2月18日の朝日新聞朝刊が1面トップで、「震災の仮設住宅、5年間で190人が孤独死」を伝えていました。お読みになった方も多いでしょう。
記事でも伝えているように、阪神・淡路大震災でこの問題が明らかになりました。そこで今回は、その経験を元に、国・自治体・NPO・地元住民の協力で、見回り活動に力を入れました。しかし、この5年間で190人の方が、一人でなくなっています。
・阪神・淡路大震災の際には、5年間で233人でした。仮設住宅住民がはるかに多い今回で、これより少ない人数ですんだのは、地元の方の努力のおかげです。
・しかし、これだけ見守りをしても、ゼロにはできていません。特に問題は、本人が見回りを拒否する場合です。中年男性が多いようです。
これは、仮設住宅だけでなく、地域社会が抱える課題です。本人が「人付き合いは嫌だ。放っておいてくれ」といっている際に、それを超えてお節介ができるか。これまでの社会保障にはない問題で、今後の課題です。
・さらに今後の課題は、これから移っていただく公営住宅です。仮設住宅の多くは平屋建てで、見守りは比較的簡単でした。3階や4階建ての鉄筋コンクリートのアパートになると、プライバシーが守れる代わりに、孤立の条件が高くなります。
・今回は、仮設住宅での孤独死数を上げていますが、都会の公営住宅でも、実は孤独死は増えています。それらと比べて、発生率は多いのかどうか。これも分析が必要です。
基礎数値に基づかない私見ですが、仮設住宅の方が住環境は悪いのですが、孤独死防止対策は手厚く行われています。一般住宅より、ひょっとしたら少ないかもしれません。
・孤独死に、今のところ定義はないのです。一人暮らしの高齢者が亡くなったときに、それをすべて孤独死と数えるのか。世間との付き合いを、自発的にあるいは仕方なく閉じた人の、老後です。結婚しない人が増え、夫に先だたれた妻が増えると、さらにこの数字は増えます。