カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

年長管理職の技能とは

6月8日の日経新聞「一目均衡」、M&Aエディターの奥貴史による「取締役のスキル、投資家にさらせるか」が、面白く、興味深かったです。
・・・「酒とゴルフには自信があるんだけどな……」。ある上場企業の取締役が先日、寂しそうにこうつぶやいた。
この企業では最近、株主総会に向け取締役候補者の「スキルマトリックス」というものを作成した。これは各取締役がどんな能力を持っているかを一覧表にしたものだ。東京証券取引所はスキルマトリックスなどを活用して取締役の技能を投資家に分かるよう開示することを求めており、2021年内に開示できない場合はその理由を説明する必要がある。
スキルマトリックスには取締役が持つ経験や技能を「見える化」し、適正な陣容が保たれているかをチェックする効果がある・・・

この記事の冒頭にある「酒とゴルフ」は接待技術なのでしょうが、会社が開示する文書には載せにくいでしょうね(苦笑)。記事には、次のような文章があります。
・・・日本では社内から昇格した取締役の場合、漠然とした長年の論功行賞や年次バランス、社内での調整力をいかして取締役になった例も少なくないからだ。株主など市場関係者に胸を張れるスキルがある、と主張できる人はどれだけいるだろうか。
それだけではない。スキルマトリックスをつくってみたら「その企業の目指す中長期の経営方針との不一致をさらしてしまう例も散見される」・・・

コーチングで気付き

5月31日の日経新聞夕刊、「コーチングで自分に気付き」から。
・・・ビジネスの現場での活用が中心だった「コーチング」の裾野が広がっている。学生や主婦も、対話を通じて自分の価値観や歩み方を明確にしていく手法を取り入れている。夫婦で気づきを共有するケースもある。働き方の多様化や新型コロナウイルスの感染拡大への戸惑いも尽きないなか、悩みを解く導きとなるか・・・

・・・コーチングは相手となるコーチとの対話を通じ、目標達成のための行動や思考を促す手法だ。米国で広がり、00年ごろから日本でも企業のマネジメント向上策として注目されるようになった。コーチに必要な公的資格はないが複数の民間団体などが資格制度を設けている。
家族や友達との相談と違うのは、コーチが提供するのは「助言」ではない点だ。飯田さんの場合も、「家族や友達は、心配してアドバイスをくれる。コーチは自分で気づけるよう導いてくれる」と話す。

これまで日本ではコーチングに関心を持つ人といえば、40~50代のビジネスマンや経営者が多かった。
だが、2019年10月に正式なサービスを始めたコーチングのマッチングサービス「mento(メント)」では、コーチを探す利用者は20代後半~30代前半が中心。運営するウゴク(東京・渋谷)の木村憲仁社長は、「働き方や生き方で選ぶ余地の大きい『自己選択の時代』が来て、戸惑う人が増えたのではないか」と話す。
人々の迷いを深めているのが、新型コロナウイルスの感染拡大による混乱だ。1度目の緊急事態宣言が出た20年春から、SNS(交流サイト)のツイッターで「コーチング」を含むツイート数は急増したという。
解決策を示すわけではないコーチング。利点とされるのが、本人も整理できていなかった考えが明確になり、他の人とも共有しやすくなることだ・・・

具体事例は、記事をお読みください。

「幸せのメカニズム」

前野隆司著『幸せのメカニズムー実践・幸福学入門』(2013年、講談社現代新書)が、勉強になりました。かつて興味を持って買ってあったのですが、放置してありました。連載執筆にあたり、積ん読の山から発掘しました。

近年、幸福学が盛んになっています。その理由の一つが、経済成長の達成です。経済成長によって、生活満足度は上がる傾向にあるのですが、ある段階からは上がらなくなります。当然ですよね、もし上昇を続けて、生活満足度が満点まで上がったら、その先はどうなるか。そう考えても、物の豊かさは、幸せの一要素でしかありません。

各人によって異なる幸福感をどのように、客観的に比較分析するか。幸福論は、古典時代からさまざまな識者が論じ、また私たちもそれなりの考えを持っています。幸福学では、哲学的な幸福論ではなく、多くの人の調査を基に統計学的に分析します。
他人との比較(地位財)による満足と、他人との比較と関係ないこと(非地位財)よる満足があります。前者は、所得、社会的地位、物などです。後者は、健康、自由、愛情、社会への帰属意識などです。そして、地位財による幸福は長続きせず、非地位財による幸福は長続きします。しかも地位財による幸福は、維持するために「走り続け」なければなりません。終わりがありません。

