福島復興再生特措法改正案、閣議決定

今日2月10日の閣議で、「福島復興再生特別措置法」の改正案を決定しました。一番の要素は、線量が高く帰還することが困難である「帰還困難区域」の中に、住民が居住できる「特定復興再生拠点区域」を整備することです。
線量が低い「帰還準備区域」「居住制限区域」は、これまで線量の低下と生活環境整備を進め、順次指示が解除され、住民が戻っています。しかし、帰還困難区域は線量が高く帰還することが困難なので、戻れないこととした区域です。住民には、土地建物などについては全損賠償をし、故郷喪失の精神賠償も行っています。「原子力損害賠償のお支払い状況等」のp4によれば、単純平均で単身世帯は約1億円、4人世帯で約2億円です。もちろん、故郷を失った悲しみはお金で償えるものではありません。

その区域も、一部では線量が下がって、居住できる見込みが立つ地域が出てきました。そこで、地元の要望を受けて、拠点を整備することにしました。ただし、戻る意向の人は多くはなく、どのようにその拠点を活用するかを検討しながら、整備します。

明るい公務員講座、あなたAとあなたB

『明るい公務員講座』第6章の扉絵に、次のようなイラストを描いてもらいました。職員Aの後ろに職員A’が立って、酔っ払ったAをA’が槍でつついている様子です。これで、私が何を言いたいかは、おわかりですよね。
私は、判断に悩んだときも、斜め後ろ1メートルのところに「岡本全勝B」を置いてみて、「おまえ、本当にそれでいいのか?」と言わせてみます。

明るい公務員講座・中級編13

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第13回「交渉(4)苦情への対応」が発行されました。庁外との関係で、「楽しくない」けれども、重要な仕事があります。その一つが、住民からの苦情への対応です。上司の職に行くほど、困りごとが持ち込まれます。問題ない案件なら、部下が処理してくれるからです。庁外の人との関係も、楽しいことばかりではありません。今回は、その対処方法をお教えします。もちろん、簡単に片がつくような万能薬はありません。
今回の内容は、次の通り。
職員の接遇がまずかった、住民の期待に応えていない事業、クレーマーへの対応、逃げてはいけない。

「新しい東北」顕彰

復興庁では、まちのにぎわいを取り戻すため、民間や地域の方と「新しい東北」という挑戦をしています。このたび、大きな貢献をしておられる方を顕彰して、それらの活動を広めることとしました。「新しい東北顕彰」。簡単な活動概要も載せてあるので、ご覧ください。
選ばれた事例は、行政では手を出さないもの、ユニークなものです。大企業が大きな工場を作ってくれる、といったものではありません。しかし、地域の活力を取り戻すには、必要なものです。
これだけも、熱意とアイデアを持った方がおられるのかと、感心します。ありがとうございます。官と民との協働の良い先行事例となっています。ほかの地域でも、どんどん「まね」をしてください。
2月9日、仙台での交流会で表彰式を行います。

アメリカ資本主義の行き着くところ

ロバート・ライシュ著『最後の資本主義』(邦訳2016年、東洋経済新報社)が勉強になります。アメリカの資本主義が、この30年間でどれだけすごい格差を生んだか。一部の経営者がとんでもない報酬を得て、他方で一般の労働者の給料は下がっています。その実態を、経営者については実名と報酬額を挙げて、説明しています。自由市場の名の下に、金持ちがルールを変える、その中には法律をも自分たちの都合の良いように変えたことで達成されたのです。
次のような記述もあります。「はじめに」
・・・今後の米国における最大の政治的分断は、共和党と民主党の間では起こらないだろう。起こるとしたら、大企業やウォール街の銀行や、政治や経済の仕組みを自分を利するように変えてきた超富裕層と、その結果、自らが苦境に立たされていることに気づいた大多数の人々の間においてであろう・・・
この本は、2015年に書かれた本ですが、トランプ大統領の出現を予言していたのですね。

詳しくは本書を読んでいただくとして、一部の超大金持ちとその他大勢、そしてその他大勢の犠牲の上に超大金持ちが成り立っている図式は、日本にいては実感がわきません。こんなあくどいことをして、数千億円、数兆円の資産をため込むのか。リーマン・ショックで多額の公金を投入してもらいながら、経営者たちは責任を取らず、高額の報酬をもらって逃げます。AIGのCEOであったマーティン・サリバンは、在任中に株価が98%下落し、同社を救うために1800億ドルを税金で支援しました。彼は退職する歳に、4700万ドルの解雇手当をもらいました(p137)。こんな例が、次々と示されています。

このような構図は永続するはずがありません。商品を買うはずの中間層がいなくなるのですから、いずれ、商品を売っている会社は業績が下がります。しかし、これらの経営者は会社の発展より、いかにして株価を上げ、報酬を得るかという短期的視野での行動をしています。
アメリカという国が資本主義の権化であり、経済界が国や政治を抱え込んでいることがわかります。
この項続く。