カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

仕事に満足している人ほど、生活の幸福度も高い

6月21日の読売新聞「目覚めよJAPAN」は、対談「中小企業 人手不足時代を乗り切る!」でした。
須藤治・中小企業庁長官(福島での原発事故からの復興に苦労をかけました)が登場しています。記事に、次のような文章もついています。

・・・経営の現場では近年、自社の利益だけでなく従業員の幸せを追求する「ウェルビーイング経営」が注目されている。従業員の生産性や創造性の向上につながり、業績にも好影響を与えることがわかってきたからだ。

野村総合研究所は2023年に行った「日本人の生活に関するアンケート調査」で、働き盛りとされる25~54歳の就労者の回答(1296人)を分析した。
調査によると、現在の仕事に「とても満足している」と回答した人のうち、普段の生活での「幸福度」が高い(10点満点中8点以上)とした人の割合は65・7%に上った。一方、仕事に「まったく満足していない」と答えた人で、幸福度が高い人は5・9%にとどまった。座談会で解説役を務めた読売新聞東京本社の丸山淳一編集委員は「仕事に満足している人ほど、生活の幸福度も高い」と指摘した。

また、「働きがい」を重視する人は、仕事に満足している割合が高かった。同研究所は「ウェルビーイング経営では、働きやすさの追求だけではなく、働きがいを意識した取り組みが有効だ」としている・・・

仕事ができない上司の扱い方

6月15日の日経新聞「なやみのとびら」欄に、次のような相談が載っていました(ウエッブサイトでは出てこないようです)。

「仕事ができない上司にイライラしています。パソコンの使い方も分からないし、仕事上の相談をしても解決策を示せません。休みだけは人一倍取るため、部下の負担は増すばかり。人事部は人を見抜くことができなかったのでしょうか。」
中園ミホさんの回答は、紙面をお読みください。

今どき、こんな上司がいるのでしょうか。
こんな上司は席にいるだけで仕事の邪魔になりますから、休んでくれる方が部下にとってはよいと思うのですが。この相談者は、そのような方に仕事で相談を持ちかけているのですよね。不思議です。このあたりの事情も、もう少し聞きたいです。

私が聞かれたら、「明るい公務員講座」の基本は「一人で悩むな」ですから、「同僚はどのように考えているか聞いてみましょう」です。
みんな同じ考えなら、人事課に伝えましょう。もしあなた一人がそう思っているのなら、あなたが変わる必要があります。

佐藤 直子著『女性公務員のリアル』

佐藤直子著『女性公務員のリアル なぜ彼女は「昇進」できないのか』(2023年、学陽書房)を紹介します。
次のような話が紹介されています。
「やる気、体力、時間があるときに、仕事をすることの楽しさを実感できる仕事を任されず、雑用に真面目に従事する。その後も、子どもを産み育てている間に、もしくはほかの仕事があると知らずに雑用だけやっている間に、考える頭と体力を失い経験・知識不足に陥り、自信を喪失。40近くで現状に気付き、退職までの十数年をいかに無難に過ごすかが一番の関心事となる。今から昇任しても雑用の長になるだけだから、なりたくないと思ってしまう。(40代前半・主任・女性)」

男女共同参画がようやく進み、採用試験でもその後の配属でも、男女差はなくなりつつあります。しかし依然として、女性管理職は少ないです。その理由は、これまで女性職員を男性と同じように育ててこなかったことがあります。庶務や定型業務に従事させて、企画、財政、人事など基幹的な部署に配属せず、その後の管理職への登用が難しかったのです。私は、富山県総務部長の時(1994年~98年)に、気がつきました。

ところで、このような議論ができるようになったのは、ここ最近のことです。昭和の時代では「女性は補助業務」が通念でした。男女差別が禁止された際に、企業では総合職と一般職という区分を持ち込み、女性を一般職として昇進が少ない職としました。
他方で、総合職で採用された女性も、配属部署と経験で、男性とは差がつけられることが多かったのです。昭和に育った上司も、女性幹部候補をどのように育成したら良いか、わかりませんでした。そこには、家庭を犠牲にして長時間労働を強いる職場の問題もありました。家庭でも、夫は家事を分担せず、たまにすると「協力」と表現したのです。保育所も充実してませんでした。