前野先生の研究では、幸せの心的要因は、次の4つにまとめられています。「自己実現と成長」「つながりと感謝」「前向きと楽観」「独立と自分らしさ」です。
人によって考えはさまざまでしょうが(先生もそれは断っておられます)、私には納得できる要素です。
詳しくは本を読んでください。「明るい人生講座」です。役に立ちますよ。

とはいえ、東北楽天ゴールデンイーグルスが負けると、元気が出ません。

女性管理職増加への「お試し課長経験」

5月17日の日経新聞女性欄に、「管理職体験し「私もできる」 三井住友海上、課長職など4日間代行」が載っていました。
・・・女性活躍推進が声高に叫ばれながらも、女性管理職比率は思うように伸びない。管理職になりたがらない女性社員が多いからだと企業は嘆く。未知の領域への挑戦は誰もがためらうもの。ならば女性の不安解消のために管理職を一時的に実体験させてみてはどうだろうか――三井住友海上火災保険は女性管理職増加へユニークな施策を試みた・・・

・・・三井住友海上火災保険の20年度女性管理職比率は15.1%。ここ3年で7ポイント上昇したが、女性社員比率65%と比べると物足りない。なぜ増えないか。一因は女性の意識だ。課長になりたいかを社員に尋ねた調査に、男性は87%が「なりたい」と答えたが、女性は13%にすぎなかった。「責任が重すぎて無理」「結婚・子育てとの両立ができそうにない」などの声が上がった。
だが本当に管理職は女性にできないのか。実情が分からず、尻込みしているだけではないか。そんな問題意識から、部下持ち課長の職務を体験してみる「マネジャー・チャレンジ」(略称マネチャレ!)を昨年度始めた。
対象は営業部門。社内でも特に女性管理職比率が低い。何かあればいつ何時でも顧客対応が求められる。数値目標の達成の重責も担う。女性に向かないポスト――女性に限らず男性も、そんなアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を持っている。あえて厚い壁を突き崩す狙いだ。
4日間連続で1人の課長に密着し、可能な限り業務を代行する。新任マネジャー研修も事前に受講して、マネジメントの基礎を学び、23人の女性社員が課長になってみた・・・

・・・子育てとの両立でも光明がみえた。支社長代行として5人の部下と人事面談する中で、管理職は仕事を1人で抱え込まずとも、部下に上手に権限委譲すれば部署を回せると気づいた。「ワーキングマザーも管理職になれる」
23人は「マネチャレ!」前、全員が管理職になりたくないと考えていた。だが、挑戦後に22人は「なってみたい」と変化した。1人ではなし得ない仕事ができ、部下の成長に寄り添える。重責に見合うやりがいを体感したからだ・・・
詳しくは、原文をお読みください。

ミス、フォロー、クリア

このホームページ定例のカタカナ語批判です。
法案の記載誤り」を書いていて、気づいたのですが。最初は「法案ミス」と書きました。しかし、これだと広すぎると気がつきました。
すなわち、法案に間違いがあるといっても、いろんな場合があります。
・法案の内容に間違いがある場合
・対象条文や引用条文を間違う場合
・日本語がおかしい場合
・改正文(改め文、かいめぶん)が現行法に溶け込まない場合などなど。
「ミス」と言っておけば、全て含まれて間違いないなあ、とも思ったのですが。この言葉が、いかに曖昧かを示しています。

「フォローする」も曖昧です。
「ある案件をフォローする」と言った場合、具体的には何をするのでしょうか。(後をついていって)見守る、(後ろから)支える、(補って)片付ける。どれもありそうです。でも、見守るだけと、片付けるでは意味が違ってきます。
「フォローしておいてね」と部下に指示しておいたのに、その後聞いたら、何も進んでいません。「何もやってないじゃないか」と指摘したら、「ちゃんと見ていましたよ」と返される可能性があります。

「クリア」も、ええ加減な言葉です。
ハードルを跳び越える意味からは、課題や障害を通過することです。サッカーでボールを味方陣内から蹴り返して危機を脱することや、計算器をゼロの状態に戻すことからは、きれいに片付けることです。
書類を置いて「これをクリアしておいてね」と指示したら、課題を解決するのではなく、ゴミ箱に捨てられたとか。

このような言葉は、気をつけないと、ついつい使ってしまいますね。「これでも日本語、NHK」とは違った問題です。