岡本全勝 のすべての投稿

2006.02.04

3日の日経新聞夕刊「ニュースの理由」は、中西晴史編集委員の「道州制導入、月末に答申。省庁の権限縮小、曲折も」でした。
「単に都道府県より広域の自治体をつくるのが狙いではない。道州に国の権限、財源を移すことが最大の眼目だ。国道、一級河川の管理や整備など国は複数の権にまたがるのを理由に権限を死守してきたが、道州になると、そんな理屈は通用なくなる」
「『国の地方出先機関に勤務する22万人の国家公務員をどうするか』だけではなく、霞ヶ関の本省の仕事も補助金配分業も含めて大幅に縮小される。国土交通省など多くの仕事が道州に移管されると、省自体の存在意義が問われる」
「国の縦割り画一行政から脱し、道州がブロック単位で東京を経由することなく地域経済活性化など様々な独自政策を競う。国は外交、防衛、マクロ経済政策などの仕事に純化する。国の官僚主導の統治構造を180度転換する引き金になるだけに、縮小を迫られる各省庁の抵抗は必至だ」

行政機関スリム化意見募集

「「行政減量・効率化有識者会議」が発足しました」と書いたら、元部下からメールが来ました。「このHPだけでなく、もう一つのHPも紹介せよ」とのことです。以下、元部下からの指示です。
「岡本課長のHPでも、ぜひ機会がありましたらこの意見募集HPの宣伝をしてやってください。とても多くのかた、しかも勉強熱心なかたが多く見られているHPですし、影響力のあるHPですので」
そこまでほめられると、恥ずかしいね。でも、大堀君の指示なら喜んでPRしますよ。「国の機関でここが無駄」と思っている人は多いと思います。ぜひ、その声を届けてください。陰でこそこそ言うのは、良くないですよ。

2006.02.03

3日の日経新聞経済教室「道州制への視点」は、岩崎美紀子教授の「分権型国家を目指せ。焦点は権限移譲、全国一律規制を見直し」でした。「以前の道州制論は、効率化と広域行政がその積極的支持理由となっており、分権は官治分権が暗黙の了解となっていた。これに対して現在の道州制論議は市町村合併の進展が一つの契機となって浮上し、府県の区域が狭小であることへの問題意識は継続しているが、その中心テーマとなっているのは自治分権である」
「日本は先進諸国のなかで最大の単一制国家である・・。国土は南北2千キロメートルに及ぶ列島や離島により構成され、地域により自然や気候が異なっている。しかしどこに行っても同じような街並み、同じような教育システムで、個性に満ちた魅力的空間とはなっていない。その一方で東京一極集中は加速を続け、東京都それ以外というゼロサムゲームのなかで地方は疲弊している。これらの原因が単一制にあるならば、解決するには連邦制への移行が必要となるが、日本の問題は単一制度にあるわけではなく、中央省庁の省令などによる全国一律の画一的規制の強さにある。これが閉塞感をもたらし創造力をそいでいる」
連邦憲法を制定せずとも、分権国家を実現することは可能である。道州制はそのような国家刷新改革の切り札ともなるべきものであり・・」

地方財政は誰が査定するか

記者さんたちとの話です。
記者:先日のHPの警察官10万円の話は、おもしろかったですね。
全勝:ありがとう。でも、おたくの社も書いてたんじゃないの。
記:そうですが・・。ところで、その延長線で言うと、義務教育国庫負担金の負担率が、3分の1になりましたよね。すると、国の持ち分が3分の1、地方の持ち分が3分の2。地方の負担の方が大きいのに、なぜ、教員の数を財務省が査定するのですか。総務省が地方財政計画策定過程で査定して、文科省と財務省に内示すればいいじゃないですか。警察官の人数が総務省と警察庁との協議・査定で決まるのなら、義務教育職員だって総務大臣と文科大臣が折衝するべきですよね。
全:言われてみれば、そうやね。分権が進むと、そんなことも変わるよね。だからこそ、財務省が抵抗するんとちゃうか。
記:でも、そもそも警察官の数とか教員の数とかは、安全や教育のあり方そのものですよね。それを、ゼニの観点から査定するのも変ですよね。もちろん、限られた財源の中でしか増やせませんが。まず、教育がどうあるかの議論があって、そして財源との議論があるべきですよ。
全:そこが、問題なんよ。県や市だったら、企画部が政策や計画を考える。もちろんその際には、知事や市長の意向に沿って。そして、財政課と協議し、最後は知事・市長が判断する。ところが、国には企画部がない。そして、各大臣と同列の財務大臣が、予算査定をする。やはり、重要な施策は、財務省・お金の査定に任せるのではなく、総理のところで集約するべきやね。
論点1:地方の負担の方が大きいのに、なぜ、財務省が査定するのか。
論点2:安全や教育を、予算だけで決めて良いのか。
論点3:国には、企画部がない(参考拙著「新地方自治入門」p68)。
日経新聞は、29日から「官を開く」の連載を再開しています。
この連載の2月1日は、「私たち民こそ主役、国に甘えず自立宣言」を特集していました。企業が政府系金融機関への甘えを断つ事例、町村が補助金をもらわずに地域おこしや道路整備をする事例、住民が政策作りに参加する事例、公共サービスの担い手になる事例が取り上げられています。また、「官を開くための25条」が列記されています。それは、官の領域をゼロから洗う、官業の効率化を進める、公務員制度を改革する、チェック機能を強化する、地方のスリム化を進める、民間の甘えを断つ、の6グループに分けられています。
また、「経済教室」では、山本清教授が「サービス供給方式の多様化、行政の必要な能力変化」を書いておられました。

公務員制度改革

31日に、国家公務員の総人件費削減策を話し合う「行政減量・効率化有識者会議」が発足しました。5年間で5%の削減を目指すうち、1.5%分は行政管理局の各省横断的定員削減で行い、残る3.5%分を重点分野を決めて削減する方針です。この後者を担う会議です。朝日新聞ほか各紙が伝えていましたが、各省官僚にゆだねていては進まないので、このような方法がとられています。