その時代を見ている私からすると、ようやく職場での男女平等が進みつつあるなと思います。職場の通念と社会の通念が変わるには、ひと世代がかかるのかもしれません。今後、急速に変化するでしょう。働き方や家庭での男女の役割については、私たちは革命の中にいると言えるでしょう。憲法や法律では変わらなかったことが、変わりつつあるのです。

忙しい職場の生産性低下

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあります。二つのものを同時に取ろうとして、両方とも得られないことです。「虻蜂(あぶはち)取らず」も同義です。

霞ヶ関の官庁や地方自治体の人と話していて、改めて気がついたことがあります。仕事量が限界を超えていて、十分に処理できないこと以上に、困ったことになっているのではないかということです。

この30年間、行政改革の旗印の下、職員数の削減を続けました。バブル経済崩壊後の日本の風潮にも乗って、政治家だけでなく私たち官僚も正しい道だと考えていました。しかし、それにも限界があります。他方で、行政改革では仕事は減らず(予算は減っても、法律と政策はほとんど減っていません)、それどころか新しい仕事が増えています。職員数が減って、仕事が増える。その結果は、職員一人あたりの仕事量が増えているのです。これまでも、多くの職員は余裕のある仕事ぶりではありませんでした。

一人が処理できる仕事量を100だとします。従来の仕事Aが100として、新しい仕事Bが30追加されるとすると、合計で130。処理可能量を30超過します。すると、例えばAを70にし、Bを30して、合計100をこなすことになるでしょう。
ところが、そうはならないのです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」が当てはまり、仕事Aも仕事Bも中途半端になって、例えばAが65、Bが15で、合計80になるのです。
二つとも完成せず、さらに総処理量も減るのです。人間の処理能力を超える仕事をやろうとすると、かえって処理量が減ってしまうのです。それだけでなく、職員の精神衛生に悪い影響を与えます。
皆さんも、学生時代の勉強や、忙しい時期にこんな経験をしたことがありませんか。
集中力、その2。本人側の邪魔する要素」「同時に2つのことはできない

新入社員4割が転職検討

5月9日の日経新聞に、「新入社員4割が転職検討」が載っていました。

・・・新卒や入社数年の若手社員の早期退職が目立っている。新入社員の4割以上が転職を検討しているという調査もある。深刻な人手不足が続く中、有望な人材をつなぎ留められなければ企業経営は揺らぎかねない。企業は入社後に若手をきめ細かくフォローする体制を整え、抱える悩みや感じるギャップに対処する必要に迫られている・・・

就活情報サイトを運営するキャリタスが2月に実施した2023年春入社の社会人を対象に実施した調査では、4%が転職活動中で、39%が検討中です。リクルートマネジメントソリューションの2023年調査では、正社員として勤務する入社1~3年目の17.5%が自己都合退職を経験しています。

若手社員が会社を辞めたいと思う理由は、次の順です。仕事にやりがいや意義を感じない27%、給与が満足できない19%、自分のやりたい仕事ができない13%、会社の将来が不安12%、動労環境・条件が悪い12%、職場の人間関係が悪い12%です。

会社の側も対応を迫られています。就職してからの対応も必要ですが、会社を選ぶ際に十分な情報を与えることも重要でしょう。
5月13日の日経新聞夕刊「関心集める「エンゲージメント」 社員生かす経営の尺度」では、エンゲージメントは働きがいややりがいとは同意ではなく、例として仕事に対する情熱、会社に対する愛着との定義を紹介しています。日経新聞社などが2023年12月に実施した調査では、東証プライム上場企業の人事部門役職者の47%が組織上の課題に「エンゲージメント」をあげ、「生産性の向上」は41%でした。