カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

職員研修、失敗を体験させる

2025年7月26日   岡本全勝

7月11日の日経新聞東京版に「JR東日本のトラブル対応実習施設、失敗のツボに「わざと落とす」」が載っていました。良い職員研修ですね。

・・・1年に1200人。制服をバッグに詰めた電車の乗務員や駅職員といった訓練生らが緊張した面持ちで鉄のゲートを通り抜ける。門柱には黒地に渋い金色で「横浜総合訓練センター」(神奈川県横須賀市)。JR東日本横浜支社の社員がトラブルの対応を実習する技能訓練施設だ。熟練の講師が「失敗のツボ」を次々と繰り出し、訓練生に冷や汗をかかせている。

「人身事故が発生、的確に報告を」「進行方向を伝えないと右と左は逆になる」「亡くなったと誤解される。布は顔までかけてはいけない」
JR横須賀線久里浜駅構内にある訓練センター。初めて体験する「事故」にパニック寸前の訓練生に、講師は「君はどうする?」と問い続ける。
約3000平方メートルの敷地には路線図にない「駅」がある。訓練用の湘南駅と相模駅だ。2つの駅を結ぶ約450メートルの線路には信号機や線路を切り替える分岐器など本物の設備がびっしり。訓練生は「209系」を改装した鉄道車両を運転中にトラブルの発生を告知され、その場の対応が試される。

訓練は社員に2年に1回の受講を義務付けている。グループやパートナー企業が参加することもある。駅舎では特別仕様のシミュレーターが訓練生を待ち構える。ゲームと違うのは6台あるモニタリングカメラ。様々な角度から運転中の微妙な視線や手の動きを記録し、ミスの兆候を講師が見極める。訓練生にも細部は非公開だ。
トレーニングの原点は「失敗を体感すること」(門倉久胤副所長)。現場で落ち着いてみえる同僚も、トラブルに直面すると「何度も同じ失敗の穴に落ちるケースがある」。技術の進化で事故は減ったが、いざという時「現場では機械に頼らない人の目と経験が必要になる」(実習に参加した佐川博紀さん)。実際に亀が設備に挟まり異常が発生したこともあったという。

壁には国鉄時代から続く「安全綱領」がある。変わらぬ言葉が並ぶなか、東日本大震災後、最後の項目「疑わしいときは、最も安全と認められるみちを採らなければならない」に、ある文章が加えられた。句点の後に「あわてず、自ら考えて」。
東北地方の海沿いの路線。大きな揺れの後、マニュアルが示した避難所は近くの小学校だった。「ここは学校より高台にある」という乗客の声に耳を傾けた車掌は、停車した車内に全員で残る決断をした。津波に巻き込まれたのは避難所のほうだった。

「みな技術も知識もある。安全に自信があるから忘れてしまう弱点を再認識し、自分で判断できるようにする」とセンターの楠田広行所長は狙いを話す。「だから、あえて落とし穴に落ちてもらう」・・・

伝えるためには相手の話を聞く

2025年7月13日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、7月は、魚谷雅彦・前資生堂会長です。奈良県の先輩です。
9日の「コミュニケーション」から。勤めたライオンから、アメリカ・コロンビア大学に留学します。論理的に発信する力、コミュニケーション能力を高めなければと焦り、毎週2回、夜にリーダーシップ、対話術を学ぶデール・カーネギースクールに通います。

・・・「皆さんはコミュニケーションの能力を高めるために来たのでしょう」。デール・カーネギースクールのベテラン講師のピーターさんが10人の受講生を前に話し始めた。「リーダーとして自分の思いを伝えたいなら、まずは心を開いて相手の話を聞くことが肝心です」と意外な説明だった・・・

・・・話す相手のニーズを事前に調べる重要性。結論を先にはなし説明する組み立て方。「質問の力」を活用して相手に話させる訓練などで鍛えられた・・・

職場は仕事だけの場ではない

2025年6月29日   岡本全勝

6月22日の朝日新聞くらし面、「コロナ禍で壊れた心、抱えたまま 行動制限下「すごく孤独だった」、うつの波は今も」から。

・・・5年前の2020年4月、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が出された。行動制限は人を孤立させ、ときに心を壊すほどのストレスを強いた。今も、一度負った傷を抱えている人がいる。

神奈川県内のメーカーで総務の仕事をしていた女性(28)にとって、仕事は決して楽しいものではなかった。それでも、19年に新卒で入社した当初は、研修や飲み会を通じて同期と交流があり、愚痴を言い合うこともできた。プライベートではカラオケやライブ、旅行でストレスを発散していた。
翌年からコロナ禍に入り、状況は一変する。家と職場を往復し、業務をこなすだけの日々。楽しみはなくなった。21年3月にリモートワークが始まると、完全に「やる気スイッチ」が消えた。なぜ集中できないのか。家で悶々としていると、孤独感が募った。
夏ごろには日中、急な眠気に襲われるようになった。十分睡眠はとっているのに、パソコンに向かい、気づいたら眠り込んでいる。そのうち、夜に眠れなくなった。今日も眠れない、と思うと不安になり、余計眠れなくなった。

