三井記念美術館の「驚異の超絶技巧」に行ってきました。
絶対に驚きます。「本当に、これが焼き物なの。象牙細工なの」とです。展覧会の紹介(リンクを張ったページ)の、山口晃さんの解説の通りです。ここまで細かい細工をするのかね。本物と間違うね。どれくらいの時間がかかったのだろうとです。
会場では、あちらこちらから、「すごいね」といった歓声が上がります。警備員さんが、「小さな声でお願いします」と注意するくらいです。
見ないと損ですよ。
月別アーカイブ: 2017年10月
続、宮城県沿岸部視察
先日行ってきた、被災地の復興状況視察の報告、続きです。
宮城県南三陸町歌津地区では、「南三陸ハマーレ歌津」商店街でも、話を聞いてきました。これは、近くにあった仮設商店街の、「伊里前福幸商店街」を本設に移転したものです。国道沿いで道の駅の機能とともに、地域住民のための商店です。歌津地区も町の中心部がすべて流されました。住宅は近くの高台に移転しています。これらの商店はなくてはならないもので、お客さんも多いとのことです。こちらの絵(下の方、上は志津川さんさん商店街)が、わかりやすいです。
次は、住民の活動について。
雄勝にある「雄勝ローズファクトリーガーデン」を訪ねました。雄勝地区を通ると必ず目に入るバラ園です。被災した住民が立ち上げました。多くの支援者にも支えられています。オリーブ栽培の北限に挑戦しています。文字で説明するより、ホームページをご覧ください。
東松島市あおい地区にもお邪魔して、久しぶりに小野会長さんにもお会いしました(前回の記事2016年2月7日)。町内会を立ち上げるために、1年間に120回会合を持った、あの地区です。その後も、活発な活動を続けておられます。町づくりが、住宅建設ではなく、住民のつながり作りであることが、よくわかります。
ところで、現在は、コミュニティ再建の補助金が活動の一部を支えています。しかし、このような財政支援は、今後も必要でしょう。公民館や集会所を作っただけでは、コミュニティ活動はできません。住民の参加と中心になる人が必要です。事務局も必要です。市役所が「直営する」と、公民館に職員を置くことになります。しかし、それで自治会活動ができるわけではありません。それを考えると、自治会への財政支援は、大きな経費がかからず、効果は大きいです。
町づくりの記録も、出版されたようです。
大震災、産業復興状況
東北経済産業局が、グループ補助金交付先へのアンケート調査結果(第7回)を公表しました。この補助金は、大震災で被災した中小企業が、施設設備を復旧する際の補助金です。交付先がどうなっているか、毎年調査をしています。これは重要です。補助金を交付したら終わり(役所仕事にはしばしばあるのですが)ではなく、それがどのような成果を生んでいるか、また課題は何かが分かるのです。
うち、東北4県を見てください。交付先9,315者のうち5,912者から回答がありました。卸小売・サービス業、製造業、建設業、水産・食品加工業、運送業、旅館・ホテル業と、業種は多岐にわたっています。
売上が震災前の水準以上まで回復したと回答した企業の割合は、45%。業種別では、建設業75%、運送業57%、製造業48%です。低いのは、水産・食品加工業29% 、卸小売・サービス業34%、旅館・ホテル業35%です。
売上が回復した主な要因は、「復興特需、その他要因による新規顧客の確保」、「新商品・新サービス開発等」。主な経営課題は、「人材の確保・育成」、「販路の確保・開拓」です。
この傾向は、前年と大きくは変わっていません。この補助金は、大震災の際に初めて作ったもので、大きな効果がありました。しかし、補助金で施設設備は復旧できるのですが、売り上げを戻すのは難しい点もあります。
慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第4回目
今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第4回目。地方税に入りました。税は、財政の基本です。
