦後日本で発明されたものです。この文章にも出て来ますが、「物資が乏しかった第2次世界大戦後に、アパレルメーカーが提案した冠婚葬祭システム」です。私は、東京の洋服屋さんが発明したと聞きましたが。
長年にわたって定着したので、これを正装だと思っている人も多いです。かつて、後輩の結婚披露宴にダークスーツで出席したら、「礼服を持っていないのですか」と聞かれたことがありました。郷に入っては郷に従うということわざもありますが・・・。

ついでにもう一つ。結婚披露宴で一番嫌いなことは、司会者、特にプロの司会者の話です。
主催者は新郎新婦またはそのご両親・家なのに、その人たちに最大級の敬語をつける。やたらと拍手を強要する。
さらに、のべつ幕なしにしゃべりまくる。少しは、静かにしていてくれよなあ。時々、司会者が主役をやっています。

広辞苑改訂

「広辞苑」が10年ぶりに改訂され、第7版が出ました。広辞苑は、国民的辞典と呼ばれるほど、なじみの深いものです。改訂が、ニュースで取り上げられるほどです。私も、愛用しました。
インターネットでの検索が便利になり、売り上げ部数は半分ほどになっているようです。分厚いので、机の上に置いておくには場所を取るのです。職場では、同じ岩波書店の「国語辞典」を使っています。

広辞苑に載ることが、言葉としての一つの「認知」です。
職員の文章に見慣れない言葉が使われていると、「これって、広辞苑に載っているか? いないのなら、他の言葉に言い換えるか、補足説明を書いてくれ」と指導します。

今回は、約1万項目を追加したとのこと。新語が、社会を反映しています。次のような言葉が、新たに載ったそうです。
東日本大震災、安全神話、限界集落、モラルハラスメント。
どのような事象が生まれたかが、よくわかります。他方で、「上から目線」「立ち位置」などは、新たに生まれた事象ではなく、私たちの認識が変わったということですね。

人生相談に見える社会

1月30日の朝日新聞オピニオン欄「人生相談に見える社会」から。

加藤諦三・早稲田大学名誉教授の発言。
・・・悩みというのは「変装」が上手なんです。多くの場合、相談者の真の問題は、本人が考える悩みの背後に隠されています。先日、女性から「子ども夫婦の仲が悪くて心配です」と相談がありました。これを申告通り受け取ってはいけません。「なぜそれを悩みだと言うのか」と問いを立てて話を聞いていくと、実は相談者の心を本当に悩ます問題は「老後への不安」でした。私との会話の中で本人も気づき、納得してくれました・・・
・・・電話相談でもっとも無意味なのは良識を持ち出すことです。「当事者でよく話し合いましょう」。それができれば電話はかけてきません。「親を憎んではいけない」は正論で良識ですが、親を憎み切ることでしか解決しない問題もあります。良識は真の悩みの存在を隠したり、解決を妨害したりするのです・・・
・・・半世紀前も今も、この電話相談にかけてくる悩みの原型は変わりません。人間関係の不満や嫉妬、ねたみなどで、はるか昔、旧約聖書やギリシャ神話の時代にすべて出ている問題なのです。
昔からの悩みが変わらないのは、人間の「内」の問題は社会の進歩と関係ないからです。例えば医療の進歩で、昔は「不治の病」と言われたがんが今は治療可能ですが、こうした「外」の問題と違い、内面は変化しようがありません。目に見える「生存の問題」より、目に見えない「実存の問題」は難しいのです・・・

真梨幸子さん(作家)の発言。
・・・明治、大正時代の人生相談も参考に読みましたが、人の悩みは時代が変われど同じだと思いました。いつの世も人は下世話な悩みを抱えて生きています。「恋愛問題」と言っても突き詰めれば、性生活や浮気や不倫などの話です。
誰かが自分の身に起きた不幸で悩んでいる。それを本人が投稿すれば悩み相談になるし、周囲が陰でそれを話題にすれば噂(うわさ)話になります。だから人生相談を好きな読者が多いのは、人間が他人の噂話が好きなのと同じ・・・
・・・ただ、最近のネット社会がスタイルをだいぶ変化させていると思っています。
多くの一般読者が匿名で投稿をいくらでも書けるタイプの相談、例えばyahoo!知恵袋や、意見交換系の掲示板などを見ると、誰かの相談に対し意見、感想が驚くほどたくさん連なっています。自分の経験を長々と詳細に書いて答える人もいます。
新聞や雑誌の昔ながらの人生相談は回答者が1人。一般の読者が納得せず、「この回答は変じゃない?」と不満を抱いても、それを表明する方法はなかった。きっと「突っ込みを入れたい」けどできないという不満が蓄積されており、ネット社会になって、その「回答欲」が解放されてしまったのでしょうか。
今は「相談したい」よりも「回答したい」人のほうが多い時代なのかもしれないですね・・・

遅い新幹線

今日、福島から東京への新幹線、車窓には雪で真っ白な山野が広がっていました。昨日の福島は、最低気温マイナス7度でした。

ところで、福島から新幹線で東京に帰って来るときに、感じていました。大宮を過ぎると、あまり早くないのです。並行して走っている在来線と、さほど変わらない早さです。
「前の列車が詰まっているのかな」とくらいにしか、思っていませんでした。でも、定刻通りに東京駅に到着します。時刻表で調べたら、東京から大宮まで新幹線だと25分、在来線で早いものだと31分です。
理由を教えてもらいました。東北新幹線は、建設時の経緯で、東京と大宮の間を時速110キロで走っているのです。
どおりで遅いのですね。