西尾勝先生の公務員制度改革の道筋

東大出版会広報誌「UP」8月号に、西尾勝先生の「公務員制度改革の道筋」が載りました。
・・いま早急に国民的合意を形成しなければならないのは、まず民と官の異質性をどこまで是認するのかしないのか、である。公務員給与が高すぎるとする批判・・をみていると、この国の世論は民と官の異質性を認めようとはせず、むしろ両者間の徹底した同質化を求めているように感じられる。そうであれば、官の世界にのみ課してきた労働基本権の制限も政治活動の自由も撤廃すべきである。ついで「キャリア・システム」を公式に承認するのか、それともこれを廃止させるのか、である。これを廃止させるのであれば、これに代わる幹部公務員の選抜養成制度を再構築しなければならない。第三に、国家公務員の任用権者を各省大臣とし、国家公務員の採用を各省別にしている現行制度を維持するのか否かである。これこそ、省庁ごとの強固なセクショナリズムと外郭団体・関連企業との癒着構造とを支えてきた基盤だからである。要するに、まずは公務員制度改革の全体像を描き、ついで改革の工程表を慎重に設計し、その上で改革に着手して欲しかった・・
・・もう一つの問題は、「政治任用」の余地をどの程度まで拡大するのか、である・・私は、資格任用と自由任用と政治任用という三つの概念を明確に使い分けることを提案している・・各省庁の審議官級(または局長級)以上の職位の任用権者を各省大臣から内閣総理大臣に変えるとともに、これらの職位を自由任用職に変えるだけで十分に達成されるのではないかと思われる・・