大震災一周年

今日は、大震災から1年です。国立劇場で、政府主催の追悼式がありました。天皇皇后両陛下がご出席され、遺族の代表、三権の長、国会議員、外国使節団、県や政令市の代表、民間の関係者、各省の幹部が出席しました。その後、一般の方の献花がありました。また、各地でも、追悼など記念行事が行われました。
改めて、亡くなられた方に追悼の意を表するとともに、ご遺族や避難をされている方にお見舞いを申し上げます。また、これまで支援や復旧に協力していただいた多くの方に、感謝を申し上げます。

大震災で失われたものは、たくさんあります。まず第一は、命です。家族や友人を亡くされた方、特に子どもさんを亡くされた方や、親を亡くした子どもたちの悲しみは、埋めることができません。子どもたちが立派に成人するよう、みんなで支援することが私たちの務めです。
次に失われたものは、家や財産。地域では、街並みや施設。そして各種のサービス。さらには、産業や雇用。その上に成り立っていた、暮らしと賑わいです。これらは、順次復旧中です。
これらの他にも、失われたものがあります。原発への信頼と科学者や技術者への信頼。政府への信頼。諸外国からの日本への信頼です(これは渡航制限や輸入制限となって現れています)。この回復は、先が長いです。

また、津波と地震の被災地では、復旧・復興に入っていますが、原発事故による避難区域は、まだ復旧に入れません。放射性物質を津波の水とたとえれば、まだ水が引いていないのです。
復興庁では、津波・地震被災地の復興と、原発事故からの復興という、2つの大きな課題に分けて、取り組んでいます。私たちも精一杯努力しますので、皆さんのご支援とご協力をお願いします。

双葉郡町村との意見交換会

今日は、福島県郡山市で、双葉郡8町村長と知事と、国との意見交換会でした。主な話題は、帰還に向けた課題についてと、除染と中間貯蔵施設でした。
政府内では、復興庁が中心になって、帰還に向けた課題の整理と対応方針を検討しています。また、県の担当部局とも、意見を交換しています。今後、市町村ごとに、たくさんの課題を解決していかなければなりません。

市町村長の復旧評価

3月8日の読売新聞は、被災42市町村長へのアンケート結果を載せていました。
復旧・復興が「ある程度進んでいる」は、岩手、宮城両県では9割ですが、福島県では3割です。原発周辺市町村ではまだ警戒区域が解除されていないので、復旧に入れないのです。
特に遅れているものは、集団移転・街づくりです。これは政府の認識と同じです。
住民の生活再建のめどについては、半数近い市町村が、「まったく立っていない」「ほとんど立っていない」でした。これも、原発周辺市町村が多いです。
批判を受けている復興交付金については、「評価できる」が23人、「評価できない」が18人です。復興特区制度は、「評価できる」が36市町村でした。

企業活動が復旧の要、復興庁による橋渡し

昨日8日、ある企業に呼ばれて、お話しに行ってきました。12月に経団連で行った私の講演を聴かれて、ぜひその会社の幹部に話してほしいとの依頼でした。喜んで行ってきました。
このホームページでもしばしば書いているように、①インフラが復旧しただけでは、街は復旧しません。②公私のサービスが再開されないと、暮らしは不便で、賑わいも戻りません。そして、③働く場が再開されないと、暮らしていけないのです。②と③は、企業や個人の事業が、再開される必要があります。
また、社会で各種のサービスを提供する主体には、官(行政)、共(ボランティア、NPO)、私(企業)があります。街の賑わいを取り戻すためには、そして行政では行き届かない分野では、企業やNPOの役割は大きいのです。
企業には、社会的責任として「無料奉仕」をしていただくこともありがたいのですが、事業を再開して儲けていただくことで、地域に貢献してもらえるのです。どんどんサービスを提供し、職員を雇ってください。無料奉仕は企業の本業でなく、また限界があります。本業を広げることで、企業は儲かり、地域は復興する。これは、お互いに嬉しい話ですよね。
復興現場には、たくさんのビジネスチャンスがあります。欠けているのは、情報のつなぎ(どこにどのようなニーズがあるのか)と、リスクを取る覚悟です。

私一人では議論が抽象的になるので、企業連携担当の参事官と、NPOと企業の連携担当の職員の3人でおじゃまして、お話ししてきました。彼らは、具体例を引いてわかりやすい説明をしてくれました。このような担当職員もおいています(組織図の住民支援グループの「ボランティア・公益的民間連携班」と、産業振興グループの「企業連携班」です)。
私は、これからの復興には、企業とNPOの役割が大きく、復興庁はその橋渡しをすべきだと考えています。まだ、復興庁の取組も始まったばかりですが、これから実例を蓄積して、企業や地元のお役に立とうと考えています。「新しい行政の役割」の実験です。NPOや企業からのお問い合わせや、情報提供をお待ちしています。

大震災対応の反省

中央防災会議の防災対策推進検討会議が、中間報告をまとめました。東日本大震災における政府の対応を検証し、教訓の総括を行うとともに、首都直下地震や東海・東南海・南海地震等の大規模災害に備えるためのものです。
第2章2で、「応急対応はうまく機能したのか」や「生活再建や復旧復興はスムーズに進んでいるのか」が整理されています。ぜひ今回の経験を、次回に活かしてもらいたいものです。できれば、活かすような機会(大災害)は、ない方がよいのですが。