岡本全勝 のすべての投稿

時代遅れ

今日(20日)の朝日新聞夕刊東京版は、財務省の仮眠室「ホテルオークラ」が書かれていました。家に帰る時間を惜しんで、職員が仮眠するための部屋です。かつては、「エリート公務員記事」の定番でした。
よかったですね、残業がそれだけで価値だった時代は。「昔、貧乏な日本では、官僚も徹夜して・・」と、プロジェクトXの世界でしょうか。
しかし、残業時間を誇る時代は過ぎたと思います。それによって「どれだけ良い成果」が出たかを評価すべきでしょう。成果(アウトカム)を測定せず、残業時間(インプット)を自慢する。官僚のもっとも悪いことの一つです。
久しぶりにこんな記事がでて、びっくりしました。新聞はこんな記事を、いつまで書くんですかね。
私も、家に帰らず職場で仕事した、あるいは泊まり込んだことについては、人後に落ちないと思っています。1週間自治省ビルを出ず、2週間家に帰らず・・の記録を持っています。でも、今にして思えば・・・。

進む副業、なくなる自由時間

みなさん、3連休はいかがお過ごしだったでしょうか。災害に遭われた方は、避難や後片づけで大変だったと思います。お見舞い申し上げます。総務課は防災担当なので、職員は交代制で出勤です。私は、家で連絡を受けることですみますが(担当職員諸君、ありがとう)。
私は、「進む三位一体改革ーその評価と課題」の原稿書きでした。まとまった時間がとれたので、結構はかどりました。もっとも、他のことができない、ということですが。書きたいことがあって、どんどん増えています。「下」は、今年の進み具合とこれからの課題です。残る2年間だけでなく、その次の予測も書いてあります。そしてそれが、政治的にどのような意味を持つのかも。乞うご期待。

三位一体改革14

日々の三位一体改革続き
【政治過程における対等関係】
13日の日本経済新聞「経済教室」は、新藤宗幸千葉大教授の「道州制、まず広域連合で」でした。そこでも触れられていますが、道州制や市町村合併は、分権の「受け皿論」と呼ばれています。三位一体改革は、私の位置づけでは「第2次分権」です。そして、この次に「第3次分権」として規制の分権があります。それと合わせて、受け皿論が出てくるでしょう。
また、先生の論文では、道州制の試みとして北海道が取り上げられています。「北海道の構想力いかんによって、自治体主導の地方制度改革に重要な一石となり、政治もまた構想の具体化を図らざるをえなくなる」
そうです、3兆円の廃止補助金を地方団体に選んでもらう「骨太の方針2004」と同じように、今や国と地方は政治過程においても、上下から対等の関係になったのです(これは、第1次分権改革の想定していなかったことでしょうが)。そうなると、地方団体は単なるスローガンや要望だけでなく、自らどのような責任を引き受けるか、覚悟が試されています。(7月14日)
【給与の半額と教育の質】
14日の読売新聞朝刊には、青山彰久記者の解説「国の義務教育費負担」が載っていました。見出しは「廃止の是非、知事会で議論へ 教育の質向上へ包括的改革を」でした。
なぜ今回、義務教育負担金が廃止議論の対象になるのかが述べられています。さらに、「既得権を守る論争、権限争いに終止してはならない」ことを指摘しています。
特に次の主張が、重要です。「そもそも、教職員給与の半額を国が持つだけで、義務教育の質が維持できる訳でもない」。そうです、教育の議論を、職員の給料(しかも金額論争ですらなく、国が負担金で出すかどうか)の議論に矮小化してはいけません。
そして、「まずこの国庫負担金を税源移譲の対象にすることだ。・・都道府県の権限は、極力市町村に下ろす包括的な方向へ議論を進める必要がある。」と主張しています。
これだけはっきりした主張は、わかりやすいです。新聞の解説には、往々にして「・・は問題である。・・も問題である。みんなでよく考えなければならない」といった、結論のわからない記事も多いです。それに比べ、何とわかりやすいのでしょう。しかも、全国知事会で議論をする前日にです。ありがとうございます。(7月15日)
全国知事会議
(議論はまだまだ必要)
15日には全国知事会議が開かれ、補助金削減案づくりの議論をしました。席上、麻生大臣は「地方分権の千載一遇のチャンス。知事会の気概が問われている」とハッパをかけました(産経新聞など)。
新聞各紙が報道しているように、知事さんの間では、いろんな意見があって、まだまとまっていません。私も、そう簡単にまとまる話ではないと思います。「岡本は、三位一体改革の旗を振っていながら、無責任な」との批判を受けそうですが。
これは、霞ヶ関の役人でもまとまらない問題、経済諮問会議でもまとまらない問題、政治家でもまとまらない問題なのです。そして地方団体も、これまで「補助金廃止」というスローガンは唱えていましたが、具体的な議論は去年始まったばかりです。
また知事会は、これまでそのような難しいことを決めた経験がありません。多数決で決める、といったことをしたことがないのです。
これから十分議論をして、何が国の責任なのか、どこまでを地方が引き受けるのかを明らかにしてほしいです。でも、「一人でも反対があるなら進めない」というようでは、改革は進みませんわなあ。
(政治過程の変貌)
2000年の第1次分権改革で、国と地方は「上下」の関係から「対等」の関係になりました。それは機関委任事務制度廃止でした。今回、「補助金削減案を地方がつくる=国の予算を地方団体に決めてもらう」ということになりました。国の政治過程に、地方団体が正式に参加することになったのです。
分権改革でも想定していなかった、国の意思決定過程において、「国と地方が対等に」なったのです。第1次分権改革は、事務の執行過程における制度的改革でした。それに対し、今回は意思決定過程での変化、というか意図せざる改革です。そういう意味でも、今回の三位一体改革は、意義深いものです。
学者も、官僚も、政治家も想定していなかった、「日本の政治構造の改革」が進んでいるのです。月刊「地方財務」8月末号に、こういう分析も載せる予定です。(7月16日)
今回の地方団体による廃止補助金案決定が日本の政治に持つ意味については、日本の政治3も参照してください。

東京大学持田先生ゼミ

今日は、持田信樹東大教授のゼミご一行を総務省にお招きし、講義をする機会がありました。省内見学の後、1時間30分三位一体改革をお話ししました。
ちょうど同時刻に、全国知事会議が開かれていて、補助金改革の議論の真っ最中でした。テレビで中継していました。三位一体改革はアップ・ツゥ・デイトな話題で、お話しする内容には事欠きません。「何を話さないか」が、時間内に納めるコツなんですが・・。毎回失敗しています。
学生諸君、私の言いたかったことは、通じたかな。

今日の見聞

今日は、恒例の「減量班の会」でした。平成13年に行われた省庁改革に際し、内閣の改革本部で組織等減量を担当した仲間の同窓会です。東京電力・日立など民間人と公務員の連合軍です。今や、それぞれ幹部になって、でもやっぱり組織管理で「苦労」しています。