ところで気になって、学生諸君に、経済学、財政学、会計学を履修したことがあるかを問うと、ほとんどの学生が履修していません。う~ん、すると複式簿記を説明しても、通じませんね。
企業の幹部を目指すなら、社長を目指すなら、複式簿記は読めないと。法学部のカリキュラムには、ないのですかね。会計学までは手が回らないですが、私の授業では、財政の基礎はお教えしましょう。
一定税率と累進課税の説明は、住民税と所得税を税率を図示して説明すると、分かってもらいやすいです。
法人課税は、法人事業税の外形標準課税を説明しましたが、その前に法人税の所得課税の説明が必要でした。赤字法人の説明が必要です。
地方消費税は、消費税と一緒に説明したのですが、これは説明不足でした。多段階での課税と重複課税の防止、帰属地をどうするか、逆進性など、授業後に「分かりませんでした」との意見がたくさんあったので、来週、説明しましょうか。関心ある人は、自分でも勉強してください。
宮城県沿岸部視察、産業復興
10,11日に行ってきた被災地視察の報告です。まずは、産業復興から。
南三陸町のさんさん商店街は、今年春に仮設から本設に移転しました。施設の設計は、隈研吾さんがしてくださいました。三陸自動車道が近くまで開通したので、仙台市から1時間半で着きます。予想以上に観光客で連日賑わっています。海鮮丼がよく売れるそうです。
石巻市雄勝町では、末永九兵衛商店を訪ねました。雄勝町は奥深い入り江を囲んだ、漁業の町です。入り江が良い養殖場だったのです。津波はその地形で増幅され、壊滅的な被害を与えました。
末永商店は、銀ザケとホタテの養殖をしていましたが、津波で流されました。補助金を受けて再開し、さらに売れる商品に加工しています。「海から46秒のうまさ」が売りです。目の前に、養殖のいけすが浮かんでいるのですから。安い回転寿司店ではなく、より高い店に卸しているとのことです。ホームページを見ると、格好良い当主が、自信を持って提供しています。このような事業主が増えると良いのですね。
11日の朝は、女川魚市場に、7時からの競りを見に行きました。ここは、完全衛生設備になっていて、ガラスを隔てて視察できるようになっています。私たちの後にも、島根県の高校生が来るとのことでした。
今年はサンマが捕れず、捕れてもやせているようです。今のところ、昨年の3分の1だとか。私の行った朝は、大型船が2隻入って、けっこうな水揚げがありました。この調子が続いてくれることを望みます。
女川駅前の商店街も、どんどんと店が建っています。余裕を持った配置、建物の意匠(外観や色)を統一しているので、きれいです。駅横に移転してきた、トレーラーハウスのホテルに、今回も泊まりました。
石巻市の中心部は、人口減少と郊外に大型店ができて、さみしくなっていました。そこに、「いしのまき元気いちば」ができました。川に面した、景色の良い場所です。それを見ながら、飲食ができます。
これまで、地元の名産品を売る施設がなかったとのこと。もったいないですよね。サンマにしろ、お酒にしろ。町の中心部のにぎわい復活につながることを期待します。
それぞれ、ホームページにリンクを張りましたので、ご覧ください。
ここで紹介した事例は、それぞれやる気のある事業主や、まとめる世話役がおられます。行政は、財政的支援や情報をつなぐ支援はできますが、担い手がいないとどうにもなりません。地域振興、地域のにぎわいは、なんと言っても産業=働く場があることです。
ところで、これら本設商店街や工場になるまでは仮設の商店と工場で、事業を続けてもらいました。仮設の建物は、中小企業基盤整備機構が整備してくれました。無償で、市町村を通じて事業者に貸しています。これは、大震災でのヒット施策でした。これがなければ、多くの事業者は廃業したでしょう。機構の調べによると、644か所(1,270棟)で作った内、135か所が終了(撤去)し、509か所が残っています。
その調査(資料の8ページ、4退去事業者の動向)によると、退去した事業者の内、約6割が本設に移行しています。この数字が、事業を本格的に再開できた割合とみて良いでしょう。ほかの仮設に移った事業者もいますが、廃業した者もいます。