不安を取り除く

毎日新聞「坂村健の目」12月17日「ベビースキャン」から。
・・・11月下旬の英国のテレビ番組「BBC WORLD」で福島県の子どもたちの内部被ばくを測定できるホールボディー(全身)カウンター「ベビースキャン」の測定結果が紹介された。3台が福島の病院に設置され、約2700人の小児、乳幼児を測定した結果、全員から放射性セシウムが検出されなかったという。
この装置は東京大学大学院の早野龍五教授(原子物理学)が中心となって、海外製のホールボディーカウンターを改造したもの。うつぶせ姿勢で、不安をあたえずに4分間測定できる・・・
・・・実は、一緒に生活する母親のデータから高い精度で子供のデータも推定できる。不検出の結果も予想されており「科学的には不必要」とも言われていた。しかし直接「測れない」ということを「わからないから怖い」と言い換える人たちがいる。いわゆる「悪魔の証明」に対抗するには、全ての場合について地道にデータを積み上げるしかない。
早野先生が偉いのは、母親たちの不安を「科学的に必要ない」と切り捨てず、測れないデータを一つでもなくすために地道に努力していることだ・・・
・・・しかし、発表姿勢としては弱いのか、ベビースキャンの結果も日本では10月初めに発表されたのに、残念なことに取り上げた日本メディアは非常に少なかった。事態がわからないときに、非常ベルを鳴らすのはマスコミの立派な役割。しかし、状況が見えてきたら解除のアナウンスを同じボリュームで流すべきだ。大震災から5年近く。早野先生を含む多くの方々の地道な努力で、データは着実に積み上がっている・・・