カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

ゴーン社長の意思決定法、3

昨日の続きです。「三菱自動車も反対されたが」(2016年7月27日)。
・・・成功する人は「決して失敗しない人」ではありません。状況が悪くなったことにすぐに反応できるから、成功につながるのです。誰でも失敗します。問題はいつ是正するか。とにかく速やかにやればいいのです。「悪い兆しが出てきた、ああどうしよう」とグズグズしていると大きな失敗につながるのです・・・
・・・大切なのは「ミスを早く検知すること」です。
米グーグルのようなソフトウェア企業は、このことをよく理解しています。彼らは最初にエラーがあると分かっています。最後に完璧な商品になるのは、ミスを早く見つけすぐに修正する作業を繰り返すからです・・・
なるほどと思います。みんな失敗に学ぶのです。そして、部下は全員がミスをしない優秀な部下とは限りません。職場にミスはつきものです。もちろん、それを少なくすること、致命的なミスを防ぐことが管理職の仕事です。でも、ミスが見つかったとき、そのときの対応で、上司の力量が問われます。
・・・学んだことはたくさんありました。結果を出せたことも大切なことですが、それより重要なのは99年に2兆円の債務を抱え、破綻させた社員たちが、再び日産を復活させたことです。私は化学変化を起こした触媒です。日産には成功する材料はあったけれど、反応を起こす人がいなかったのです。成功と破産を同じ人間がやったということ。これこそ、マネジメントの真骨頂です・・・
同じ職員が働いていながら、破綻する場合と、そこから立ち直る場合。すると、成功も失敗も、上司次第です。職員を奮い立たせる、良い言葉ですね。

ゴーン社長の人材育成講座、2

昨日の続きです。「危ない会社こそ好機だ」 (2016年3月9日)から。
・・・私もミドルマネジメントにいたことがある。極めて重要な経験だった。ミドルには上司、部下の中間にいる。リーダーの意思決定も知り、部下とともに現場も知る立場だ。やりがいのある仕事であり、いい経験になる。上司との関係で、嫌な思いをすることもあるだろうが、そのほうが勉強になることがある。
実はある上司は私を信頼してくれなかった。信頼してくれれば、もっと貢献できたのにと思った。しかし学ぶことも多かった・・・
・・・ミドルにとって危機の会社は素晴らしいチャンスだ。好調な会社だと違いを出せないが、苦しいからこそ、違いを生み出して、目立つことができる。だからこそ厳しい企業に入るべきだ。自分の力を示すチャンスだ。確かにリスクはあるが、そこでワクワクすべきだ・・・

・・・99年当時の日産は客観的な指標がなかった。信じがたいことだが、会社を示す指標がなかったわけだ。正確な従業員数を把握するのにすら2カ月もかかった。CFO(最高財務責任者)もいなかった。車種別の利益率など分からなかった。数字がないから何も見えない。唯一の手段は現場に行くしかなかった。
現在の日産は極めて健全な企業になった。車ごと、市場ごとで詳細な数値が分かっている。ただ、どのように従業員が思っているか、戦略を理解しているか、モチベーションはどうか、を知るためには現場に行く必要がある・・・
この言葉のとおり、現場に行ってみないとわからない、それもじっくり見ないとわからないものです。現場には、工事現場など仕事の現場・課題の状況と、職員の様子という組織・職場の雰囲気の、2つのものがあります。この項続く。

危機的状況の際の対応、ゴーン社長

日経新聞電子版「リーダーに戦略を聞く」、カルロス・ゴーン(日産社長)の発言「グローバル人材育成講座」(2016年3月8日)から。
・・・1999年の日産自動車は深刻な危機に陥っていた。危機的状況にあると、どのような優先順位でそこから脱却するかにある。10年後ではない。いま火事が起きている。どうやってこの状況をコントロールして脱出するかを考える。当時、どうやってこの火事を抑えるか、源はどこか、どうやって家を建て直すかを考えた。
15年後、20年後どうするかは考えていなかった。基本的な健全な会社に戻すこと。明確なビジョンはしっかりあったわけではない。本当に大丈夫か?ただ、それだけだ・・・危機的状況では明日を考えない。いまどうするか。その後、緊急事態がおわって、明日を思う・・・
東日本大震災直後に、その対応に当たったものとして、同感です。もちろん、漠然とした将来への見通しを持ちつつですが。

・・・スーパーマンは経営者にいない。マネジメントの重要なカギは学びのプロセス。学んで結果を出すことの繰り返しだ。成果をだせばパフォーマンスで評価される。リーダーは実績のみで評価される。無理だとおもわれる実績をだすと、すごい、優れているとの評価になる。
私にも弱点はある。説得力がないとか、間違った人選をしたなど、失敗は少なくない。優れたマネジャーは客観的に自分の中で、弱点を見極める人だ・・・
詳しくは、原文をお読みください。この項続く。

忙しいことは良いことだ

今週も、忙しい1週間が終わりました。4日しかなかったのに、へとへとです。ところで、昼も忙しいのですが、夜がいけません。さまざまなお誘いの上に、かつての同僚や部下が、「慰労会をしましょう」と声をかけてくれます。「当分埋まっているから駄目や」と返事したら、ある元部下から、次のような返事が来ました。
「了解いたしました。お忙しそうで、安心いたしました。笑」と。私が暇にしている姿を、想像できないそうです。「こら!」

霞が関の治外法権?

昨日書いた、復興庁が「これまでが異例だった。普通の役所に戻ったということですよ」(2016年7月8日)について。
一つには、5年経って復興事業が軌道に乗り、当初の頃のような、次々とこれまでにないことをする役所ではなくなったことです。復興はまだ道半ばですが、大きな筋道は立っています。その路線に従って、役所らしく着実に事業を進めれば良いのです。もっとも、原発事故からの復旧は、状況が違います。
もう一つは、これまでにないことを次々としてきた復興庁と、私のやり方への評価です。「賛辞」と理解しましょう。私たちが取り組んでいるのは、千年に一度の大津波と、初めて経験する原発事故です。前例通りでは国民の期待にこたえることにはなりません。次々とこれまでにないことをしました。それは、新しい施策を作っただけでなく、その進め方についてもです。平時の流儀では時間がかかり、間に合わないのです。
それができたのは、国民や政治家が、巨大な災害で異例の対応が必要だと理解してくださったからです。各省の官僚たちも、これまでの延長ではダメだと考え、普段していない、そしてできないことに取り組んでくれたからです。
私は、関係者の前で旗を振り、後ろから押しただけです。時々、理解が少ない人たちをラッセル車のように強引にかき分け、押してもダメなときは自分で書いてしまうという、強引なこともやりましたが(苦笑)。
職員たちが、私のことを「霞が関の治外法権」と呼んでいます。物騒な表現ですが。「それは私の所管ではありません」と言わない、ほかの組織の所管業務と思われることでも口を出す、それらを象徴したニックネームです。
ある人は「霞が関だけでなく、永田町の治外法権だろう」とも言ってくださいました。与野党を問わず、政治家の方にも本音で議論する、そして政治の力を借りて実現することを、「褒めてくださって」いるのだと解釈しています。これまでにないことを実現するためには、知恵と技、そして力技も必要です。