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分権、世論がカギ

6日の朝日新聞では、坪井ゆづる編集委員らが「分権推進委員会第2期改革、地方政府へ始動。勧告実現、世論カギ」を大きく解説していました。
・・10年余りにわたって続いてきた分権は、第2期改革の幕を開けた・・新たな切り口を象徴するのが「考え方」に入った「地方政府」という言葉だ。政府関係の文書に、初めて登場した。財政面では補助金や交付金を頼り、仕事も各省の指示通りにやる自治体は、しょせんは半人前。「政府は中央政府だけだ」という霞ヶ関の常識があったからだ。それが10年余りの分権改革で、自治体も立法、行政、財政権を備えた政府を目指すという位置にまではこぎつけた・・
第2期改革の大きな特徴は、分権委と経済財政諮問会議とが二人三脚で進みそうなことだ。丹羽委員長が、両方のメンバーで連結役になる。すでに諮問会議が、政府の出先機関の半減案を提示。それを分権委で審議するレールを敷いた。国と地方の役割分担を、公務員の定員で論じる手法は具体性があり、論議の種発点になりそうだ。分権の旗振り役に、これほど内閣への発言力があった例はない。ただ、内閣には分権委の勧告を尊重する義務はない・・世論がどちらを向くのかが、カギを握る・・

自治体の財政力格差

4日の朝日新聞は、「地方の税収格差、難問」「都市に偏る税源、交付税減で財政難」「三位一体改革の宿題」を解説していました。
・・ただ、90年代半ばには、都道府県の税収格差は3.5倍前後あり、最近より大きかった。今、この問題が切実なのは、地方財政をとりまく状況が悪化しているからだ・・・

変転経済

2日の朝日新聞「証言でたどる同時代史」は、「賃上げ春闘の終焉」でした。高度成長期以来、「みんなで一緒に豊かになろう」と、春闘方式で給料を上げてきました。それは、労働組合が横並びで交渉し、賃金表を引き上げる(全員の給料が上がる)というものでした。ベースアップ=ベアです。それが、2002年に終わりました。
企業の業績が悪化したこと、企業間のばらつきが大きくなったこと、右肩上がりでなくなり、また業績評価の導入によって全員の賃金を引き上げることが難しくなったことが、背景にあります。
このような労組もまた、右肩上がりの時代の産物だったのでしょう。みんなで一緒に給料を上げようというのは、右肩上がりの時代でないとできません。給料のパイが大きくならないとき、そして年功序列・平等取り扱いが崩れ業績評価が大きくなると、そのようなことは続けることはできません。正規職員と非正規職員との間に大きな差がつくときに、正規職員を組織した労組は既得権擁護となります。パートや派遣が3分の1を占め、その人たちが労組に入っていません。労組の組織率が、20%を下回りました。しかも日本の労組は、産業別でなく企業別です。

眼の誕生

眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く」アンドリュー・パーカー著(草思社、2006年)が、面白かったです。
35億年の生物の歴史で、5億4300万年前・カンブリア紀に、なぜ生物が爆発的に進化したのか。NHKテレビでも紹介された、あのバージェス頁岩の奇妙な動物たちです。この本は、その理由を「眼の誕生」、すなわち光を感覚としたことにあるとしています。それまでは、近づいてくる食物を食べていたのが、目を手に入れることで、目標を見分けることができるようになったのです。すると、食われる方も身を守る必要ができ、まさに食うか食われるかの闘いが始まりました。攻撃と防御の「軍拡競争」が始まったのです。軍拡競争から逃れ、身を隠す生物も出ました。
学会でどこまで賛成を得られているのか知りませんが、なるほどねえと、納得しました。このような本は、寝る前に布団の中で読むのですが、楽しく読めます。それに比べ、本業の本・副業の本は、なかなか進みません。