OECD経済審査報告書

OECD経済審査報告書」(2021年12月)が公表されました。経済協力開発機構(OECD)は、加盟国の経済情勢や政策動向を定期的に審査しています。

我が国の経済情勢や政策動向は、毎日、マスメディアが大量の情報を伝えてくれます。それは重要なのですが、細かい大量の情報を得ても、私たちは消化しきれません。そして、毎日のニュース報道では、中長期の動向が分かりません。
経済協力開発機構の審査報告書は、その点で項目が絞られていて、大きな観点からものを見ることができます。合わせて、海外からは日本がどのように見えているのかが分かります。
報告書の「主な結論」が、簡潔です。

日本の設備の長期停滞

12月5日の日経新聞1面「チャートは語る」は、「日本の設備 停滞の20年」でした。
・・・日本の設備投資の低迷が続いている。この20年間で設備の総量を示す資本ストックは1割たらずしか増えなかった。米国や英国が5~6割ほど伸びたのと差がついた。企業が利益を国内投資に振り向けていないためだ。設備の更新が進まなければ労働生産性は高まらず、人口減の制約も補えない。低成長の構造要因として直視する必要がある・・・

記事によると、
2001年から2019年までの経済成長率は、アメリカ2.1%、イギリス1.8%に対し、日本は0.8%です。その原因として、設備投資の低さが上げられています。
生産的資本ストック(ハードとソフト)の2000年から2020年の伸びは、アメリカ48%、イギリス59%、フランス44%、ドイツ19%で、日本は9%です。設備投資しないと、生産や売り上げは伸びません。

日本企業は、儲けていないわけではありません。しかし、お金を設備投資に回していないのです。ただし、海外には投資しています。企業にとって、日本が魅力のない国に見えているのでしょうか。

「誹謗中傷犯に勝訴しました」

moro 著『誹謗中傷犯に勝訴しました ~障害児の息子を守るため~』(2021年、竹書房)を読みました。新聞の書評欄に載っていて、気になったので。

障害を持った子どもの母親が筆者です。子どもと同じ小学校の保護者を名乗る加害者が、ネット上で子どもと母親を誹謗中傷します。そして、学校名、子どもの名前を探し当て、保護者たちに誹謗中傷に参加することを誘います。
読んでいて、気分が嫌になります。加害者は匿名をよいことに、他人になりすまし、事実無根のことを書き続けて、被害者を苦しめます。
筆者は訴訟を起こし、書き込んだ加害者を特定し、さらに損害賠償を求めます。加害者は裁判には出廷せず、逆にさまざまな抵抗をします。

世の中では、ほかにもネット上でひどい誹謗中傷が行われているようです。このような本が読まれて、そのような行為に歯止めがかかればよいのですが。
加害者がどのような人で、どのような意図でこのようなことを続けたのかを知りたくなります。加害者は出てこないので、その点は分かりません。
このような書き込みと拡散は、重大な人権侵害と思いますが、刑法や法務省の対応はどのようになっているのでしょうか。

フルートぼちぼち再開

富山県庁時代、あれだけ練習したフルート。東京に戻ってからは、付き合ってくれる人がいなくて、細々と一人で練習していました。それも、東日本大震災対応以来、吹くこともなくなりました。
4年前に決心して再開するべく、タンポを交換に楽器店に行きました。穴をふさぐキーについているフェルトが劣化するので、交換する必要があるのです。お店の方は、「タンポを取り替えるより、新しいフルートにしてはどうですか」と助言してくれました。まんまとその言葉に乗せられて、フルートを買い換えました。
ところが、その後も触れることなく放置してありました。原稿を書いたり、このホームページを加筆したり、本を読んだりと、休日もそれなりに忙しいのです。

昨日、孫の家でクリスマス会があったので、吹こうと考え、1週間前から練習を再開しました。
久しぶりに吹くと、音は出ましたが、なめらかには出ません。♯と♭がつくと指を忘れていて、教科書を開く始末です。それでも、どうやら吹けるようになりました。
実演すると、孫には全く受けませんでした。残念。
キョーコさん曰く「音楽になってないから、分からなかったのではないの?」とのこと。確かに、途切れ途切れでしたから。
これを機に、ぼちぼちと練習を再開しましょう。続くかな。最初から弱気です。

各国での単身世帯の増加

日経新聞12月9日の1面連載「人口と世界 新常識の足音」は「「おひとりさま」家族の標準 広がる孤独 官民で克服」でした。
経済で人口を取り上げる場合は、人口の増減、高齢化などが主な主題です。しかし、この回は、単身世帯の増加を取り上げています。

記事についている図表では、各国で、全世帯のうち3分の1が単身世帯になっています。
日本でも一人暮らし=単身世帯の増加が大きく、私の連載「公共を創る」でも、それが社会の安心に与える影響を取り上げています。
一人暮らしは気ままですが、家庭という保障機能が低下するのです。経済的な安定が弱くなるだけでなく、孤独という心身の負担が増えるのです。前者は社会保障で補うことができますが、後者はお金では買うことができません。