アメリカの連邦と州、訴訟による決着

講談社のPR誌「本」10月号に、宇野重規東大教授が、「政治を哲学する、不思議の国アメリカの政治」を書いておられます。オバマ政権で、ようやく国民皆保険を実現するための法律が成立したことに関してです。先生が紹介しておられるのは、この法案が成立した後、各地で訴訟が起きたことです。フロリダ州の司法長官ほか13もの州が、法律の無効確認訴訟を起こしました。
・・この改革によって、各州の財政が悪化するということもある。しかしながら、連邦議会で可決され、大統領も署名した法案に、各州から「これは州の権限を奪うものだ」という理由で訴訟が起こされるというのは、日本人の目には不思議に見える。国会で成立した法案に、都道府県から相次いで訴訟が起こされるというのは、日本ではあまり考えられない事態であろう・・
逆のパターンも紹介しておられます。アリゾナ州がメキシコからの不法移民を規制するためにつくった移民法に対し、オバマ政権は、連邦の権限を否定するとして、差し止めを求める請求を行いました。連邦地裁で、同法の主要部分を差し止める判決も出ていますが、アリゾナ州は控訴を行い、差し止められた部分以外を施行しました。
アメリカ人のものの考え方を示す例です。最初に州があって、それが寄り集まって連邦をつくったという歴史もあるのでしょう。また先生は、その決着を司法がつけることについても、取り上げておられます。詳しくは、原文をお読み下さい。