日米の医療水準比較、通説の間違い

8月28日の読売新聞解説欄に、佐藤敏信・日本医師会総合政策研究機構主席研究員・元厚労相健康局長の「手術データが示す医療水準」が載っていました。
・・・一国の医療水準を把握し、比較する場合、よく知られた指標として「平均余命」や「健康寿命」がある。「乳児死亡率」なども用いられる。これらの指標で見ると、日本は世界一あるいは世界最高水準にある。
だが、日本の医療に対して多くの国民が抱くイメージは「誰もが一定レベルの医療は受けられるものの、トップレベルでは米国にかなわない」というものではないだろうか。国民皆保険の日本の医療はしばしば、すべて普通席の列車に例えられる。これに対して患者の経済力次第の米国は、普通席だけでなく特等席まである。やはり特等席にはかなわないだろうと、私も漠然と思ってきた。
しかし、このイメージは必ずしも正しくないらしい。日本の普通席の質は米国の特等席より上かもしれない、というデータがそろい始めたからである・・・
として、これまでに蓄積されたデータを比較しています。例えば、消化器がん領域のいくつかの切除手術について、手術後一定期間内の患者の死亡率を日米で比較したところ、日本の成績の方が良好でした。しかも、日本側はほぼ全病院(約2000)のデータなのに、アメリカ側は選ばれたトップランクの病院(約500)のデータなのです。詳しくは原文をお読みください。
佐藤さんは医者で、大震災直後は環境省で健康担当の部長を務めていました。放射線の健康影響についての質問に、時には感情的とも思える追求にも、的確に答えてくれました。