岡本全勝 のすべての投稿

原発避難区域、帰還希望。朝日新聞記事

今朝25日の朝日新聞1面トップに、「帰還希望世帯1~2割。福島第一周辺4町、復興庁調査」という大きな見出しの記事が載っていました。何事が起こったのかと、驚きました。公務員の悲しい性です。よく読むと、復興庁が県や市町村と一緒に調査している、住民意向調査結果を基にした記事でした。これまでに、何度か調査して、その都度公表しています。
記事では、住民の帰還意向が小さいこととともに、放射線量の違い(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)に関わらず、住民の帰還意向に大きな違いがないことを指摘してます。解説では、戻らない理由について、次のように書いています。
・・・「原発の安全性」や、帰っても「医療環境」「商業施設」がないとする回答が目立つ。避難者が向き合う故郷の現実は重い・・・
ご指摘の通りです。除染が終わっただけでは、住民は帰ることはできないのです。
他方で、次のようにも指摘しています。
・・・ただ、わずかであっても帰還に望みを持つ避難者がいる。それに応えるには、政府や自治体も、住民が1~2割に減る現実から目をそらさない覚悟が必要だ・・
当初、政府は、避難者全員の早期帰還を方針としていました。その後、このような住民の意向と放射線量の予測にしたがって、方針を転換しました。現在では、「早期に帰還できる人」「時間がかかっても待つ人」「新しい生活を選ぶ人」の3つに分けて、住民の意向に沿った対策を打っています。
大きな見出しや記事に書かれたことは、私たち関係者には既知のことですが、多くの国民は詳しくは知らなかったでしょう。このように原発事故避難区域の厳しい現実を伝えてくださった、大月記者に感謝します。

復興を助ける新しい金融支援、ファンド

2月24日の日経新聞東北版が、「ファンド、東北復興へ存在感」を大きく解説していました。
・・東日本大震災からまもなく4年、被災地では多様な資金の出し手が復興をけん引している。商社や外国政府などがファンドや基金を設け、地域振興や子供の教育支援などを実施。金融機関では難しい長期的な投融資のほか、寄付の場合でもその後の販促支援など継続的なサポートを続けている・・として、様々な実例が紹介されています。
大震災を機に、様々な金融支援が行われています。義援金に近い特定目的への補助から、儲けを出資者に配分する投資型まで。また、支援先も、企業、NPO、町内会、単なる活動など、様々です。インターネットの記事には載っていないのですが、新聞記事には、いくつかの典型的なファンドの特徴が、表になって載っています。また、次のような文章も載っています。
・・復興庁の調べでは大口ファンドは4~5件あり、「復興ファンドは理念や目的を持ち、機動的に投資先を選んでいる。従来の金融ではリスクを負えない部分にも手が届く」(復興庁の熊崎貴之参事官補佐)と評価する・・
これも、大震災を機に始まった、新しい試みです。ぜひ、原文をお読みください。

被災市長。4年目の思い。2

先日紹介した、朝日新聞宮城版の、市長へのインタビュー。その後も続いて、24日までに8人になりました。引き続き、記者が鋭い質問で、市町村長に迫っています。
女川町・須田善明町長の発言から。
「人口が減り続けるなか、復興計画の縮小や変更をしていますか」という質問に対して。
・・国費で相当部分がまかなわれますが、仮に1千億円かかるなら、国民1人あたり800円を出していただく計算です。だから「おねだり復興」はダメで、何でもかんでもできるとは思っていない。与えられたメニューや条件の中でやることが大切で、町民の意向や住民の数を把握しながら、複数の事業を凍結したり、縮小したりしています・・
・・出島架橋については、全額国負担の復興ではなく、町も相応の負担をするつもりです。通常の事業では経費の3分の1が町負担なので、30億円程度を支出する覚悟です・・

参議院復興特、福島視察

今日23日は、参議院復興特別委員会の福島視察に同行してきました。双葉郡8町村長との意見交換会があり、それぞれの思いを聞きました。避難解除がすんだところ、そのうちに解除できるところ、当分の間解除できないところで、課題が大きく違っています。事態が進むと、新しい課題が出てきます。たくさんの要望や意見を、もらってきました。関係者と一緒になって、一つひとつ解決していきます。