自動化されていない感染者集計作業

5月21日の読売新聞「コロナ警告 進まぬデジタル」は「感染者「一元集計」遠く…国も自治体も「ハーシス遅い」」でした。

・・・午前0時。厚生労働省が委託した大手コンサルティング会社のシステムが、人知れず活動を始める。全国の都道府県のホームページを〈自動巡回〉し、新型コロナウイルスの新規感染者や重症者、死者の数を拾い集めるという活動だ。
その後、今度は同社のスタッフが「人の目」で各ホームページを確認。データを照合した上で、朝までに厚労省に「納品」する。
「朝、私たちが出勤すると、それらのデータが手元に届いているわけです」と、厚労省コロナ本部の担当者は言った。そうして同省は毎日、国として集計した「全国の新規感染者数」などを発表している・・・
・・・しかし、もともとコロナ感染者の情報は、国自身が導入した専用システム「HER―SYS(ハーシス)」で一元的に集計・管理されるはずではなかったか?
「それが、ハーシスにはなかなか入力されなくて。待っていると遅くなるので、先に集めているのです」と、担当者は説明した・・・

・・・ハーシスの活用が進まないのは、入力項目の多さなどから医師らが敬遠して入力が行われず、保健所や自治体の職員が代行して入力に追われているからだ。代行入力には時間がかかる。一方で、「きょうの新規感染者」への人々の関心は依然として高い。
「そこで私たちは、ハーシスとは『別集計』をしているのです」と、滋賀県感染症対策課の古川卓哉さん(38)は話す。同県では代行入力とは別に、感染集計に特化した職員らのチームも編成。発生届を見ながら表計算ソフト(エクセル)で別集計し、毎日夕、その日の新規感染者をホームページで公表している。
「二度手間、と言われればそうなのですが、ハーシスではすぐ対応できない以上、大変でもやるしかない」と古川さん。このような〈二刀流〉の集計は、川崎市や北九州市、高知県などでも行われている。
国が毎晩、ホームページをのぞいて集めているのは、こうした自治体の苦労によって積み上げられたデータということになる・・・