保険医療、政府に指揮権を

2月21日の日経新聞1面は「保険医療、政府に指揮権を 日経・日経センター緊急提言」でした。

・・・新型コロナウイルス禍が日本の医療体制の脆弱性を浮き彫りにした。日本経済新聞社と日本経済研究センターは医療改革研究会を組織し、有事のみならず平時から患者が真に満足できる医療サービスを受けられるための緊急提言をまとめた。医療機関に政府・地方自治体がガバナンス(統治)を働かせる仕組みや、デジタル技術による医療体制の再構築を促している。
緊急提言は①医療提供体制の再構築②医薬イノベーションの促進③社会保障全般の負担・給付改革――の3つの柱で構成する・・・

このうち、③社会保障全般の負担・給付改革は、これまでも指摘され、実現していない項目です。①医療提供体制の再構築と②医薬イノベーションの促進は、今回のコロナ感染拡大で見えた問題点です。

・・・過去2年あまりのコロナ禍では、コロナ患者の治療に積極的に取り組む医療機関とコロナ患者を忌避する医療機関との二極化が明らかになった。地域によっては感染の急拡大期に医療人材の不足と病棟・病床の逼迫をもたらし、自宅療養を余儀なくされた患者が死にいたるなど深刻な事態をもたらした。
こうした悲劇を繰り返さないために、提言は「健康保険の適用を受ける医療機関や調剤薬局が得る利益の原資は、健康保険料と税財源を元手とする国・自治体の公費が大半を占める。医療提供体制について政府・自治体が一定のコントロール権をもつのは当然だ」と指摘した。
医療機関が自由開業制と診療科を自由に決められる特権的な扱いを受けていることについても「厚生労働省は医療団体に配慮し、長年にわたり改革を怠ってきた」として政策の不作為を問題視している・・・

社会や組織の問題点は、危機の時に顕在化します。もちろん事前に対応しておけばよいのですが、なかなかそうはいきません。社会と政府が試されるのは、危機の時に見えた問題点を、改善できるかどうかです。自然災害については、阪神・淡路大震災と東日本大震災で、かなり改善されました。