原則出社に戻っても、日中は常に眠気と戦っている状態。すべてを投げ出して逃げたい、消えたいという思いに駆られた。
食事ものどを通らなくなった。息苦しさや貧血、動悸にも悩まされるようになった。
12月には1週間、会社を休んだ。年明けは忙しく、無理に出社した。「休んじゃいけない」と思い込んでいた。4月には、いよいよ朝起きられなくなった。
母に連れられて精神科を受診し、うつ病と診断された。「これでもう会社に行かなくていい」という安堵感と、「気持ちが晴れる日は来るんだろうか」という不安感が同時に押し寄せた。
実際、通院してもよくならないどころか、薬の副作用で吐き気や倦怠感に苦しんだ。何度か転院し、脳に電流をあてる「経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激(TMS)」も試したが、期待したほどの効果はなかった。「なぜこんなに自分は弱いのか」と思い詰め、どうやって死のうか、と毎日考えていた。

どん底のなか、ようやく合う薬が見つかり、症状も副作用も少し落ち着いてきた。23年4月からは主治医の提案で、復職に向けたリワークプログラムに通った。同じ境遇の人と悩みを共有し、「一人じゃない」と思えた。
同年9月に復職。夜眠れる、ごはんが食べられる、支度ができる。「ふつうの生活ができる。それが何よりうれしかった」。その後も精神状態の波はある。転職もした。だが、大きく体調を崩さないよう、自分を守ってきた。気兼ねなく友人と会い、旅行もできるようになった。
いま振り返ると、「コロナがなければ、ここまで悪化しなかった」と思う。「すごく孤独だった」

徳島大学の山本哲也教授らの研究では、コロナ禍で悪化したメンタルヘルスは改善傾向にあるものの、若年層ほど回復から取り残されていることがわかった・・・

具体の従業員学び直し

2025年6月22日   岡本全勝

6月8日の日経新聞に「米ウォルマート、AI時代に「脱単純労働」 30万人にリスキリング迫る」が載っていました。

・・・米小売り大手ウォルマートが毎年30万人の従業員にリスキリング(学び直し)の機会を与えていくと表明した。30万人は全従業員の15%にあたる。オンラインに販売の主軸が移り、人工知能(AI)導入を進めるなか「単純労働」はなくなると判断した。米国の最大雇用主である同社の方針は、他の企業にも波及しそうだ。

ウォルマートは4〜6日、従業員大会と株主総会、メディア説明会などのイベントを本社がある南部アーカンソー州で実施した。毎年、関係者を集め経営戦略を説明している場で今年はリスキリング計画を表明した。世界約200カ所の研修拠点に、あわせて毎年30万人分のリスキリングプログラムを導入する。
これまで店舗で荷出しや顧客対応、オンライン注文の発送作業などを担当していた従業員がリスキリングの対象だ。資格が必要な技能職への転換を促す。自動化装置の保守、空調や冷蔵などの電気機器の管理、フォークリフト操作や庭園管理などだ。

「将来すべて自動化された現場で、何に投資すべきだろう。私たちは(従業員の)皆さんに投資し、成長し続けるのを見守りたい」。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は6日、従業員大会に集まった数万人の従業員を前にリスキリングの意義を説き、発破をかけた。
なぜリスキリングが必要か。「小売り現場の労働力は変質している。手作業の荷詰めや簡単な機械操作はもう必要ない。新しくてより高度なスキルが求められるようになっている」。RJ・ザネス副社長は、単純労働は必要なくなっていくからだと端的に説明した・・・

次の文章に納得しました。
「これまで店舗で荷出しや顧客対応、オンライン注文の発送作業などを担当していた従業員がリスキリングの対象だ。資格が必要な技能職への転換を促す。自動化装置の保守、空調や冷蔵などの電気機器の管理、フォークリフト操作や庭園管理などだ」

「学び直し」(リスキリング)という話をよく聞きますが、具体的に何をするのか。私には理解できませんでした。これから必要とされる技能、転職先で使える技能を示さないと、単にリスキリングと言われても困るでしょう。

人事担当者が見る卒業生活躍の大学

2025年6月21日   岡本全勝

6月11日の日経新聞に「人事が見る 卒業生活躍の大学ランキング 一橋大トップ 上智大2位」が載っていました。
・・・卒業生が企業で活躍している大学はどこか。日本経済新聞社と就職・転職支援の日経HRが調査を実施したところ、総合ランキングは一橋大学が首位となった。上位10校のうち8校を国立大学が占めた。採用を増やしたい大学では金沢大学が首位だった。上場企業と一部の有力未上場企業の人事担当者に、採用した学生の資質や姿勢などを聞いた。
調査は各大学の卒業生について、「行動力」「コミュニケーション能力」「知力・思考力」「成長力」の4つの分野で評価した・・・

それによると、1位一橋大学、2位上智大学、3位名古屋大学、4位京都大学、5位南山大学、6位熊本大学、7位鹿児島大学、8位東京科学大学、9位千葉大学、10位筑波大学です。東京大学は20位、慶応大学が11位、早稲田大学が16位でした。

評価項目が、「行動力」「コミュニケーション能力」「知力・思考力」「成長力」の4つの分野というのも、納得できます。