真実を見たくない国民の自意識

9月15日の朝日新聞オピニオン欄、宮台真司・都立大教授の「国民の自意識、痛みを粉飾」が、現在の日本の状況を鋭く分析していました。

「見たいものだけを見る」ということです。
経済について言えば、アベノミクスによって、株価上昇と低水準の失業率が語られます。ところが、先進国の中で日本だけが1997年から実質賃金が低下を続け、1人あたり国内総生産は2018年に韓国とイタリアに抜かれました。
社会指標も、若年層の自尊心や家族への信頼度も極めて低く、子どもの幸福度は先進国で最低水準です。

宮台さんの見立ててでは、国民の自意識が鍵だと言うことです。
本当は経済的に苦しいのに、自意識のレベルではそうではないことにする。「見たいものだけを見る」のです。格差や分断による痛みは、他人と共有して初めて政治的な討議の課題になるのですが、その手前で自意識の問題に「回収」されてしまいます。
「若年層の政治的関心が低いのも、自分が置かれた状況の真実に向き合うのがつらいからです」と指摘されます。

納得です。それを政治課題にしない、政治、マスメディア、有識者の責任でしょう。