戦後日本の再分配政策

9日の朝日新聞「この人、この話題」は、広井良典教授の「現代の格差、社会保障による再分配強めよ」でした。
・・戦後の日本をふり返ると、再分配政策、言い換えると富の分配の平等のための政策は、おおむね次のような4つの段階をたどってきたといえる。第1ステップは、終戦直後の「強力な機会の平等」政策で、農地改革による土地の再分配と中等教育の義務化などである。第2ステップはおおむね1950~60年代前半までの高度成長期で、この時期は「生産部門を通じた再分配」という点が特徴的だ。農業補助金、地方交付税、中小企業助成などの産業政策であり、成長の果実を産業部門間で配分し、比較的平等にその恩恵がいきわたるよう調整された。
こうした対応の効果に陰りが差してくるのが第3ステップ(1970年代~90年代頃)であり、この時期の特徴は、公共事業型社会保障と高齢者関係の社会保障整備である。そして、現在に続く第4ステップは2001年以降の小泉改革以降の流れであり、戦後日本を特徴づけた「生産部門を通じた再分配」が壊される一方で、それに代替するはずの社会保障制度もまた縮減されていった過程である・・
このほか、経済発展段階における格差を、①土地所有をめぐる格差、②都市ー農村の格差、③退職者をめぐる格差、④現役世代内(都市居住者)内部の格差と分類し、①は農地改革で、②は生産部門を通じた再分配で、③は社会保障(年金)によって対応され、いま④に直面していると述べておられます。
すごくわかりやすいです。いくつか異論はありますが。引用は抜粋してあるので、原文をお読みください。