岡本全勝 のすべての投稿

日本の都合

7日に東京地裁が、1950年代に日本政府が行った中南米への移民について、国の対応を違法だとする判決を出しました。7日の夕刊・8日の朝刊各紙が伝えているとおりです。行政の失敗という観点からも取り上げるべきテーマですが、今回はもう一つの問題として取り上げます。
この政策は、「海外からの引き揚げ者などで急増した人口を減らすため」に行ったとのことです。一方、現在の日本は、外国人の受け入れに決して積極的ではありません。例えば、10日の朝日新聞は「外国人受け入れ、揺れる政府方針」を書いていました。代表的な例では、フィリピンとの間には介護士を受け入れる内容のFTAをまとめましたが、日本側の都合で未だに実現していません。
もちろん、両国の合意で進めた移民と、昨今の外国人受け入れとは同列には論じられないでしょう。でも、この構図は、10年前までの「自動車や電気製品は全世界に輸出する。しかし米は一粒たりとも輸入しない」という我が国の主張に重なって見えます。

丹波市講演会

3日は、兵庫県丹波市に講演に行ってきました。土曜の夜7時半からというのに、190人もの人が集まってくださいました。阪神タイガースの試合も見ずにです。地方自治や財政に関心を持っていただくことは、ありがたいことです。楽しい話ができればいいのですが、厳しい話で申し訳ありません。
丹波市は、6町が合併してできた市です。早めに行って市内を案内してもらいました。もっと山奥かと思っていたのですが(失礼)、きれいな田園が広がり、街並みも落ち着いた良いところでした。泊まりは、柏原の三友楼でした。純日本風で、良い旅館です。部屋は新館(鉄筋コンクリート)に取ってもらってあったのですが、わがままを言って旧館(木造建築)の座敷の上の部屋に変えてもらいました。なかなか、こんな部屋には泊まれませんから。庭も立派でした。

2006.06.02

大阪市立大学の北村亘先生たちが、「テキストブック地方自治」(村松岐夫編、東洋経済新報社)を出版されました。はしがきには、「本書は、地方分権改革以後の地方自治の教科書である。・・この間、地方自治の教科書は、内容を大きく変える必要に迫られていた。しかし、地方分権改革以後、政治、法律、財政をはじめ、多少の個別分野を内容に含んだ地方自治の教科書はない」とあります。どうぞご覧ください。

2006.06.01

今日から役所では、クールビズが始まりました。去年に比べ、静かなスタートです。小生も、縦縞模様のボタンダウンの半袖シャツ、ノーネクタイに上着で出勤しました。半袖は少し涼しかったです。→去年のクールビズ

2006.05.29

28日の東京新聞サンデー版は、見開きで道州制を解説していました。西尾勝先生が、「分権改革の流れを促進」を書いておられます。
「自民党の調査会では、新しい道州を国の各省庁の地方総合出先機関であると同時に、これまでの都道府県に代わる広域自治体の性格をも併せ持つ団体にしようとする意見が幅を利かせています。しかし、これでは戦前の府県に似た不完全自治体の復活で、戦後改革以来の民主化の流れに逆行し・・」
「地方制度調査会答申は、このような危機感に立ち、本気で道州制を実現しようとするのならば、道州はこれまでの都道府県に代わる純然たる広域自治体でなければならないと強く主張し」
「2000年施行の地方分権法では十分に実現されなかったこと、すなわち国から広域自治体への大幅な事務権限の移譲と、広域自治体から基礎自治体への大幅な事務権限の移譲とを、この際に併せて一挙に実現しようとしているからです。・・しかし、それだけに、実現は決して容易ではありません」