岡本全勝 のすべての投稿

業界行政から消費者行政へ

22日の朝日新聞は、「経産省、消費者行政に本腰」として、製品安全課をとりあげ、産業振興を掲げてきた経産省が、消費者行政に力を入れていることを解説していました。
「戦後の欧米に追いつけ追い越せの時代に、旧通産省はニッポン株式会社の主要な牽引役だった。だが、日本が世界第2位の経済大国になって経済が成熟すると、不要論もつきまとうようになった。旧大蔵省の護送船団方式の金融行政が批判され、そこから分かれた金融庁が業界とドライな関係となって投資家保護を唱え始めたように、経産省も産業界寄りのままではいられない時代だ。・・・とらえどころのない消費者相手。それでも、行政ニーズは今後、伝統的な産業行政部門より、むしろ大きくなる可能性がある。省庁再々編論議では、消費者行政庁構想も取りざたされる・・・」
この切り口は、私が唱えている、これからの行政のあり方=「業界振興から生活者保護」そのものです。「行政の役割変化」(2月8日11日をお読みください。このように、このアイデアが共有されると、次の改革につながりますね。

新しい仕事45

21日の読売新聞は、同社主催のフォーラム「日本の決断-格差と再チャレンジ」を特集していました。22日の日経新聞「ニュースがわかる」は、「産業界、正社員化へ動く」として、契約社員やアルバイト・パートを正社員化する動きが産業界全体に広がってきたことを解説していました。

博物館は誰のため?

今日は、散歩を兼ねて東京国立博物館へ、レオナルド・ダ・ヴィンチ展を見に行きました。パスポート会員の期限が切れていたので、改めて加入。うーん、去年もそんなに何度も行かなかったので、元を取ったのかなあ。「受胎告知」は、なかなか良かったです。その他に、ダ・ヴィンチの才能を紹介する展示がありましたが、これは人が多く、疲れました。しかも、近づかないと、展示物が見えないし解説も読めないのです。私を含め大抵の人は、何を言いたいのか分からなかったのではないでしょうか。平成館入り口でやっていた、ビデオでの解説はよく分かりましたが。
その後、久しぶりに、平成館の考古遺物展示を見ました。初めて来たと思われる小学生に、お父さんが、土偶や石器の解説をしていました。子どもが質問し、お父さんが一生懸命説明をしています。その状況を見ていると、いかにも展示の解説が少なく、不親切であることに気がつきました。矢じりが並べてあっても、これがどのように使われたか、小学生には分からないでしょうね。青銅鏡も、なぜこれが鏡か分からないでしょう。だって、鏡の裏の模様ばかり見せるのですから。しかも、それは青黒くさびていて、昔は金色に光っていたなんて、子どもは想像がつかないでしょう。「鏡に書かれた文字に重要な意味がある」との解説がありますが、なかなか鏡の文字は読めません。
日本歴史を勉強した人が見ればわかる、という展示ですね。絵巻物をはじめとする古文書も、そうです。漢字ばかりだったり、流麗なひらがなで、私にもなかなか読めません。子どもだけでなく、一般の人にも分かるように、読み下しの文章・現代語訳を、横に並べてもらえませんかね。
以前から疑問に思っているのですが、博物館って、誰に何を見せるためのものなのでしょうか。モナリザや中国文物展は、諸外国の文物を日本人に見せるものですよね。でも、これは貸し展示場機能であって、国立博物館の主目的とは思えません。東博にあるのは、主に日本の美術工芸品(本館)です。他にアジアの文物(東洋館)などもありますが。しかし、「東京美術館」とは名乗っていません。
私たちが、ヨーロッパや中国韓国の博物館に行くように、外国の人に日本の文物を紹介するためでしょうか。私は、日本を訪れた外国の人にここを紹介したり、外国へのちょっとした手みやげに、ミュージアムショップで小物を買ったりしています。しかし、この展示と解説では、日本の伝統文化を知っている人でないと、分かりにくいでしょうね。仏像や日本画といった美術品なら、詳しい解説は不要ですが。

2007.03.24

4月から、慶応大学法学部で、非常勤講師を勤めます。大山耕輔先生のお招きです。
先日、兼業許可が下りました。毎週土曜日なので、出講が可能になりました。今の職場は、平日の勤務時間中に毎週出かけるとなると、なかなか予定が立たないのです。もっとも、毎週土曜日の授業は、結構な負担になります。
授業でお話しする内容には事欠かないのですが、どのような組み立てにしようかと、悩んでいます。簡単に言うと、何をしゃべらないか、という選択をしなければなりません。今回は、大学院でなく大学(3年生)なのです。よりわかりやすい講義にする必要が、ありますよね。