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地域包括ケアの試み、新聞記事の後押し

読売新聞1面連載「転機の復興」、3月8日は「多職種連携、医療支える」でした。
インフラ復旧や住宅再建の次の課題は、「産業復興」と「健康支援」です。健康支援には、時期によって、次のような課題があります。
まずは、長引く仮設住宅住まいでの健康維持です。ここには、体と心の両方があります。次に本格住宅に入った後の、健康です。被災地域は高齢者が多く、健康予防、福祉、医療、介護などの機能が連携して、各高齢者をお世話する必要があります。記事では「多職種連携」と書かれていますが、「地域包括ケア」と呼ぶ場合も多いです。ここでも、身体の健康の前に、引きこもりや閉じこもりによる身体の機能低下や孤立が課題です。仮設住宅は多くが団地なので、まだ見守りはしやすいのです。本格住宅になると、孤立が進む恐れもあります。医療、福祉、介護の専門家だけでなく、地域の住民の協力も必要です。
そしてこの課題は、被災地だけでなく、日本全国の課題です。全国の市町村長にとって、次なる大きな課題です。被災地が、先端を行っているのです。私たちも、市町村や関係者と、地域包括ケアの試みに取り組んでいます。
今日の記事は、具体事例を紹介しつつ、この大きな問題を指摘し、そして解決方向を示しています。有意義な記事だと思います。ご一読ください(うーん残念、インターネットでは読めないようです)。

被災企業の回復、二極化。収益が戻らないと、復興は終わらない

3月7日の日経新聞が、「被災企業、回復は二極化」を伝えています。
・・東日本大震災から3年がたち、被災企業の売上高の回復度合いが分かれている。日本経済新聞が6日にまとめた被災企業へのアンケート調査で、設備が8割以上復旧したと答えた企業は7割あったが、その中で復旧後の売上高が震災前より増えた企業と、7割以下にとどまる企業の割合がほぼ同じだった。好調組は震災を機に事業戦略を練り直し実行した企業が目立つ・・
・・これらの会社に2013年度の売上高見通しを聞くと、36%の企業が震災前より増えると答えた。震災前の7割以下の企業も33%あった。増える企業は、震災を機に商品開発など新たな取り組みを始めた企業が目立つ・・
・・応援消費の高まりで、多くの会社が復興需要の恩恵を受けた時期もあった。だが今回の調査で、売上高が回復した理由に「復興需要」を挙げたのは、復興工事で潤う建設業と物流業だけ。他の業種は積極的な新事業への挑戦が回復の原動力だ・・
・・被災地では国の補助金を使い設備を復旧させた企業が多い。資金を投じれば完成するインフラ整備と違い、企業の復興は収益が回復しないと終わらない。設備が復旧していない企業の売上高回復はなお厳しい道のりだ・・
この記事の指摘はその通りです。調査をおこない、データに基づいた、そして課題を的確に指摘した良い記事です。

企業による復興支援

3月8日の日経新聞が、「復興支援を事業に生かす」を書いていました。
・・東日本大震災の被災地に対する主要企業の復興支援の形も、変わってきている。大震災の直後は寄付やボランティアの派遣などが多かったが、現在は自社の本業につながる形で被災地の復興を支えようとする動きが目立つ・・
記事によると、主要企業の4割が、2013年も支援を継続しています。記事では、「ヒトの支援、アイデアの提供」「モノの支援、販路の創出」「カネの支援、継続する仕組みづくり」に分けて、具体例を紹介しています。
ありがとうございます。復興庁でも、企業に支援を呼びかけ、企業連携室を作っています。また、支援の型を分類して紹介しています(近々、復興過程での企業による支援の分類を、復興庁のHPに載せます。明日のシンポジウム用に、K君が作ってくれました)。

与党から政府への申し入れ

3月7日、与党(自由民主党、公明党)が、「東日本大震災から3年を迎えるにあたっての決意」を、安倍総理に手渡しました。与党は、昨年に3度にわたり復興加速のための提言をまとめました。今回は、提言でなく決意という形になっています。
その中では、政府が与党提言に沿って仕事を進めていることを評価していただくとともに、まだ解決していない課題や新しく出てきた課題に取り組むよう求めています。
NHKニュースでは、「『被災地は、復旧の段階から、被災者の暮らしを再建する局面に移りつつある』として、被災者の生活再建に向けた対策の充実を図るよう、安倍総理大臣に申し入れました」。

復興庁、仕事の成果と評価

3月7日の読売新聞に、次のような記事が出ていました。
1つは、「全員帰還見直しを評価73%…読売世論調査」です。
・・東京電力福島第一原子力発電所事故で、長期の避難生活を強いられている住民について、政府が元の居住地への「全員帰還」にこだわらない方針に転換したことを「評価する」と答えた人は73%に上った・・
もう1つは、「集団移転用地取得69%に。復興庁検証、加速化策が成果」です。
・・昨年3月から国が取り組む東日本大震災の復興加速化策の効果を復興庁が検証した結果、集団移転の用地取得率が昨年9月からの3か月間で20ポイント上昇し、69%に達したことなどがわかった。同庁は「加速化策が一定の成果を上げている」と分析している・・
この検証は、今日発表した「住宅再建・復興まちづくりの加速化措置のフォローアップ」です。「概要」も、文字ばかりで、読んでもらえませんね。図示したわかりやすい資料を、追って載せます。